バッタのトビ

こぐまじゅんこ

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バッタのトビ

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 バッタのトビが、おさんぽしていました。
 トビは、まだ小さいので知らないことがいっぱいあります。
 きょろきょろあたりをみまわして、
(あれはなんだろう?)
って、いつも不思議に思っているんです。
 トビは、風にゆれているピンク色の花をみつけました。
「あのピンク色の花の名前はなんていうのかな?」
 トビは、空をとんでいるトンボじいさんに聞いてみました。
「あー、あの花はコスモスっていうんじゃよ」
と、やさしく答えてくれました。
「そうなんだ。あっ、どこからかいいにおいがする~。なんだろう?」
 トビが鼻をくんくんさせました。
「おー、きんもくせいの花が咲いたんじゃのう」
 トンボじいさんが、うれしそうに言いました。
「となりのおばあちゃんの家の庭に咲いとるわい」
 トビは、
「行ってみる!」
と言うと、えいやっと、とびたちました。
 きんもくせいの木の下におりると、ふわーっといい香りが漂っています。
「いらっしゃい、トビ」
 きんもくせいの木が、やさしく迎えてくれました。
「なんだかぼく、気持ちよくなっちゃった」
 トビは、
「ふわぁ」
と、あくびをすると寝てしまいました。

 秋のやわらかな陽ざしが、トビを包んでいます。
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