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第一章 学園生活
第九話 孤独将・神威
しおりを挟む怨怪は、考える。
早く主を、復活させなければ、と。
1000年前、封印された主に代わり、必ずや、あの憎き人間を殺すのだ、と。
―――――――――――――――――――――――――――
まずいな…。
俺は、そう考えながら、出口へと向かう。
侵入者が、予想通り〝十禍将〟だとしたら、間違いなく、狙いは俺だろう。いや、正確には、俺の左目だろうが。
それと、ついでに十二天翼の持つ、魔刀の破壊だな。
しかし、〝奴ら〟が、動くとは、思ってなかった。
と、思考出来たのは、そこまでだった。
なぜなら、何かが、上の第一演習場の床を突き破り、俺の前に、現れたのだから。
煙が引いていくと、目の前にいたのは、黒髪に金色のメッシュ、さらには、怨怪特有の黒と赤の目をした男が、立っていた。
突然の敵の出現に、先輩方は、驚きながらも、俺を庇いながら、侵入者と、対峙する。
「一年生は、下がってて!こいつは、俺達が、片付ける!」
と、侵入者に切り込んだのだが、
「何こいつ。邪魔。」
侵入者が、人差し指を、軽く上げただけで、先輩方は、吹っ飛ばされた。
それどころが、今ので、全校の半分が肉片へと、成り果てていた。
「なっ…?!」
他の先輩方は驚きのあまり、動けないでいる。
すると、侵入者が、語りかけてきた。
「お前が、我が主の左目を持つ者か?」
「そうだ」
「そうか、俺は、神威。たしか、孤独将と、呼ばれていた。我が主の左目を返してもらうぞ?」
その瞬間、閃光が弾けたと思った時には、既に神威が、こちらに蹴りをいれてきていた。
「ッ?!」
ギリギリ、避けると、俺は、すぐさま、黒い呪符を取り出し、詠唱を、始める。
『願いたもう。叶えたもう。漆黒より生まれし闇に我、手を伸ばさん。無より生まれし怨念に堕ちし怪を浄め祓う為の力よ。今ここに、顕現せん。』「呪い喰らえ『無月』」
すると、漆黒の呪符が、一振り刀に変化した。
そして、鋭い軌道で、剣を神威へと、滑らせる。
しかし、神威は、軽く躱すと、
「なかなかの腕だな。だが、俺には届かない。」
すると、神威が、呪符を、取り出した。
「呪符…?!」
さらに、神威は、詠唱を唱える。
『怨め。呪え。我がこの身に宿りし、破滅の装具を解き放ち、暴虐の嵐を吹かせよう』「蹴り殺せ『殲龍脚装』」
神威の足に、呪装が施された。
「呪装だと?!あり得ない?!」
「怨怪が、呪装を使うのが、そんなに不思議か?」
そう言った神威は、俺の視界から消え、その時既に神威におもいっきり、蹴られて、俺は、吹っ飛ばされていた。
「がはっ…!がはっ…!」
「もう、終わりか?」
頭を掴むと、持ち上げる。
「つまらないなー。ま、いいや、左目は、返してもらうぞ?」
神威は、手を伸ばした。
しかし、燐が、なにか、決心したように、
神威の手を、振りほどき、声を発した。
「だよな。呪装した敵に、こちらは、始解とか、どんな嘗めプだ、って話だよな。」
「なんだ?何が言いたい?」
「つまり、俺も、魔刀解放してやるって言ってんだよ…!!」
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