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小学生編
冬から春へ 45
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「芽生、じゃーな」
「うん、バイバイ」
ランドセルを背負ったお友達がまた一人、二人と帰って行く。
放課後スクールでは夕方5時のチャイムで帰るお友達が半分以上いるけど、ボクは夜の7時まで帰れない。
その代わり、お兄ちゃんがお迎えに来てくれるよ。
でも……
そっと窓に手をあてて背伸びをした。
今日はもう少し早く帰りたいな。
だって、お家にいっくんがいるんだよ。
いっくん、ボクの弟みたいないっくん。
早く会いたいな。
早く一緒に遊びたいな。
あーあ、まだ2時間もあるなんて、長いよ。
早くお兄ちゃん、お迎えに来てくれないかな。
なんだか、今すぐお兄ちゃんに会いたくなっちゃった。
優しくて綺麗なお兄ちゃんに。
物寂しくなって、放課後スクールの教室の片隅で膝を抱えて待っていると、先生が呼びに来たよ。
「滝沢芽生くんは、どこにいますか」
先生は何故かボクの前を素通りしてしまった。
えっと……
あ、そうか。
いつもの優しい先生は赤ちゃんをうむためにお休みに入ってしまったんだ。その代わりに最近やってきた新しい先生だから、まだみんなの顔を覚えていないんだね。
「先生、ボクはここだよ」
「あぁ、君が滝沢くんだったのね。今、お兄さんから電話があって、今日はお迎えに来られないって」
「えっ?」
ショックだった。
今、お兄ちゃんに会いたいと願ったばかりなのに……
パパ、間に合うかな?
もしかしてお兄ちゃんにまた何かかあったんじゃないよね。
心配で胸がドキドキしてきたよ。
「じゃあ……誰も来ないの?」
「いや、お兄さんの代わりにおじさんが来てくれるそうよ」
「おじさん?」
先生がメモ帳を確認して……
「滝沢憲吾さんという人らしいけど、芽生くんは知ってる?」
わぁ! 憲吾おじさんが迎えに来てくれるの?
意外でびっくりしたけど、すごく嬉しいよ。
「もちろん知ってるよ。大好きなおじさんだよ」
「良かったわね。滝沢ということはお父さんのご兄弟かしら?」
「そう! パパのお兄さん」
「そっか、よかったわ。実は先生、少し心配だったの」
「え?」
先生が小声になった。
「いつも芽生くんをお迎えに来る人って、芽生くんの本当のお兄さんじゃないのよね。苗字も違うし……その……大丈夫なのかなって」
「大丈夫って」
「あのね、何か変なことされたりしてない?」
「変なこと?」
先生が小声になった。
「お父さんが見ていない所で叩かれたり……変な所……」
その言葉に、胸の奥がギュッとしめつけられたよ。
どうしてそんなひどいこと言うの?
お兄ちゃんはボクを宝物のようにふんわり抱きしめて、優しく話を聞いてくれる人なのに。
「お兄ちゃんは大事な家族だよ? ボクたちを大事にしてくれる人で、ボクもパパもお兄ちゃんのこと大好きだよ!」
怒りにまかせて叫んでしまった。
「え? そっか、もしかして……そうなのね。まぁ……今はいろいろあるものね」
含んだような言い方をされて、今度は悲しくなったよ。
お兄ちゃんは何も悪いことしてないのに、そんな言い方するなんて。
「あ、芽生くん、ごめんねぇ。今、先生が言ったことは忘れてね」
「……」
そんな簡単に忘れられるようなことじゃないよ。
ボクの大事な人を、そんな風に言うなんて……
プンプンしていると、憲吾おじさんが教室まで来てくれた。
「どうした? 芽生」
「おじさん!」
「怒ってるのか? ごめんな。瑞樹が来たがっていたのに、おじさんで」
「ううん、違うよ。嬉しいよ」
「実は瑞樹は仕事が忙しく大荷物を持って疲れていたから、ピンチヒッターを買って出たんだ」
おじさんはボクに変なかくし事をしない。
だから好きなんだ。
ボクを一人前に扱ってくれる人だ。
「おじさん、ありがとう! 元気が出たよ」
なんだかビシッとカッコいいおじさんが来てくれただけで、さっきの嫌な気持ちが吹っ飛んだ。
帰り道、おじさんと手をつないで歩いた。
「おじさんって、カッコいいね」
「そうか?」
「うん、ボク、今日ちょっといやな気分になって……怒っていたの」
「どうした?」
「先生が、お兄ちゃんのことを……その……」
上手く説明出来ずにもやもやしていると、おじさんが察してくれた。
「ん? もしかして、本当のお兄ちゃんではないのに、大丈夫かって言われたのか」
びっくりした。
まだ何も話していないのに、どうして分かるの?
