326 / 366
結ぶ龍曰く
しおりを挟む
その男は、不思議な音をたてた。
男は自分の音に気が付かないのか、こちらに笑顔を向ける。
「こんばんわ、お嬢さん」
野太く優しい声。
「怖がらないで」
こちらの後ずさりに気がついたのだろう、男が一言。
休日出勤した私は、仕事を午前中で終え、早く帰りたいと近道をしようと人気のない路地を通った。それがいけなかった。
(コンビニでご飯飼ってお風呂入って、撮りためた推し出演ドラマを、み……て。……え?)
路地の向こうは、見知った道なのに見知らぬ感覚にとらわれる。
思わず振り返ると、私が来たはずの路地が消えていた。
混乱して呆然となったが、携帯を取り出して場所を調べようとすると、不思議な音が聞こえてきた。
男は私に断って何処かに連絡をする。
「……そうだよ、“向こう側”の一般人。は?いや、知らんがな。それはそっちで調べてよ。とりあえず、“向こう側”に帰すから、きりますよ。はいはい、小言は後で」
男が喋る最中に、携帯をちらりと見たが圏外だ。
「ここ、ちょっと特殊で、出口案内しますね」
男に案内されて、知った道に出る。
礼を言おうと振り返ると、案内された道はなくなっていた。
男は自分の音に気が付かないのか、こちらに笑顔を向ける。
「こんばんわ、お嬢さん」
野太く優しい声。
「怖がらないで」
こちらの後ずさりに気がついたのだろう、男が一言。
休日出勤した私は、仕事を午前中で終え、早く帰りたいと近道をしようと人気のない路地を通った。それがいけなかった。
(コンビニでご飯飼ってお風呂入って、撮りためた推し出演ドラマを、み……て。……え?)
路地の向こうは、見知った道なのに見知らぬ感覚にとらわれる。
思わず振り返ると、私が来たはずの路地が消えていた。
混乱して呆然となったが、携帯を取り出して場所を調べようとすると、不思議な音が聞こえてきた。
男は私に断って何処かに連絡をする。
「……そうだよ、“向こう側”の一般人。は?いや、知らんがな。それはそっちで調べてよ。とりあえず、“向こう側”に帰すから、きりますよ。はいはい、小言は後で」
男が喋る最中に、携帯をちらりと見たが圏外だ。
「ここ、ちょっと特殊で、出口案内しますね」
男に案内されて、知った道に出る。
礼を言おうと振り返ると、案内された道はなくなっていた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる