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Grow
わかれ
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昨日の更新分にも掲載しましたが、今後の展開について先に補足させて下さいね。(昨日更新分の終わりの方に数行加筆しました!もし未読の方はご確認くださいませ)
このお話は新感覚獣人ファンタジーと銘打っております通り、架空のファンタジーです。でもけっして獣の尊厳を汚すつもりではありません。昨日の更新でそのような誤解を招くシーンが多少ありましたが、物語の展開上、深い意味があって一時的なことですので、どうかご理解いただければと思います。
私はプロの作家ではありませんので、まだまだ状況説明不足なのを痛感しております。ご不快に思われた方もいらっしゃると思います。貴重なご意見受け止めております。申し訳ありません。
私なりにトカプチの3部作……この作品のラストまで、頑張って完結させたいと思っておりますので、どうか今後のストーリー展開を見守っていただけたらと思います。最後まで気持ちよく書かせていただきたいので、物語の設定や展開が合わない、納得できないと思われた方は、どうか読むのをやめることでご対応くださいませ。勝手なお願い申し訳ありません……
では本文です。今日は兄狼視点です。
そして物語は急展開で佳境を迎えます。
この先ラストまでノンストップでいきます!
辛い展開もありますが、最高のハッピーエンドにします♡
前置き長く、すみません。
****
ロウの言った通りだ。
今の俺たちは完全な狼……獣ではない。
獣として生きる糧……生命線の狩りが出来ないなんて、おかしい!
なぁロウ……完全な獣でなくなっていく不安とは、このような感覚なのか。
最初から半獣で生まれ落ちたロウの苦悩、両親の苦悩が今なら少しは分かる……彼らに想いを馳せてしまう。
一体この不思議な躰の変化は、何を意味するのか。
不吉なものでないといいが……
北の国と森との境は、俺たちが足を踏み入れた時よりも、冷たくなっていた。まるで他の侵入を寄せ付けないように……北の大地が守りに入っているのか。中は……青い牧草の広がる豊かな土地へと変貌中なのに不思議だ。
やはり西の森で……何かが起きたとしか思えない。
「兄さん、不吉な匂いを感じるよ」
「あぁ急ごう!」
西の森へ行けば行くほど……嫌な予感が増して行く。
そして……その予感は、とうとう的中してしまった。
「ぶっ無事か!」
「あっ!!……なっなんてことだ」
目の前に広がっているのは……岩穴に隠してきた仲間たちの壮絶な死。
すでに骨となった仲間には沢山の鳥が群がっていた。
「まさかっ」
「何で……こんなことにっ」
集団で他の獣に襲われてしまったのだ。
「馬鹿だね……お前たち一体今まで群れを放り投げて、どこへ行っていたんだい? まぁそもそも番がいない群れの運命なんて……弱々しくて、最初からこうなると決まっていたものだがな」
「いっ一体、俺たちの留守に何があった?」
隣の群れの長に、グイっと詰め寄ってしまった。普段は仲良くないのに、こういう時は別だ。
「お前たち……最近ピューマに喧嘩を売らなかったか」
「えっ……まさか、あのピューマか……」
「突然やってきたんだよ。大型のピューマが集団でね。俺たちは戦う所じゃなかったよ。逃げるのに必死で、助けてやれなくてすまなかったな」
「ううっ……うううう、嘘だろぉぉー」
ウォォーン……ウオォーン
弟がその場で、唸るように泣き崩れ、遠吠えをした。