「あの先生、私のことも胡散臭そうに上から下まで探るように見ていたからな。芽生……残念だが、まだまだ世の中は難しい。だが少しずつ誰もが過ごしやすい生きやすい世の中になっていくから、安心していい。時代がようやく追いついてきたんだよ」
「そうなんだ。おじさん、あのね、でも……世の中ってどうやって変えて行くの?」
「それは法律を時代に合ったものに変えていくんだよ。もっと柔軟に……ひとりひとりに寄り添えるものに」
『法律』ってすごいんだね。
ボクも、将来そのお手伝いしていきたいな。
「おじさん、ボク、がんばる」
「芽生、周りの目なんて気にしないで、芽生が心から大切にしたい人は、大切にしていこう。おじさんも一緒にがんばるぞ」
「うん!」
「だから……芽生はそんなに悩まなくていい。おじさんがついているしな」
おじさんの言うことは、すっと頭に入ってきたよ。
今のボクに出来ることは、いつも通りでいることだね。
誰がなんと言おうと、お兄ちゃんはボクの大事なお兄ちゃん。
パパの大事な人なんだから。
そう思うと、早くお兄ちゃんに会いたくなったよ。
「おじさん、早く帰ろう」
「よし、元気が出てきたな。そうだ、何か芽生の家に差し入れをしてやろう」
「え?」
「夕食にはまだ時間があるし、今日は寒くて冷えただろう」
おじさんがニッと笑って、コンビニで肉まんを5個買ってくれた。
「こんな日のおやつは温かい物がいい」
「おじさんもいっしょに食べようよ。だから6個がいい」
「そうか、私もメンバーにいれてくれるのか」
「当たり前だよ。ボクの大好きなおじさんだよ」
ほかほかの肉まんを抱えると、もうさっきの怒りも悲しみも消えてしまったよ。
まだ小さなボクだけど、きっとこの先こんなことは沢山あると思った。
だからいちいち怒っていたら、時間がもったいないんだね。
世の中はまだまだ変わっていくのだから。
おじさんの言葉を信じるよ。
怒っている時間より、笑っている時間が多い方がいいよ。
大好きな人と笑い合えるのって、しあわせって言うんだよね。
「お兄ちゃん、ただいまー!」
「うん、バイバイ」
ランドセルを背負ったお友達がまた一人、二人と帰って行く。
放課後スクールでは夕方5時のチャイムで帰るお友達が半分以上いるけど、ボクは夜の7時まで帰れない。
その代わり、お兄ちゃんがお迎えに来てくれるよ。
でも……
そっと窓に手をあてて背伸びをした。
今日はもう少し早く帰りたいな。
だって、お家にいっくんがいるんだよ。
いっくん、ボクの弟みたいないっくん。
早く会いたいな。
早く一緒に遊びたいな。
あーあ、まだ2時間もあるなんて、長いよ。
早くお兄ちゃん、お迎えに来てくれないかな。
なんだか、今すぐお兄ちゃんに会いたくなっちゃった。
優しくて綺麗なお兄ちゃんに。
物寂しくなって、放課後スクールの教室の片隅で膝を抱えて待っていると、先生が呼びに来たよ。
「滝沢芽生くんは、どこにいますか」
先生は何故かボクの前を素通りしてしまった。
えっと……
あ、そうか。
いつもの優しい先生は赤ちゃんをうむためにお休みに入ってしまったんだ。その代わりに最近やってきた新しい先生だから、まだみんなの顔を覚えていないんだね。
「先生、ボクはここだよ」
「あぁ、君が滝沢くんだったのね。今、お兄さんから電話があって、今日はお迎えに来られないって」
「えっ?」
ショックだった。
今、お兄ちゃんに会いたいと願ったばかりなのに……
パパ、間に合うかな?
もしかしてお兄ちゃんにまた何かかあったんじゃないよね。
心配で胸がドキドキしてきたよ。
「じゃあ……誰も来ないの?」
「いや、お兄さんの代わりにおじさんが来てくれるそうよ」
「おじさん?」
先生がメモ帳を確認して……
「滝沢憲吾さんという人らしいけど、芽生くんは知ってる?」
わぁ! 憲吾おじさんが迎えに来てくれるの?
