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声優くずれの岡崎の鬱屈
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共栄教会の男子寮の狭い一室で、岡崎正英はチューハイの缶を開けて一口飲んだ。
薄暗い蛍光灯の光が、築50年の二階建てアパートの古びた壁紙を照らし、部屋には彼の孤独と惨めさが漂っている。
部屋の角には、脱ぎ散らかした衣類、敷きっぱなしの布団、散らかったコンビニの空き容器。
岡崎はぼんやりとチューハイを飲みながら、みじめな過去のことを思い返していた。
「何もかも失敗してばっかの人生だった…」
彼はため息をつきながら、天井を見上げた。
島根県の田舎町から声優にあこがれて東京へ出てきた10代の頃の自分が、今この惨めな姿を見たらどう思うだろう。
声優養成所に通い、アルバイトで生計を立てながら夢を追い続けた日々。
だが思い通りにはいかず、こらえ性もなかったのですぐに声優の道を諦めることになった。
それからも、何かクリエイティブな仕事に就きたいと、ゲーム制作者やアニメーターを目指して専門の学校に入ったが、不器用で覚えの悪い彼はどれも途中で挫折し、結局は中途半端なまま放り出してしまった。
「俺には何もできなかったんだよな…」
岡崎は自嘲気味に呟いた。
30代後半になって正規の仕事にもつけず、気が付けばヤマト運輸の夜勤の日雇い労働でなんとか生活費を稼ぐ日々が続いた。
教団の寮に引っ越す前に住んでいたのは豊島区の家賃3万円の古びたアパートで、夕方仕事に出て朝に帰る生活、まさに「底辺」と呼ばれるような人生だった。
「それでも何者かになりたかったんだよな…」
彼はチューハイをもう一口飲み干し、机に乱暴に置いた。
その音が部屋の静寂に響く。
40歳手前の39歳になってしまった時、岡崎は「未経験から始めるAI技術者講座」の広告をYouTubeで見つけた。
新しいスタートを切れるかもしれないという淡い希望を抱き、合宿しての集中講座に申し込んだ。
だが、それが共栄教会の巧妙な罠であることを知るのは、合宿が始まってからのことだった。
最初はもちろん勧誘とは思わず、純粋に未経験からAIのことを教えてくれる職業訓練の場だと思っていた。
しかし、実際に連れて行かれたのは廃屋のような洗脳施設であり、そこで待っていたのは暴力と恐怖、そして徹底的な精神的支配だったのだ。
だが、その恐怖の中で彼はイ・リキョンの教えに出会った。
共栄教会という大きな家族に迎えられたこと、それが彼の救いだのである。
いつの間にか他人を妬んでばかりの自分、みじめな気持ちで自己否定を繰り返していた彼を肯定してくれる場所がそこにはあったのだ。
「妬むのは悪いことではない。間違っているのは、お前から成功の果実を奪い取った者たちだ」
イ・リキョンの語録には、そう書かれていた。
岡崎のような何もかもうまくいかず、くすぶり続ける者たちにとってそれは救いの言葉だった。
彼らは自分が悪いのではなく、自分が羽ばたくのを押さえつけ、搾取し続けた他者こそが悪なのだと教えてくれたのだ。
彼は自分の部屋の小さなテーブルに置かれている語録を何度も何度も繰り返し読んだ。
その度に、まるで自分が生まれ変わるような感覚に襲われた。
社会に失望し、何をしても満たされなかった日々が、少しずつ浄化されるかのように感じた。
語録にはこうも書かれている。
「憎しみを抱け。嫉妬はお前を強くする。だがそのエネルギーを神のために使うのだ。お前の怒りを正義に変えろ。それこそが神の意志だ」
岡崎は、この言葉に深く心を揺さぶられた。
今までずっと押さえ込んでいた怒り、成功者たちへの嫉妬や恨みは、本当は悪いものではなかったのだ。
むしろそれは自分を強くする力だと教えてくれたのだ。
「そうだ、俺は間違ってなかったんだ…」
岡崎は胸の中に湧き上がる感情を感じた。
六反学一家への襲撃は、まさにこの教えを実践した瞬間だったのである。
成功者の家へ押し入り、その家族を恐怖に陥れて痛めつけた時、彼はかつてないほどの快感を覚えた。
「六反の女房子供をめちゃくちゃにしてやった、ざまあみろ…」
六反学のような富と名声を持つ人間がどれほど憎たらしかったか。
成功をおさめてあんな立派な家に住み、美しい妻と子供を持つ六反に与えた打撃が自分を救った気がした。
岡崎は缶を握りしめ、薄笑いを浮かべた。
だが、その笑みはすぐに消えた。
「桝の野郎…」
