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小学生編
HAPPY HOLIDAYS 7
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サンタさんからのプレゼントを抱きしめて大喜びの芽生くんに、朝から元気をもらった。
芽生くんには、出来るだけ長くサンタさんの存在を信じていて欲しいな。
そう願ってしまうのは何故だろう?
夢見ることを忘れないで欲しいから……
夢を抱く力があれば、小さな幸せを見つけやすくなると思うんだ。
夢を抱くことは人生にとって大切なことだ。
夢を実現するための努力が、人生は輝かせる秘訣なのかもしれない。
僕は最近そんなことを考えるようになった。
小さな芽は、幸せな芽。
明るい気持ちで世の中を見渡せば、世界は明るくなる。
逆に暗くひねくれた気持ちだと、世界は暗いままだ。
僕は恥ずかしながら……ずっと後者だった。
どうせ僕なんて生きている価値がないと思い込み……いつも一歩退いて、影に埋もれることを選んでしまっていた。
あの頃は小さな幸せに気付けず、暗い顔ばかりしていた。
広樹兄さんがいつもそんな僕を笑わせようと必死になってくれ、お母さんも根気よく僕が打ち解けるのを待ってくれた。
大沼のお母さんからのプレゼントを開けると、優しいペパーミントグリーンの手編みのソックスが入っていた。宗吾さんと芽生くんにも色違いで届いた。
「靴下は暖かくて重宝するよ」
「はい、あの……これ……僕のお母さんが一針一針編んでくれたんです」
「あぁ、瑞樹のお母さんの……息子達の幸せを願う心が込められているよ」
「はい。お母さんはずっと忙しくて、気付けなかったけれども、編み物やお菓子作りが得意で好きなんです」
「そうみたいだな」
「もっと早く気付いてあげたかったな」
つい、しょぼんとすると、宗吾さんに背中を軽く叩かれた。
「瑞樹、今だからいいんだよ! 愛するくまのお父さんにも作ってあげられるし、家族も増えて腕を振るうチャンス到来だ。小さな靴下も大きな靴下もあって、作るのが楽しそうだ」
「宗吾さん……」
宗吾さんは本当にいつも前向きで明るい。
物事をポジティブに捉えることが出来るのが眩しい。
ネガティブになってしまう僕を引っ張ってくれる人だ。
「僕は宗吾さんのおかげで、明るい方を向けるようになりました。宗吾さん……改めてMerry Christmas! その……昨日はありがとうございます」
「俺こそ瑞樹のおかげで優しさを知った。こちらこそありがとう。それから抱かせてくれてありがとう。身体の負担になってないか」
「はい、大丈夫です。あの……昨日は少し手加減していましたよね」
僕たちは23日ゆったりした休日を過ごし、時計の針を跨いで抱き合った。
最後まで宗吾さんがさり気なく僕を労ってくれたのに、気づいていた。
本当に優しい人だ。
25日が終われば、徹夜でクリスマス装飾の撤収作業の助っ人に入る。昨今の人手不足、もうこれがスタンダードになっている。だから手加減して抱いてもらえて助かった。
僕の方も宗吾さんに触れたくて触れたくて、限界だったから求めてしまったが……翌日のことを考えると少し不安だったから。
「手加減はもちろんしたよ。瑞樹が大事だからな。欲望のままに自分の都合だけで暴走はしないよ」
「ありがとうございます。もうすぐ仕事もピークを越えますので……お正月はゆっくり過ごせますので……その……」
「あぁ、今年は大沼で正月だ。くまさんの家は部屋同士で音漏れしないかな」
「え? あ……二階の部屋は……たぶん、って何を言わせるんですかー また」
「ははっ、リサーチだよ。事前準備さ」
「も、もう――くすっ」
こんな時も笑いが絶えないのが僕たちらしい。
「パパ、いってきまーす」
今年は25日が月曜日。
芽生くんが終業式へ、僕たちは仕事に出発だ。
今日も小さな幸せに感謝して過ごそう。
****
「芽生ー おはよ」
「おはよ!」
「なぁ、サンタさん来てくれた?
