キツネと龍と天神様

霧間愁

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憤る龍曰く

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 妖刀ってのがある。
 まぁ、どっかの誰からが人生かけて酔狂で打った刀だ。

 よく切れる。何でも斬れる。絶対にぶった切れる。
 箸しか持ったことのないご令嬢だろうが、杖を突かねば歩めないご老人だろうが、その刀を持てば、斬ろうと思ったものを斬れる。
 ただし、どんな剣の達人でも、手元が狂って別の誰かを斬ってしまうらしい。

 だから、手に入れたいと願う輩がいた。権力者、暗殺者、ただの主婦。


 儂がその妖刀で岩を叩き切った時は、手元が狂うことはなかったな。
 あぁ、人間じゃないからか……?
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