笑みを浮かべた時に今も残る口の中の傷が痛み、頬を押さえながらあの強盗事件での楽しい思い出が桝充利への抑えきれない怒りに変わったからだ。
あの時、自分と同い年で三人の子持ちにもかかわらず、若い頃の美貌を保持していた六反の妻・香織に欲情した岡崎は高木とともに犯そうとしたのだが、それを邪魔して横取りしたのが桝と金だった。
「勝手なことをするな」とか言って自分と高木を殴った桝は金とそれぞれ代わる代わる母娘を強姦し、自分たちの番になったと思ったら「撤収だ」とか言って引きずるように外へ連れ出した。
しかも帰りの車の中で「勝手なことをした」とか言う理由で何発も自分や高木を殴ったのだ。
今も痛む口の中の傷はその時にできたものである。
おまけに何千万も盗っておきながら分け前を少しもよこしやしない。
桝との出会いは合宿であり、岡崎を洗脳する「導き手」を奴が他の者と交代でやっていた。
合宿の最中、岡崎を「ゴミオヤジ」だの「無能」だのとさんざん罵り、暴行を加えては洗脳。
吊るされて殴られたり、まるで人間扱いされなかったことを洗脳された頭でも忘れることはできない。
桝はもともと「未経験から始めるAI技術者講座」とは別の勧誘組織の男であったが、自分が属するようになった共栄教会の「教区」の「教区司祭」という幹部でもあるから、教会に入信してからずっと桝による支配は続いている。
彼は信者の勧誘や洗脳、さらには管理まで行う役割を担っており、共栄教会の男子寮に住む岡崎は、日雇いで得たわずかな稼ぎの半分を「寮費」や「信仰貢献」として取り上げられ、残る金はあまりない。
このチューハイだってそんななけなしの金で買ったささやかな楽しみなのだ。
しかも桝は普段から岡崎をこき使ってあれやこれや雑用を押し付け、少しでもヘマをすると怒鳴りつけ、暴力をふるった。
「神の下では平等だって言ってるくせに…」
岡崎はそう思ったが、桝には逆らえない。
年下だが教会の中での桝の地位は高く、教会の中での上下関係は絶対なのだ。
何よりも恐ろしいのは彼の腕力だった。
逮捕歴もあり、ついこないだまで現役の暴力団組員だった桝は圧倒的な暴力という力を持っているのだ。
岡崎は屈辱的な思いを抱えながら、チューハイを一気に飲んで再びため息をついた。
桝や金善均に対する恐怖と怒り、そして自分の無力感。
それはイ・リキョンの教えでも解決できずに彼の心を締め付け、彼をさらに深い絶望へと追いやる。
岡崎は、冷たいチューハイの最後の一滴を飲み干し、机の上に缶を投げ捨てた。
薄暗い蛍光灯の光が、築50年の二階建てアパートの古びた壁紙を照らし、部屋には彼の孤独と惨めさが漂っている。
部屋の角には、脱ぎ散らかした衣類、敷きっぱなしの布団、散らかったコンビニの空き容器。
岡崎はぼんやりとチューハイを飲みながら、みじめな過去のことを思い返していた。
「何もかも失敗してばっかの人生だった…」
彼はため息をつきながら、天井を見上げた。
島根県の田舎町から声優にあこがれて東京へ出てきた10代の頃の自分が、今この惨めな姿を見たらどう思うだろう。
声優養成所に通い、アルバイトで生計を立てながら夢を追い続けた日々。
だが思い通りにはいかず、こらえ性もなかったのですぐに声優の道を諦めることになった。
それからも、何かクリエイティブな仕事に就きたいと、ゲーム制作者やアニメーターを目指して専門の学校に入ったが、不器用で覚えの悪い彼はどれも途中で挫折し、結局は中途半端なまま放り出してしまった。
「俺には何もできなかったんだよな…」
岡崎は自嘲気味に呟いた。
30代後半になって正規の仕事にもつけず、気が付けばヤマト運輸の夜勤の日雇い労働でなんとか生活費を稼ぐ日々が続いた。
教団の寮に引っ越す前に住んでいたのは豊島区の家賃3万円の古びたアパートで、夕方仕事に出て朝に帰る生活、まさに「底辺」と呼ばれるような人生だった。
「それでも何者かになりたかったんだよな…」
彼はチューハイをもう一口飲み干し、机に乱暴に置いた。
その音が部屋の静寂に響く。
40歳手前の39歳になってしまった時、岡崎は「未経験から始めるAI技術者講座」の広告をYouTubeで見つけた。
新しいスタートを切れるかもしれないという淡い希望を抱き、合宿しての集中講座に申し込んだ。
だが、それが共栄教会の巧妙な罠であることを知るのは、合宿が始まってからのことだった。
最初はもちろん勧誘とは思わず、純粋に未経験からAIのことを教えてくれる職業訓練の場だと思っていた。
しかし、実際に連れて行かれたのは廃屋のような洗脳施設であり、そこで待っていたのは暴力と恐怖、そして徹底的な精神的支配だったのだ。
