キツネと龍と天神様

霧間愁

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裸を指摘する龍曰く

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 チャイムは大きめに聞こえた。

 宝籤で大金を得た男の話。

 一人暮らし襤褸アパートは変わらず、好物になった缶珈琲のブラック。
 籤に当たったことは誰にも言っていない。

 チャイムが鳴っている。

 籤を金に換え、生活に困らなくなった日々に男は困っていた。
 毎日が休日。
 これまで仕事仕事の生活だったので、休日に何をしていたらいいかわからないのだ。

 寝起きでドアアイ扉の覗き穴から見ると、夜逃げして男を見捨てた社長がいた。

 扉を開けずに何か御用ですかと尋ねると、金を貸してほしいと一言。居座りそうな雰囲気。男の中で人間嫌いが加速していく。渡したら帰ってくださいとなんとか約束させた。
 一万円と思ったがやめて、使い込まれた五千円を取り出して茶封筒に入れる。
 扉の隙間から渡すと、ひったくる様に取って礼も言わずに代わりにチラシを一枚手渡してきた。
 五千円を確認して社長はほくほく顔で帰っていく。

 その後ろ姿を見ながら男はため息一つ。

 チラシは近所のお店の、しかも数年前のモノで、VRゲームの販売を謳ったものだった。
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