「うん、お願いしたものをプレゼントしてもらえたよ」
「えっ、じゃあ本当に犬が来たのか」
「違うよ。犬はおばあちゃんの家で飼うことになったから、ボク、いっぱいお手伝いするんだ。そのために勉強もするよ。犬の気持ちに寄り添いたいしね」
胸を張って言うと、お友達も嬉しそうに笑ってくれた。
「へぇ、よかったな。実は……どうなるかなって心配してたんだ。へんなこというヤツがいたからさ」
「ううん、大丈夫。ボクはひとりじゃないから」
「そうか、よかったな。おれんちも、おばあちゃんちでワンコ飼ってるよ。いっしょに散歩に行くの、たのしいぞ」
「ほんと? たのしみだなぁ。早速お勉強しないと! 冬休みはおばあちゃんちで過ごそうかな」
えへへ、楽しいな。
みんなのわんちゃんっていいな。
****
「瑞樹ちゃん、おはよ!」
「菅野、おはよう」
僕たちはお互いの顔色を見て、微笑んだ。
とても血色が良いのに、とても眠そうだ。
「瑞樹ちゃん、もしかして寝不足?」
「うーん、少しね。そういう菅野だって寝不足だよね?」
「まぁな」
「お寺のクリスマスは、どんな感じだった?」
「それがさぁ、クリスマスっぽいものは皆無だと思ったのに、流さんが緑の針葉樹と南天でリースを作って山門に飾てくれたので、雰囲気があって良かったよ」
想像したら、流さんの溌剌とした笑顔が見えた。
「そうだ! クリスマスケーキはどんなのだった? まさかクリスマスまであんこじゃないよね?」
好奇心があって聞いてしまった。
「それがさ、ふわふわしっとりのシフォンケーキ生地に小豆ホイップクリームを塗って巻いたロールケーキを、流さんから差し入れてもらったんだ。めちゃくちゃ美味しかった」
「くすっ、小森くんは流さんにも溺愛されているね」
「流さんだけじゃないぜ。翠さんも山のようなプレゼントを抱えてきたし」
「くすっ、小森くんと二人きりの時間はちゃんとあった?」
「夜になったら二人は離れに行ってしまって……それはもう、ごっくん」
「菅野、涎出すなよ」
「へへ、そういう瑞樹ちゃんだって」
親友とのろけ話をするクリスマスの朝。
うん、こんな日常も幸せだ。
愛溢れる日々を、僕は生きている。
感謝しながら進んでいこう。
この道で間違いないのだから。
クリスマスの朝、世界が明るく輝いていた。
芽生くんには、出来るだけ長くサンタさんの存在を信じていて欲しいな。
そう願ってしまうのは何故だろう?
夢見ることを忘れないで欲しいから……
夢を抱く力があれば、小さな幸せを見つけやすくなると思うんだ。
夢を抱くことは人生にとって大切なことだ。
夢を実現するための努力が、人生は輝かせる秘訣なのかもしれない。
僕は最近そんなことを考えるようになった。
小さな芽は、幸せな芽。
明るい気持ちで世の中を見渡せば、世界は明るくなる。
逆に暗くひねくれた気持ちだと、世界は暗いままだ。
僕は恥ずかしながら……ずっと後者だった。
どうせ僕なんて生きている価値がないと思い込み……いつも一歩退いて、影に埋もれることを選んでしまっていた。
あの頃は小さな幸せに気付けず、暗い顔ばかりしていた。
広樹兄さんがいつもそんな僕を笑わせようと必死になってくれ、お母さんも根気よく僕が打ち解けるのを待ってくれた。
大沼のお母さんからのプレゼントを開けると、優しいペパーミントグリーンの手編みのソックスが入っていた。宗吾さんと芽生くんにも色違いで届いた。
「靴下は暖かくて重宝するよ」
「はい、あの……これ……僕のお母さんが一針一針編んでくれたんです」
「あぁ、瑞樹のお母さんの……息子達の幸せを願う心が込められているよ」
「はい。お母さんはずっと忙しくて、気付けなかったけれども、編み物やお菓子作りが得意で好きなんです」
「そうみたいだな」
「もっと早く気付いてあげたかったな」
つい、しょぼんとすると、宗吾さんに背中を軽く叩かれた。
「瑞樹、今だからいいんだよ! 愛するくまのお父さんにも作ってあげられるし、家族も増えて腕を振るうチャンス到来だ。小さな靴下も大きな靴下もあって、作るのが楽しそうだ」
「宗吾さん……」
宗吾さんは本当にいつも前向きで明るい。
物事をポジティブに捉えることが出来るのが眩しい。