意外でびっくりしたけど、すごく嬉しいよ。
「もちろん知ってるよ。大好きなおじさんだよ」
「良かったわね。滝沢ということはお父さんのご兄弟かしら?」
「そう! パパのお兄さん」
「そっか、よかったわ。実は先生、少し心配だったの」
「え?」
先生が小声になった。
「いつも芽生くんをお迎えに来る人って、芽生くんの本当のお兄さんじゃないのよね。苗字も違うし……その……大丈夫なのかなって」
「大丈夫って」
「あのね、何か変なことされたりしてない?」
「変なこと?」
先生が小声になった。
「お父さんが見ていない所で叩かれたり……変な所……」
その言葉に、胸の奥がギュッとしめつけられたよ。
どうしてそんなひどいこと言うの?
お兄ちゃんはボクを宝物のようにふんわり抱きしめて、優しく話を聞いてくれる人なのに。
「お兄ちゃんは大事な家族だよ? ボクたちを大事にしてくれる人で、ボクもパパもお兄ちゃんのこと大好きだよ!」
怒りにまかせて叫んでしまった。
「え? そっか、もしかして……そうなのね。まぁ……今はいろいろあるものね」
含んだような言い方をされて、今度は悲しくなったよ。
お兄ちゃんは何も悪いことしてないのに、そんな言い方するなんて。
「あ、芽生くん、ごめんねぇ。今、先生が言ったことは忘れてね」
「……」
そんな簡単に忘れられるようなことじゃないよ。
ボクの大事な人を、そんな風に言うなんて……
プンプンしていると、憲吾おじさんが教室まで来てくれた。
「どうした? 芽生」
「おじさん!」
「怒ってるのか? ごめんな。瑞樹が来たがっていたのに、おじさんで」
「ううん、違うよ。嬉しいよ」
「実は瑞樹は仕事が忙しく大荷物を持って疲れていたから、ピンチヒッターを買って出たんだ」
おじさんはボクに変なかくし事をしない。
だから好きなんだ。
ボクを一人前に扱ってくれる人だ。
「おじさん、ありがとう! 元気が出たよ」
なんだかビシッとカッコいいおじさんが来てくれただけで、さっきの嫌な気持ちが吹っ飛んだ。
帰り道、おじさんと手をつないで歩いた。
「おじさんって、カッコいいね」
「そうか?」
「うん、ボク、今日ちょっといやな気分になって……怒っていたの」
「どうした?」
「先生が、お兄ちゃんのことを……その……」
上手く説明出来ずにもやもやしていると、おじさんが察してくれた。
「ん? もしかして、本当のお兄ちゃんではないのに、大丈夫かって言われたのか」
びっくりした。
まだ何も話していないのに、どうして分かるの?
「あの先生、私のことも胡散臭そうに上から下まで探るように見ていたからな。芽生……残念だが、まだまだ世の中は難しい。だが少しずつ誰もが過ごしやすい生きやすい世の中になっていくから、安心していい。時代がようやく追いついてきたんだよ」
「そうなんだ。おじさん、あのね、でも……世の中ってどうやって変えて行くの?」
「それは法律を時代に合ったものに変えていくんだよ。もっと柔軟に……ひとりひとりに寄り添えるものに」
『法律』ってすごいんだね。
ボクも、将来そのお手伝いしていきたいな。
「おじさん、ボク、がんばる」
「芽生、周りの目なんて気にしないで、芽生が心から大切にしたい人は、大切にしていこう。おじさんも一緒にがんばるぞ」
「うん!」
「だから……芽生はそんなに悩まなくていい。おじさんがついているしな」
おじさんの言うことは、すっと頭に入ってきたよ。
今のボクに出来ることは、いつも通りでいることだね。
誰がなんと言おうと、お兄ちゃんはボクの大事なお兄ちゃん。
パパの大事な人なんだから。
そう思うと、早くお兄ちゃんに会いたくなったよ。
「おじさん、早く帰ろう」
「よし、元気が出てきたな。そうだ、何か芽生の家に差し入れをしてやろう」
「え?」
「夕食にはまだ時間があるし、今日は寒くて冷えただろう」
おじさんがニッと笑って、コンビニで肉まんを5個買ってくれた。
「こんな日のおやつは温かい物がいい」
「おじさんもいっしょに食べようよ。だから6個がいい」
「そうか、私もメンバーにいれてくれるのか」
「当たり前だよ。ボクの大好きなおじさんだよ」
ほかほかの肉まんを抱えると、もうさっきの怒りも悲しみも消えてしまったよ。
まだ小さなボクだけど、きっとこの先こんなことは沢山あると思った。
だからいちいち怒っていたら、時間がもったいないんだね。
世の中はまだまだ変わっていくのだから。
おじさんの言葉を信じるよ。
怒っている時間より、笑っている時間が多い方がいいよ。
大好きな人と笑い合えるのって、しあわせって言うんだよね。
「お兄ちゃん、ただいまー!」
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