キツネと龍と天神様

霧間愁

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見込み外れの天神曰く

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 小さな駆動音が起動と共に鳴り始めた。
 男は依然と同じく手鏡を置いてやる。
「おぉぉお」
 男の眷属たる駆動音の主は、可愛らしい声でゲスな感嘆を発していた。

「良き、良き出来栄えですぞ、我が主!胸だけでも軟質樹脂と思っていたが、ほぼ全身にこんな凄い。主ヌシ、跳ねると弾みますぞ、もっちりモチ餅な、このボデー、実に素晴らしい、素晴らしいですぞ」
 男は眷属に提案された製法と材料で、眷属に軟質樹脂製の皮膚を与えてやった。男としては、眷属が望み自身で思考しデザインしたものがどれほどのものかを確かめる実験でもあったので、大した労力とも思っていない。
「このたわわな……、うへへへ」
 眷属は両手で自分の胸を抱えて笑っている。かと思えば、急に元気をなくす。
「悔しい、悔しいです。なぜこの掌に触覚センサーが埋め込まれていないのか……」
 「あ、でも指の感圧の入力数値を柔らかさと定義して……」などと真面目に欲望に走る眷属。

 男は「やっぱりAIの方を再学習させるか」と思い始めていた。
 ちなみに眷属は放熱処理設計を忘れていたらしく、軟質樹脂製は胸と尻の部分だけになった。
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