ネガティブになってしまう僕を引っ張ってくれる人だ。
「僕は宗吾さんのおかげで、明るい方を向けるようになりました。宗吾さん……改めてMerry Christmas! その……昨日はありがとうございます」
「俺こそ瑞樹のおかげで優しさを知った。こちらこそありがとう。それから抱かせてくれてありがとう。身体の負担になってないか」
「はい、大丈夫です。あの……昨日は少し手加減していましたよね」
僕たちは23日ゆったりした休日を過ごし、時計の針を跨いで抱き合った。
最後まで宗吾さんがさり気なく僕を労ってくれたのに、気づいていた。
本当に優しい人だ。
25日が終われば、徹夜でクリスマス装飾の撤収作業の助っ人に入る。昨今の人手不足、もうこれがスタンダードになっている。だから手加減して抱いてもらえて助かった。
僕の方も宗吾さんに触れたくて触れたくて、限界だったから求めてしまったが……翌日のことを考えると少し不安だったから。
「手加減はもちろんしたよ。瑞樹が大事だからな。欲望のままに自分の都合だけで暴走はしないよ」
「ありがとうございます。もうすぐ仕事もピークを越えますので……お正月はゆっくり過ごせますので……その……」
「あぁ、今年は大沼で正月だ。くまさんの家は部屋同士で音漏れしないかな」
「え? あ……二階の部屋は……たぶん、って何を言わせるんですかー また」
「ははっ、リサーチだよ。事前準備さ」
「も、もう――くすっ」
こんな時も笑いが絶えないのが僕たちらしい。
「パパ、いってきまーす」
今年は25日が月曜日。
芽生くんが終業式へ、僕たちは仕事に出発だ。
今日も小さな幸せに感謝して過ごそう。
****
「芽生ー おはよ」
「おはよ!」
「なぁ、サンタさん来てくれた?
「うん、お願いしたものをプレゼントしてもらえたよ」
「えっ、じゃあ本当に犬が来たのか」
「違うよ。犬はおばあちゃんの家で飼うことになったから、ボク、いっぱいお手伝いするんだ。そのために勉強もするよ。犬の気持ちに寄り添いたいしね」
胸を張って言うと、お友達も嬉しそうに笑ってくれた。
「へぇ、よかったな。実は……どうなるかなって心配してたんだ。へんなこというヤツがいたからさ」
「ううん、大丈夫。ボクはひとりじゃないから」
「そうか、よかったな。おれんちも、おばあちゃんちでワンコ飼ってるよ。いっしょに散歩に行くの、たのしいぞ」
「ほんと? たのしみだなぁ。早速お勉強しないと! 冬休みはおばあちゃんちで過ごそうかな」
えへへ、楽しいな。
みんなのわんちゃんっていいな。
****
「瑞樹ちゃん、おはよ!」
「菅野、おはよう」
僕たちはお互いの顔色を見て、微笑んだ。
とても血色が良いのに、とても眠そうだ。
「瑞樹ちゃん、もしかして寝不足?」
「うーん、少しね。そういう菅野だって寝不足だよね?」
「まぁな」
「お寺のクリスマスは、どんな感じだった?」
「それがさぁ、クリスマスっぽいものは皆無だと思ったのに、流さんが緑の針葉樹と南天でリースを作って山門に飾てくれたので、雰囲気があって良かったよ」
想像したら、流さんの溌剌とした笑顔が見えた。
「そうだ! クリスマスケーキはどんなのだった? まさかクリスマスまであんこじゃないよね?」
好奇心があって聞いてしまった。
「それがさ、ふわふわしっとりのシフォンケーキ生地に小豆ホイップクリームを塗って巻いたロールケーキを、流さんから差し入れてもらったんだ。めちゃくちゃ美味しかった」
「くすっ、小森くんは流さんにも溺愛されているね」
「流さんだけじゃないぜ。翠さんも山のようなプレゼントを抱えてきたし」
「くすっ、小森くんと二人きりの時間はちゃんとあった?」
「夜になったら二人は離れに行ってしまって……それはもう、ごっくん」
「菅野、涎出すなよ」
「へへ、そういう瑞樹ちゃんだって」
親友とのろけ話をするクリスマスの朝。
うん、こんな日常も幸せだ。
愛溢れる日々を、僕は生きている。
感謝しながら進んでいこう。
この道で間違いないのだから。
クリスマスの朝、世界が明るく輝いていた。
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