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小学生編

特別番外編 瑞樹31歳の誕生日⑩

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 子供部屋で寝るようになったとはいえ、芽生が途中で起きてしまわぬよう気をつけながら、瑞樹を抱く。

 そのせいか、どんなに乱しても、君は声を必死に堪え耐えている。

 手の甲で口元を塞ぎ快楽をやり過ごそうと身を捩る姿が愛おしい。

 健気な君の気持ちが伝わってきて、なんとかしてやりたい一心で唇を塞ぎ、艶めいた嬌声を吸い取ってやる。

 ありがとう。

 芽生を含めて、俺を愛してくれて。
 
 ありがとう。

 同じ男なのに、俺に身を委ねてくれ、許してくれて。

 柔らかい唇をしっとりと重ねて啄み合った。

 どうして君とのキスはこんなに心地よいのか。
 
 再び瑞樹を抱きしめ、手の平で身体の隅々まで愛撫した。

 淫らな疼きを覚えた瑞樹の身体は小刻みに震えて跳ねり。

 悶えた表情すら愛おしくて堪らない。

「あっ……あっ」
 
 薄く開いた唇を割って、舌を絡め合う。

「こんな色っぽい君は、誰にも見せたくない」
「宗吾さんだけです」

 太股に手をかけると、恥じらいながら素直に開いてくれた。
 
 狭間に手を這わし奥を伺い、指を使って入り口を愛撫する。

「ここに、もっとヘンタイなことをしようとも思ったが、今は我慢できない」
「ぼ……僕もです」
「俺が欲しいか」
「……欲しいです」

 瑞樹が両手を広げ、俺の背中に腕を回して抱きついてくれる。

「よし、待ってろ。久しぶりだからしっかり慣らさないとな」
「はい」

 瑞樹が腰をあげて協力してくれる。

 一方的ではなく歩み寄ってくれるのが嬉しくて、綺麗な額にキスをした。

「ありがとう」

 指1本でも圧迫感のある場所に俺のものを受け入れることが、どんなに大変なことか……

 それを君は許してくれる。

「愛してるよ」
「僕も大好きです。宗吾さんを丸ごと愛しています」

 窮屈な場所を指で解し、つぷりと挿入し、中指と人差し指を根元まで埋め込み掻き混ぜると、ひくひくと入り口が震え出した。

「感じているな。物欲しそうに震えている」
「あ……そんな……」

 恥じらいを捨てきれない身体も愛おしいよ。

 瑞樹の足を開いて腰を抱えあげ、用意しておいた潤滑剤を塗ってやった。

 相当卑猥な恰好を強いているので、羞恥をやり過ごすのに必死のようだ。

「恥ずかしいです」
「大丈夫だ。俺しか見ていない」
「それが恥ずかしいんです」

 ぬかるんだ部分に自身をあてがって、勢いよくズンと腰を進めた。

「あっ!」

 短い悲鳴を呑み込む様子に、また愛おしさが増す。

 シーツが擦れる音、短い息遣い、色めいた甘い雰囲気で寝室が満ちていく。

「あっ……あ、あ……」

 二人で一つの船に乗って波間を漂う心地だ。

 もう一呼吸置いて、最奥まで一気に貫いた。

 瑞樹の中は柔らかく湿っており、最高に居心地がいい。
 
 根本まで埋め込んでは、また引き出すという行為を繰り返していく。

 「あ……あっ、もう……駄目です」

 瑞樹が顎を逸らして、シーツを乱しながら訴えてくる。
 
 おかしくなりそうだよ。君が愛おしすぎて――

 この世に、こんなに惜しみなく愛を注げる相手がいることの幸せ。

 全部受け止めてもらえることの幸せを噛みしめた。

 こうやって根元まで受け入れ、身悶える姿にくらくらする。

 つぷりと膨み熱を帯びた乳首に吸いつき、指の腹で尖りを捏ねて、同時に挿入を深めて……

 愛に深く深く落ちていく。

 瑞樹はシーツの上で、過敏に震え跳ねていた。

「瑞樹……瑞樹……」
「宗吾さん、宗吾さん」

 すすり泣くような声に煽られ、熱いものを最奥で吐き出すと、瑞樹も後ろだけで達したようで、身体を弛緩させ呆然としていた。

「あ……僕……今……」
「すごく感じていたな。後ろだけで行ったようだな」
「えっ、あ……恥ずかしいです」

 最後の仕上げはこれだ。

 まだ達していない瑞樹の昂ぶったものに、残っていた生クリームを塗って舌先で舐め取ってやった。

「それ、や……っ」
「瑞樹も出さないと辛いだろう」
「ですが……く……クリームは余計では?」
「ははっ、そうかな。美味しいぞ」
「もう、宗吾さんはやっぱり……へ……」

