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顛末を言わない天神曰く
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ある晩に男が、野を駆けていた。
その装備から、何処かの国の兵士なのだろう。
腹が減ると速度を落としながら携帯食料を口にし、渇きを覚えたら水筒袋から水を放り込んだ。
「待て」
関所を通ろうとすると、門番が男を止めた。
「何処へ行く?」「王都までだ」「なにゆえ?」「知らせの為だ」「そうかでは行け」
また男は走り出す。
途中、川にかかる橋が落ちていた。いつかの増水で流れたのだろう。
男は回り道をすることにした。
「まて」
木や草を避けて山中を走っていると、姿も見えぬ誰かに止められた。
「何処へ行く?」「王都だ」「何故?」「知らせの為だ」「なんの知らせだ?」
と、言われて男は考える。
本当のことを言ったら、この声の主は通してくれるのだろうか?
「……、戦に負けたのだ。おそらくこの山も焼き払われる」「なんだと」「逃げるんだな」
声はそれきり聞こえなくなった。男は走り出す。
王都の門の前にたどり着くと、身に着けていた鎧を脱ぎ捨てて、自分の家にたどり着いた。
そして、出産した自分の妻に口づけする。
その装備から、何処かの国の兵士なのだろう。
腹が減ると速度を落としながら携帯食料を口にし、渇きを覚えたら水筒袋から水を放り込んだ。
「待て」
関所を通ろうとすると、門番が男を止めた。
「何処へ行く?」「王都までだ」「なにゆえ?」「知らせの為だ」「そうかでは行け」
また男は走り出す。
途中、川にかかる橋が落ちていた。いつかの増水で流れたのだろう。
男は回り道をすることにした。
「まて」
木や草を避けて山中を走っていると、姿も見えぬ誰かに止められた。
「何処へ行く?」「王都だ」「何故?」「知らせの為だ」「なんの知らせだ?」
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