キツネと龍と天神様

都市伝説が好きな天神曰く

　こんな話を知ってるかしら？
　下水道で生きている鰐の話。まぁ割と有名、かしらね。

　鰐は孤独だった。孤独は嫌いじゃない、ただ自分の思ったことを言葉として伝えられない寂しさがあった。
　それでも、鰐は孤独は嫌いにならなかった。
　ある時、散歩中に人間と出会う。
　声をかけようとすると、人間は叫んで逃げていった。
　鰐は思う。最近、大きくなり過ぎた気もする。でも、まぁ、下水道鰐として立派に生きているという証拠だろう。
　しばらくすれば学者たちがやってきて学名をつけてくれる、鰐はそんなことを考えながら汚れた水に潜った。

　命乞いする鼠から聞いた話に鰐は動揺した。
　何処かの街で仲間の下水道鰐が射殺されたらしかった。
　なんと、これはまずいぞ。鰐は鼠をかみ砕きながら、この下水道から逃げ出すことを思索した。
　ただどうにも大きくなり過ぎて、何処にも行けない。

　一旦、身を潜めよう。

　もしも鰐が駄目なら、鮫か猿か。次は何になろう。