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形を探す天神曰く
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「誰かを待つのは嫌い。待たれる方がいい」
と、女が言った。
男はそれを黙って聞いた、女の身体に触れながら。返事をせず、ベッドから上半身だけ起こして紫煙を纏う。
「漠然とする感覚に怯えていくのは不安。その不安に敗けそうになる」
女がまた言った。よく知らない煙草の銘柄のその匂いに女は目を細める。
「不安になったら、そうね。命を終えたくなるくらいの虚無が始まるのよ」
虚空に言葉を投げ出すように、女は独り言を。男はただそれを静かに聞いた。
男は女の身体を撫でてやる。
「貴方っていつも、そう。私の話なんて一つも聴いてない」
拗ねたように声をだした女だが、触られていることに機嫌をよくする。
「あぁ、結局、いつものようにご飯食べて、軽く運動して、貴方の帰りを待つだけの存在なのよね。本当に腹が立つわ」
女の様子を見た男がベッドから立ち上がり、いつものキャットフードを適量にエサ入れに用意した。
「今日のご飯の時間だよ」
某所、朝。
と、女が言った。
男はそれを黙って聞いた、女の身体に触れながら。返事をせず、ベッドから上半身だけ起こして紫煙を纏う。
「漠然とする感覚に怯えていくのは不安。その不安に敗けそうになる」
女がまた言った。よく知らない煙草の銘柄のその匂いに女は目を細める。
「不安になったら、そうね。命を終えたくなるくらいの虚無が始まるのよ」
虚空に言葉を投げ出すように、女は独り言を。男はただそれを静かに聞いた。
男は女の身体を撫でてやる。
「貴方っていつも、そう。私の話なんて一つも聴いてない」
拗ねたように声をだした女だが、触られていることに機嫌をよくする。
「あぁ、結局、いつものようにご飯食べて、軽く運動して、貴方の帰りを待つだけの存在なのよね。本当に腹が立つわ」
女の様子を見た男がベッドから立ち上がり、いつものキャットフードを適量にエサ入れに用意した。
「今日のご飯の時間だよ」
某所、朝。
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