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しげるくんとカッパのお守り

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「はやく学校に行きなさい!」
 お母さんの声がとんできます。
 しげるくんは、小学一年生。
 このごろ、学校に行くのがおっくうなんです。
 なにが嫌って理由もないんだけど、朝起きたら、このまま家で遊んでいたいなぁって思っちゃうんです。
 おかあさんは、毎朝、しげるくんを学校に行かせようとがんばっています。
 今朝は、支援の先生も迎えに来てくれました。
 支援の先生とおかあさんと、しげるくんの三人で学校に行くことになりました。
 しげるくんは、しぶしぶ制服に着替えて、ランドセルを背負いました。
「じゃんけんしながら行こうか」
 支援の先生が、
「じゃんけん ぽん」
と、パーをだしました。
 しげるくんも思わずチョキをだしました。
「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」
 大股で歩いていきます。
 そうして、何度もじゃんけんをしながら、ぐんぐん歩いていけました。
 じゃんけんは楽しかったけれど、校門までくると、しげるくんは、やっぱり家に帰りたくなりました。
 おかあさんが、
「じゃあ、これをお守りにして持っていきなさい」
と言って、カッパのポーチをとりだしました。
「ポーチの中身はだしとくね」
 おかあさんは、中身をだすと、カッパのポーチをしげるくんにわたしてくれました。
 緑色のとぼけた顔のカッパが、かわいいです。
「わかった」
 しげるくんは、カッパを大事にもって校門をくぐりました。
「がんばってきたね!」
 教室に入ると、先生がほめてくれました。
 しげるくんのカッパをみて、
「あれ、かわいいカッパだね」
と先生が言いました。
「お守りなんだよ」
「そう、いいね」
 先生は、にっこりわらいました。
 しげるくんは、カッパを机の中にしまいました
 休み時間になりました。
 しげるくんは、また家に帰りたくなりました。
「あーあ、かえりたいなぁ」
 しげるくんがつぶやくと、どこからか声がしました。
「だいじょうぶ だいじょうぶ」
「だれ?」
 しげるくんが、きょろきょろしていると、
「ぼくだよ。カッパだよ」
 しげるくんは、机の中のカッパをとりだしました。
「ほら、みんなと遊ぼうよ」
 カッパがしゃべっています。
 しげるくんのところに、クラスの子が集まってきました。
「しげるくん、このカッパなに?」
「なんかとぼけた顔だね」
「かわいいね」
 みんなカッパに夢中です。
 カッパはだまってすましています。
「しげるくん、外で鬼ごっこしよう!」
 あおくんが言いました。
「やろう、やろう!」
 かずくんも、ゆうくんも、そう言って、運動場にでていこうとしています。
「うん、ぼくも行く!」
 しげるくんも、元気にかけだしました。

 カッパは机の上でにっこりしていました。
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