なんてことだ、なんという有様だ。必死に守ってきたものが一夜にして崩れ落ちるなんて。俺が欲を出したからだ。ロウを探しにいかなければ守れたかもしれない仲間たち。
許せ──
「ふん、泣くな。これが俺たちの世界だ。知っているだろう? どうする?可哀想な兄弟よ。俺の群れに入れてやってもいいぞ、お前たちは偽っていたが二匹とも……どうせベータだろう? 害はないしな」
「うっ……」
何もかもお見通しだったわけか。必死に強がっていた自分が滑稽に見えて来た。守るべき群れを失った俺は、この先……どうやって生きていけばいいのか分からない。
弟と共に……途方に暮れてしまった。
「……ありがたい話だが、今の俺たちは完獣ではないのだ」
「あぁそういえば匂いが違うな。……なんだか、お前ら、乳臭いぞ」
「くっ……やはりな。完全な狼に戻れたら……考えてみる」
「じゃあ……どこへ行く?」
「そうだな。まずは……この躰の謎を解かねば」
狼なのに狩りが出来なくなってしまった理由を知りたくて。
「兄さん……とうとう俺たちだけになっちまったな。今までだってたまに群れの一員が襲われて仲間が減ることはあったが、こんな一気に死んじゃうなんて。皆に申し訳ないことをした。うっ──うう」
「泣くな。そんな暇は、いつもないだろう」
「だがっ」
優しくてやんちゃな弟の涙に弱いのだ。お前を助けたくて欲を出した罰なのか。何がなんだか分からない程……目まぐるしく状況が変化していく。
泣いている暇がないのが、獣の運命だろう。
だが俺も今日は涙腺が弱いようだ。弟の涙……そしてロウの番……トカプチ……あの少年の美しい涙を思い出して、狼の胸が切なくなった。
弟と……とぼとぼとあてもなく彷徨っていると、突然森を切り裂くような悲痛な悲鳴が鳴り響いた!
「兄さん?」
「……ここは危険だな」
何かが何かに襲われている声が聴こえる。あぁまたか……群の仲間の最期を思えば、もう耳を塞ぎたくなった。
「……まずい、こっちに来るぞ!」
森が騒めく! 森が揺れる! 森に暗雲が立ち込める!
そして、どんどん悲鳴が近づいて来る。
「隠れろ!」
慌てて弟と樹によじ登り眼下の様子を伺うと、草木を薙ぎ倒し現れたのは……
人の声……しかも……この声は!
「助けてー! いっ……嫌だぁあああああ」
このお話は新感覚獣人ファンタジーと銘打っております通り、架空のファンタジーです。でもけっして獣の尊厳を汚すつもりではありません。昨日の更新でそのような誤解を招くシーンが多少ありましたが、物語の展開上、深い意味があって一時的なことですので、どうかご理解いただければと思います。
私はプロの作家ではありませんので、まだまだ状況説明不足なのを痛感しております。ご不快に思われた方もいらっしゃると思います。貴重なご意見受け止めております。申し訳ありません。
私なりにトカプチの3部作……この作品のラストまで、頑張って完結させたいと思っておりますので、どうか今後のストーリー展開を見守っていただけたらと思います。最後まで気持ちよく書かせていただきたいので、物語の設定や展開が合わない、納得できないと思われた方は、どうか読むのをやめることでご対応くださいませ。勝手なお願い申し訳ありません……
では本文です。今日は兄狼視点です。
そして物語は急展開で佳境を迎えます。
この先ラストまでノンストップでいきます!
辛い展開もありますが、最高のハッピーエンドにします♡
前置き長く、すみません。
****
ロウの言った通りだ。
今の俺たちは完全な狼……獣ではない。
獣として生きる糧……生命線の狩りが出来ないなんて、おかしい!
