キツネと龍と天神様

霧間愁

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冷たい龍曰く

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 男が扉を開けると別の世界だった。


 男が魔法使いに出会ったのは、偶然だ。
 村の呑み屋、その片隅で少女を連れて歩く風変わりな男に声をかけたのだ。

 自分は魔法使いだと云う男に、絡み酒でじゃぁ何か出してみろと挑発すると、突然目の前に扉が現れたのだ。
 酔いが冷めかけるが、「開けてみろ」という安い挑発に男はのってやることにした。

 目の前には、一面の花畑が広がり何処までも続いている。
 今度こそ、酔いは冷めた。
 振り返ると、安酒場。
 戻って扉の裏側を確認してしまうが、やはりそこには何もない。

 扉の向こうの花畑を覗き込んでいると、騒いだのを聞きつけた他の常連客が集まりだした。
 ドンと背中を押されて、男は扉の向こうに転んでしまう。
 扉が閉まる音が聞こえて、焦燥感に駆られた。

 慌てて起き上がり扉がまだあることを確認して、開く。

 すると、村は廃墟に変わり果てていた。
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