クラスに馴染めない少年はいつまで経っても初恋に囚われ続ける

Onfreound

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プロローグ

#10

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  「久しぶり、元気だった?」

 テンプレの様な自己紹介を終えてすぐ、僕の机の前に立つ転校生。紹介の間1度も顔を合わせず、別人のフリをしていたのが悪かったのか、自分達の関わりの存在をクラス中に晒し出される。
 
  「え!?白渡さんって新色と知り合いなの!?」

  「何だよ、先に言っとけよ~」

 連絡先も知らん奴に何を伝えれば良かったのだろうか。とにかく面倒なことになる前にさっさと席について欲しい。

   「...ども、久しぶりっすね」

   「再会の言葉がそんだけ?残念だなぁ、君ならもっと面白い返しをしてくれると思っていたのに」

 不満そうなことを言いながらも楽しげな顔をしている転校生。何だこいつ、サイコパスとかか?

   「へぇ、新色君、何か白渡さんの面白いエピソードとかないの?」

 ひょろっとした担任の無茶振りで、クラスの雰囲気は盛り上がる。クラスメートの想像話や話を急かす声で教室が満たされる。

 何となく転校生の方を見る。相変わらずの笑顔のままで、僕の行動を待っている。
 
   「......」

   「.........」

 何この空間。

 観衆達の声はうるさいまま、僕と転校生の間に沈黙が生まれている。こいつは僕に発言を促す様に、僕の行動を待ち続けている。

 仕方ない。 

   「......そんな知りません」

   「は?」

 驚いたことに、僕の発言に真っ先に反応し、呆れた様な声をあげたのは、他の陽キャ共ではなく、彼女だった。
 
   「ふぅん...?」

   笑みにより一層気持ち悪さが増した。その瞬間、白渡はさっきより少し大きな声で話し始めた。

   「実は、昔伊折君は私宛てにラブレターを送ったことがあるんですよ」

   「えええええーーっ!?」

   「.................................は?」

 絶叫に包まれる教室。

 今まで聞いたことの無い程の鼓動の音を感じながら、僕の人生最大の隠し事を暴露した、白渡蓮花の顔を見つめることしか出来なかった。
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