なぁロウ……完全な獣でなくなっていく不安とは、このような感覚なのか。
最初から半獣で生まれ落ちたロウの苦悩、両親の苦悩が今なら少しは分かる……彼らに想いを馳せてしまう。
一体この不思議な躰の変化は、何を意味するのか。
不吉なものでないといいが……
北の国と森との境は、俺たちが足を踏み入れた時よりも、冷たくなっていた。まるで他の侵入を寄せ付けないように……北の大地が守りに入っているのか。中は……青い牧草の広がる豊かな土地へと変貌中なのに不思議だ。
やはり西の森で……何かが起きたとしか思えない。
「兄さん、不吉な匂いを感じるよ」
「あぁ急ごう!」
西の森へ行けば行くほど……嫌な予感が増して行く。
そして……その予感は、とうとう的中してしまった。
「ぶっ無事か!」
「あっ!!……なっなんてことだ」
目の前に広がっているのは……岩穴に隠してきた仲間たちの壮絶な死。
すでに骨となった仲間には沢山の鳥が群がっていた。
「まさかっ」
「何で……こんなことにっ」
集団で他の獣に襲われてしまったのだ。
「馬鹿だね……お前たち一体今まで群れを放り投げて、どこへ行っていたんだい? まぁそもそも番がいない群れの運命なんて……弱々しくて、最初からこうなると決まっていたものだがな」
「いっ一体、俺たちの留守に何があった?」
隣の群れの長に、グイっと詰め寄ってしまった。普段は仲良くないのに、こういう時は別だ。
「お前たち……最近ピューマに喧嘩を売らなかったか」
「えっ……まさか、あのピューマか……」
「突然やってきたんだよ。大型のピューマが集団でね。俺たちは戦う所じゃなかったよ。逃げるのに必死で、助けてやれなくてすまなかったな」
「ううっ……うううう、嘘だろぉぉー」
ウォォーン……ウオォーン
弟がその場で、唸るように泣き崩れ、遠吠えをした。
なんてことだ、なんという有様だ。必死に守ってきたものが一夜にして崩れ落ちるなんて。俺が欲を出したからだ。ロウを探しにいかなければ守れたかもしれない仲間たち。
許せ──
「ふん、泣くな。これが俺たちの世界だ。知っているだろう? どうする?可哀想な兄弟よ。俺の群れに入れてやってもいいぞ、お前たちは偽っていたが二匹とも……どうせベータだろう? 害はないしな」
「うっ……」
何もかもお見通しだったわけか。必死に強がっていた自分が滑稽に見えて来た。守るべき群れを失った俺は、この先……どうやって生きていけばいいのか分からない。
弟と共に……途方に暮れてしまった。
「……ありがたい話だが、今の俺たちは完獣ではないのだ」
「あぁそういえば匂いが違うな。……なんだか、お前ら、乳臭いぞ」
「くっ……やはりな。完全な狼に戻れたら……考えてみる」
「じゃあ……どこへ行く?」
「そうだな。まずは……この躰の謎を解かねば」
狼なのに狩りが出来なくなってしまった理由を知りたくて。
「兄さん……とうとう俺たちだけになっちまったな。今までだってたまに群れの一員が襲われて仲間が減ることはあったが、こんな一気に死んじゃうなんて。皆に申し訳ないことをした。うっ──うう」
「泣くな。そんな暇は、いつもないだろう」
「だがっ」
優しくてやんちゃな弟の涙に弱いのだ。お前を助けたくて欲を出した罰なのか。何がなんだか分からない程……目まぐるしく状況が変化していく。
泣いている暇がないのが、獣の運命だろう。
だが俺も今日は涙腺が弱いようだ。弟の涙……そしてロウの番……トカプチ……あの少年の美しい涙を思い出して、狼の胸が切なくなった。
弟と……とぼとぼとあてもなく彷徨っていると、突然森を切り裂くような悲痛な悲鳴が鳴り響いた!
「兄さん?」
「……ここは危険だな」
何かが何かに襲われている声が聴こえる。あぁまたか……群の仲間の最期を思えば、もう耳を塞ぎたくなった。
「……まずい、こっちに来るぞ!」
森が騒めく! 森が揺れる! 森に暗雲が立ち込める!
そして、どんどん悲鳴が近づいて来る。
「隠れろ!」
慌てて弟と樹によじ登り眼下の様子を伺うと、草木を薙ぎ倒し現れたのは……
人の声……しかも……この声は!
「助けてー! いっ……嫌だぁあああああ」
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