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雫の本当の気持ち
しおりを挟む「さっきも紹介があったけど、一応ね?
俺は黒神涼真。よろしく。ってことで。
『術式展開』」
黒神先輩を中心に術式が展開される。
『龍神霊装』
黒神先輩を水が包み込み、そして水から出て来たときには、既に竜人の姿へと成っていた。
「さぁ!行くよ!」
と、言いつつ、呪力を掌に集め始めた。
一気に決めるつもりなのだろう。
なにもせずに、その時を待とう。
そう思った時であった。大河が叫んだのは。
「雫ー!!お前は本当にそれでいいのかよ?!」
と。
「…俺は、母さんを悲しませたくない…。」
俺がそう答えると、大河は
「悲しませたくない??それはただの逃げだろうが!!おばさんを理由にして、自分の気持ちまで理性で封じ込めて、逃げてんじゃねぇよ!!
それとな!!
お前が!!呪術技をやめたいなんて言ったことは!呪術技を始めた時から、一度だって口にしたことはねぇぞ!!
だから逃げんなー!!
向き合え!!雫ーー!!」
そこて俺は、ハッとした。
そうだ。
今まで俺がやってきたことは、全て〝逃げ〟だったのだ。
親友にここまで言ってもらはないと、今まで逃げていたことにさえ、気付けない程、俺は馬鹿だったのだ。
しかし、ここまで言って貰って向き合わない程、愚かでもない。
俺は、決意を込めて、大河に叫ぶ。
「大河ー!!
俺に掛けられた枷をぶち壊してくれてありがとう…!!
俺は!呪術技がやりたい!呪術技が、大好きなんだー!!」
「それでいい。見せてくれよ。お前の、その沸き上がる感情〈じゅりょく〉を…!!」
「応!
『術式展開』!!」
俺を中心に燦然と光り輝く術式が展開される。
『鬼神霊装』
鬼神を象った黒雷と黒炎が混ざり合い、雫を包み込んだ。
そして出てきたのは、緋い瞳の周りが黒く、鋭利なツノがあり、さらに、対峙した者を絶望させるような冷酷な表情が印象的な鬼神だった。
そして、その姿を見た黒神は気付いた。
「〝酒呑童子〟…!!」
と、呟く。
「よく俺の事なんて覚えていましたね」
「当たり前さ。なんせ俺が何度も負けた、そしてなにより、初めて尊敬した呪術師なんだからね。小学生の時は一勝も出来ずに惨敗なんて生温いくらいにボロカスにされたんだ。
忘れるわけないだろう?」
うーん。正直、この人の事は、全く憶えてない。
それどころか、何度も何度も闘ってた事に驚いたくらいだし。
まぁいい。
「確かに、俺は〝酒呑童子〟です。そして、何度も闘った事のある黒神先輩なら、俺の特異点と〝酒呑童子〟の由縁についても、ご存じのはずですよね?」
そう言い、動き出す。瞬間、黒神先輩に拳が叩き込まれていた。
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