だが、その恐怖の中で彼はイ・リキョンの教えに出会った。
共栄教会という大きな家族に迎えられたこと、それが彼の救いだのである。
いつの間にか他人を妬んでばかりの自分、みじめな気持ちで自己否定を繰り返していた彼を肯定してくれる場所がそこにはあったのだ。
「妬むのは悪いことではない。間違っているのは、お前から成功の果実を奪い取った者たちだ」
イ・リキョンの語録には、そう書かれていた。
岡崎のような何もかもうまくいかず、くすぶり続ける者たちにとってそれは救いの言葉だった。
彼らは自分が悪いのではなく、自分が羽ばたくのを押さえつけ、搾取し続けた他者こそが悪なのだと教えてくれたのだ。
彼は自分の部屋の小さなテーブルに置かれている語録を何度も何度も繰り返し読んだ。
その度に、まるで自分が生まれ変わるような感覚に襲われた。
社会に失望し、何をしても満たされなかった日々が、少しずつ浄化されるかのように感じた。
語録にはこうも書かれている。
「憎しみを抱け。嫉妬はお前を強くする。だがそのエネルギーを神のために使うのだ。お前の怒りを正義に変えろ。それこそが神の意志だ」
岡崎は、この言葉に深く心を揺さぶられた。
今までずっと押さえ込んでいた怒り、成功者たちへの嫉妬や恨みは、本当は悪いものではなかったのだ。
むしろそれは自分を強くする力だと教えてくれたのだ。
「そうだ、俺は間違ってなかったんだ…」
岡崎は胸の中に湧き上がる感情を感じた。
六反学一家への襲撃は、まさにこの教えを実践した瞬間だったのである。
成功者の家へ押し入り、その家族を恐怖に陥れて痛めつけた時、彼はかつてないほどの快感を覚えた。
「六反の女房子供をめちゃくちゃにしてやった、ざまあみろ…」
六反学のような富と名声を持つ人間がどれほど憎たらしかったか。
成功をおさめてあんな立派な家に住み、美しい妻と子供を持つ六反に与えた打撃が自分を救った気がした。
岡崎は缶を握りしめ、薄笑いを浮かべた。
だが、その笑みはすぐに消えた。
「桝の野郎…」
笑みを浮かべた時に今も残る口の中の傷が痛み、頬を押さえながらあの強盗事件での楽しい思い出が桝充利への抑えきれない怒りに変わったからだ。
あの時、自分と同い年で三人の子持ちにもかかわらず、若い頃の美貌を保持していた六反の妻・香織に欲情した岡崎は高木とともに犯そうとしたのだが、それを邪魔して横取りしたのが桝と金だった。
「勝手なことをするな」とか言って自分と高木を殴った桝は金とそれぞれ代わる代わる母娘を強姦し、自分たちの番になったと思ったら「撤収だ」とか言って引きずるように外へ連れ出した。
しかも帰りの車の中で「勝手なことをした」とか言う理由で何発も自分や高木を殴ったのだ。
今も痛む口の中の傷はその時にできたものである。
おまけに何千万も盗っておきながら分け前を少しもよこしやしない。
桝との出会いは合宿であり、岡崎を洗脳する「導き手」を奴が他の者と交代でやっていた。
合宿の最中、岡崎を「ゴミオヤジ」だの「無能」だのとさんざん罵り、暴行を加えては洗脳。
吊るされて殴られたり、まるで人間扱いされなかったことを洗脳された頭でも忘れることはできない。
桝はもともと「未経験から始めるAI技術者講座」とは別の勧誘組織の男であったが、自分が属するようになった共栄教会の「教区」の「教区司祭」という幹部でもあるから、教会に入信してからずっと桝による支配は続いている。
彼は信者の勧誘や洗脳、さらには管理まで行う役割を担っており、共栄教会の男子寮に住む岡崎は、日雇いで得たわずかな稼ぎの半分を「寮費」や「信仰貢献」として取り上げられ、残る金はあまりない。
このチューハイだってそんななけなしの金で買ったささやかな楽しみなのだ。
しかも桝は普段から岡崎をこき使ってあれやこれや雑用を押し付け、少しでもヘマをすると怒鳴りつけ、暴力をふるった。
「神の下では平等だって言ってるくせに…」
岡崎はそう思ったが、桝には逆らえない。
年下だが教会の中での桝の地位は高く、教会の中での上下関係は絶対なのだ。
何よりも恐ろしいのは彼の腕力だった。
逮捕歴もあり、ついこないだまで現役の暴力団組員だった桝は圧倒的な暴力という力を持っているのだ。
岡崎は屈辱的な思いを抱えながら、チューハイを一気に飲んで再びため息をついた。
桝や金善均に対する恐怖と怒り、そして自分の無力感。
それはイ・リキョンの教えでも解決できずに彼の心を締め付け、彼をさらに深い絶望へと追いやる。
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