狙われた楽園~20〷年日本国滅亡への序章~

44年の童貞地獄

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脱糞女と壊される心

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繭たちは黒いジャージ姿の若者にどやされながらバスから降ろされると古びた建物の中に入れられた。

建物の中は壁にはカビが生え、床はひび割れていて、どこを見ても不気味さしか感じられない。
部屋には窓がなく、外の光は一切入らないようになっていた。

否応なく恐怖と不安が交錯する中で、彼らは無情にも男女別々の部屋に振り分けられる。
廊下を歩くたびに、繭の心は凍りつくような恐怖に包まれていた。

「全員、ここで服を脱げ!そして四つん這いになれ!」

繭が入れられた女性だけの部屋に着くと、無感情に命令する黒いジャージ姿の女性インストラクターの声が響く。
彼女はスポーツ選手か何かのように体格が良く、逆らったら体罰も辞さない構えのようだ。
部屋に押し込められた繭や真奈美ら7人の女性参加者たちは何が起こっているのか理解できないまま、命令に従わざるを得なかった。
モタモタしていた向こうの三十代くらいのメガネの女性が他の女性インストラクターに頭をはたかれている。
繭たちは全裸にされて四つん這いにされ、膣や肛門を覗かれるという刑務所のような屈辱的で無意味な身体検査を受けさせられる。

繭はこの時点で恥ずかしさのあまり精神がきしみ始めていた。
おまけに自分を検査した女から「くっせえ!」と叫ばれて尻を叩かれ、もう人生が終わったとすら思えて涙する。

その場でスマートフォンはもちろん私物はすべて取り上げられ、代わりに濃い空色の無地の上下トレーナーが渡された。

「これを着ろ!」

トレーナーを手にした瞬間、繭は嫌な酢のような臭いが鼻を突くのを感じた。
しかも染みがついている。
それが一体何のためのものなのか、彼女にはわからなかったが、今の状況で抗議することはできなかった。
彼女たちは無理やりくさい服に着替えさせられ、再び廊下に並ばされた。

「列を作って移動しろ!」

冷たく言い放たれた命令に従い、繭たち参加者は列を作って移動を始める。
女性ばかり7人は早くもすすり泣きを始めていた。

そして廊下を進んだ先で、繭たちは一瞬息を飲む光景に出くわす。

廊下の片隅に、後ろ手錠をかけられ、首に金属製の首輪をつけられた若い女性が正座させられていたのだ。
自分たちより前に来た参加者らしい。
彼女の目はうつろで涙が流れた後があり、口には猿轡がはめられてそこからとめどなくよだれが流れ、自分たちと同じ空色のトレーナーに大きなシミを作っている。
さらに、彼女の周囲には強烈な悪臭が漂っていた。
彼女は脱糞しているらしく、異様な臭いが廊下に充満していたのだ。

繭はその光景に目をそらしたかったが、目が離せないまま進むしかなかった。
何が自分たちを待っているのか、その恐怖が一層強く心を締め付ける。

やがて、一行は広間のような場所に到着。
広間にはすでに男の参加者たちが並んでおり、男たちも自分と同じ空色のトレーナーを着せられていた。
部屋の空気は重く、どこか異様な緊張感が漂っている。

「正座しろ!手を後ろに組め!」

インストラクターたちの命令に従い、繭たちは正座させられ、そのまま手を後ろに組むや、バンドのようなもので拘束され、体を動かすことができなくなった。
繭は周囲を見回しながら、なぜ自分がこんな状況に置かれているのか理解できないまま、心の中で恐怖が膨れ上がるのを感じていた。
目から涙がこぼれる。

その時、繭は桝充利の姿を見つけた。
以前、喫茶店で見かけによらず親切そうに相談に乗ってくれたあの桝であったが、今は全く違う人物のようである。
繭は思わず彼に助けを求めるような視線を送ったのだが、桝は露骨に知らんぷりをし、「てめえなんざ知らねえ」という態度をとるのだ。
その冷たい態度に、繭の心は再び砕かれた。

「さあ、お前たちの自己紹介を始めようか。だが、ここでは自分がいかに劣ったみじめな人間かを言うんだ」

参加者と同じ人数いる黒いジャージを着たインストラクターたちは、一人一人に向き合い、冷酷な言葉を浴びせた。

繭は、担当の女性インストラクターに命じられるまま、涙ながらに自分の過去を語り始める。
容姿に恵まれなかったがために幼少期よりいじめられ、自分がいかに孤独で、劣等感にさいなまれ、誰からも愛されていないと感じているかを告白した。

しかし、インストラクターは冷たく言い放った。

「お前はウソを言っている。お前のそのひどいツラだともっとみじめなことがあったはずだ。もっと本当のことを言え!」

その言葉に、繭はさらなる屈辱を味わうことになった。
彼女は必死に言葉を絞り出し、泣きながら自分の無価値さを告白し続けたが、インストラクターの態度はさらに冷酷さを増し、髪の毛を引っ張られて「泣いてんじゃねえ!」と怒鳴られた。

一方で、隣に座っていた真奈美は、涙目どころか既に泣き声を上げている。
彼女は何度も同じ言葉を繰り返し、訴えかけようとしたが、担当の別の女性インストラクターに髪の毛をつかまれ、激しく罵声を浴びせられていた。

「お前は弱すぎる!くよくよしてばかりで何もできないゴミだ!その泣き顔を見るとイライラする!!」

真奈美は泣きじゃくりながら、インストラクターの激しい言葉の暴力にさらされる。
彼女の心は完全に打ち砕かれ、絶望に染まっていた。

立花聡もまた、同じように厳しい状況に追い込まれていた。
彼の担当インストラクターは無表情なまま彼に言い放つ。

「お前はロクな企業に入れなかったことを分かっているのか?敗者である自覚はないのか?お前のような無能がどうしてこの世に存在しているんだ?」

立花はその言葉に抗うことなく、正座のままうつむく。
彼の心はすでに折れかけており、自分の無力さを痛感していた。

また、参加者たちは、それぞれが異なる偽りの面目で集められていたことに気づき始めることになる。

39歳の倉庫内作業アルバイト、岡崎正英は『未体験から始めるAI技術者養成講座』だと思ってこの場に来たと主張していたが、その主張がどれだけ馬鹿げているかを口汚くののしられた。

「てめえみたいな声優崩れでロクな職歴もないアラフォーの役立たずに、AIのことなんて分かるわけねえだろ!一生荷物運びしてろ!!」

インストラクターの嘲笑に、岡崎は完全に打ちひしがれていた。

中学時代から引きこもりだった26歳の高木泰助を担当していたのは桝。
後手に組みっぱなしの状態で桝に胸倉をつかまれ、迫力満点の激しい怒声を浴びせられていた。

「さっさと自殺しろ!自殺!オラ!!生きてんじゃねえ!!」

桝の言葉に、高木は涙を流し、絶望の中に沈む。

泣き声は女のものだけでなく男のものも混じり始め、参加者全員が泣き、広間では嗚咽とインストラクターの罵声でいっぱいとなる。

繭もまた、担当インストラクターに徹底的にののしられ、傷つけられ続けていた。
涙と洟が混ざり合った顔を「汚いナメクジみたいだ」と嘲られ、彼女の心は限界に達していた。
彼女は自分の意識が遠のいていくのを感じながら、全てを受け入れるしかないことを悟る。

こうして、繭たちは完全に心を折られる第一段階の洗脳が進行していったのだった。
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