偽勇者は救世主である。

千年魔王と、人類の失策

　魔王は凡そ百年に１度発生する。
　その種族は定まっておらず、時に竜か、時にゴブリンが、時に狼が、時にウサギが。
　共通しているのは魔王魔物を束ね、魔物以外の生物を蹂躙してくること。

　今・の魔王ジャドグミヤは1000年以上前に発生した。
　記録によると、ジャドグミヤは当時栄えていた大国の青年だった。産まれた時・・・・・から魔王だったのか、その時・・・に魔王に成った・・・のかは分からない。
　ある日ジャドグミヤは王都の人間を根絶やしにし、その城を最初の魔王城にした。

　以来、幾度も勇者は現れたが、魔王を倒せるまでに成長する前に倒された。
　ジャドグミヤは人間型であるためか、人間を知り過ぎていた。
　近年になって発覚したことだが、ジャドグミヤは度々変装して人間社会に潜り込んでいるようで、如何に上手く勇者を隠蔽しようとしても暴かれてしまう。

　そこで女神は囮を用意した。勇者ではないが、勇者に準ずる実力を持った者をだ。
　上層部でもほんの一握り……各国の国王ですら知ることはない最重要機密トップシークレット。
　それによって、囮勇者パーティを組み、本命の勇者が育つまでの時間稼ぎをさせる予定だった。

　しかし、その機密性が仇となった。

　国王を始めとする「囮勇者計画」を知らない者たちが、囮勇者デコイを偽勇者イミテートとして追放したのだ。