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普段の日常
しおりを挟む『ロイ…こっちにおいで、ロイ 』
懐かしい、大好きな声。
「ん…」
天井とも言えないような、古びた木の板が目に入る。
「もう朝…」
窓から外を見ると、ちょうど日の出が出始めている。
またいつもの夢…
誰かが僕の名前を呼んでる。
誰か分からない…でも、とっても優しくて僕の大好きな声。
…と!こんな事考えてる場合じゃなかった!
僕は素早く身支度を整え、僕の寝所である小屋を出る。
僕の朝は、ニワトリの所へ行き卵をとる事から始まる。
この時、ちょうど産まれたばかりのひよこを眺めるのが癒しである。
「ピーピー」
「ふふっ、今日も可愛いね」
籠いっぱいの卵を貰い、厨房へと渡しに行く。
その後、使用人たちの服を洗い庭に干す。
「ロイッ!!」
「は、はいっ!領主様!」
ふくよかな体をした男性、領主のブート・ドルン様に深く頭を下げる。
「まだ仕事が終わってないのかッ!」
「すみせんっ!」
…くるっ!!!
目をぎゅっとつぶり、息を飲む。
━━━バシッッッ!!!━━━━
頭に衝撃を受ける。
「っっっ!」
「痛いか?」
「…いいえ」
領主様はふっと鼻で笑い上から僕を見下ろす。
「感謝しろよ。身寄りのないお前を引き取ってあげたんだからな」
「はい、ありがとうございます」
お辞儀をすると、領主様はガハガハと笑いお屋敷に戻って行った。
頭が痛いけど、徐々に痛さが引いていき僕は残りの仕事を終える。
夜になり、ご飯を食べて小屋に戻る。
「今日は月明かりが綺麗だ」
僕は1冊の古びた辞書をとり、月の光を頼りにして読む。
この本たちは領主様が捨てた本で、こっそり拾い集めたもの。
不思議なことに、何故かは分からないけれど字が読めた。
分からない事も本を読んで覚えた。
いつかここを出た時に、役立たせるために…。
「ま、そんな事出来ないか…」
虚しげに呟き、明日も早いと寝る事にした。
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