キツネと龍と天神様

霧間愁

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知ろうとする天神曰く

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 疎らに空席が目立つオフィス。
 それでも電話が鳴り、キーボードを叩く音。
 各部署に問い合わせのメールと電話。
 客やクライアントへのメールと電話。

「すいませんでした」
 女が謝ると、頭を下げた先に男。
「まぁ、仕方ないとはいえ、起こってしまったことだ。先方には謝りに行くよ」
 女が「はい」と項垂れた気分のまま、自席に戻って仕事に戻ろうとした。
 問い合わせのメールの対応を、と思った矢先に個人の携帯端末が微振動。
 通信アプリのチャット着信音。

 〔課長:ぷぎゃー〕

 ふと、先ほどまで謝っていた方、男を見る。
 男は素知らぬ顔でキーボードを叩いていた。

 〔私:は?〕
 〔課長:ちょ。怖いんですけどー〕
 〔私:彼氏になったからって、調子乗んな〕
 〔課長:ワカリミ〕

 女からは男が携帯を触っている様子が見られない。

 〔私:後で会いたい〕
 〔課長:社内での距離感は謀っていきたい。昼休みに屋上で待ってる〕
 〔私:言ってることとやってることがちげーんだよな。ありがと〕
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