 その先の言葉は、口づけで吸い取ってやった。

「あっ、あ……あ」

 瑞樹は俺の誘導で精を放ち、俺も再び極めてしまった。


****

 愛し愛されながら、一つに身体を繋げていく。

 この行為はなんと生命力に溢れているのか。
 
 膝を抱えて震えていた幼い僕に、伝えたい。

 どうか泣かないで。

 途方に暮れないで。

 君はいずれ心から宗吾さんを愛し、宗吾さんから愛されて生きていく。

 宗吾さんの裸の胸に抱かれると、また鼓動が重なった。

 一つになるとは、相手を信じ、相手を深く知る行為。

 僕とは全く別の人生を歩んで来た宗吾さんと、身体を繋げる意味を知る。

 明け方、うとうとしていると、宗吾さんに耳元で囁かれた。

「瑞樹、おはよう。改めて31歳おめでとう!」
「あ……おはようございます。あの……昨日は隅々まで愛して下さってありがとうございます」
「無茶させなかったか。ごめんな。君が良すぎて止まらなかった」
「大丈夫です。僕も男ですから……それに僕も求めていました」
「ふっ、瑞樹のそういう所も含めて全て好きだよ」
「また1年一緒にいて下さい」
「1年なんかじゃなく、ずっと一緒だ」
「あ……はい! ずっとですね」

 ずっと、ずっと傍にいたいです。

 朝日を浴びた宗吾さんと、おはようのキスを交わした。

 そしてお互い手際よくシャワーを浴びて着替え、カーテンを開ければ、またいつも通りの今日が始まる。
 
 それが嬉しい!

「芽生くんを起こしてきますね」
「あぁ、頼む」
「はい!」

 子供部屋をノックすると返事はない。

 そっと覗くと、芽生くんは布団を蹴飛ばしてまだ眠っていた。

「くすっ、寝相が…… 芽生くん、おはよう。もう朝だよ」
「むにゃむにゃ……まだねむいよ。お兄ちゃん……どこ?」

 芽生くんの可愛い手が空を彷徨ったので、しっかり握ってあげた。

「ここにいるよ」
「えへへ、よかった。お兄ちゃん、ずっといっしょだよ」
「どこにも行かないよ」
「よかったぁ」

 自分から声に出そう。

 自分がしたいことを伝えよう。
 
 僕はこの世を生きているのだから、そうしてみたい。

 
 雲の上の家族から、改めて祝福の声が聞こえた。


 瑞樹、誕生日おめでとう。君がもう31歳だなんて、父さんは信じられないよ。今……とても幸せそうで良かった。

 瑞樹、お誕生日おめでとう。小さくて甘えっ子だった瑞樹。あなたが甘えられる人と出会えて良かったと母さん、思ってるわ。だから宗吾さんに思いっきり愛されてね。あなたたちは思いっきり愛し合っていいのよ。

 そして大人に成長し愛を知った夏樹の声が、今日は聞こえた。

 おにいちゃんお誕生日おめでとう。おにいちゃんの彼ってさ、やっぱりちょっとヘン……だけどいい人だよね。全部含めて、お似合いだよ。母さんたちにはあれとあれは内緒にしておくから安心してね。

 すっかり大人びたことを言うようになって。

 朝からくすっと笑ってしまった。

「お兄ちゃん、ごきげんだね」
「芽生くん、お兄ちゃんね、とても幸せなんだ」
「よかった! ボクもごきげんだよ。お兄ちゃんがいるから!」

 可愛いハグから、始めよう。

 31歳の僕が動き出す。





                 特別番外編 瑞樹31歳の誕生日 了


いかがでしたか。なんと丁寧に追っていたら全10話にもなりました。
瑞樹の誕生日の番外編を最後まで読んで下さってありがとうございます。
瑞樹が遠い家族からも近い家族からも愛され、宗吾さんと芽生にはスペシャル愛されているというのどかなお話でした。
明日は佳境の『忍ぶれど』を更新しますので、明後日から、通常運転に戻ります。

 



 
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