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小学生編

HAPPY HOLIDAYS 6

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 宗吾さんの手で、優しくシーツの上に寝かされた。
 
 精悍な身体を間近に感じ、胸が高鳴っていく。 

「君に触れるの、久しぶりだな」
「すみません。気を遣わせてしまって」
「12月はハイシーズンだもんな。君を疲れさせるわけにはいかないよ。なぁ、本当にいいのか。今日もやめておいた方がいいのでは?」

 僕は首を横にふるふると振った。

「僕……宗吾さんが不足しています」
「瑞樹はいつも嬉しいことを」
「あの……今日は幸せな休日でした。宗吾さんの周りはいつだって暖かく日だまりのようです。それに宗吾さんの家族が僕たちを支えて下さるのも、本当に嬉しいですね」
「俺の方こそ、君のおかげで母や兄との関係も見違えるように良くなったよ」

 優しい会話をしながら、お互いのパジャマを脱がしあった。

 時計の針は日を跨ぎ、12月24日、クリスマス・イブを迎えた。

「宗吾さん」
「瑞樹」

 秒針のカチコチという音を聴きながら、静かに優しく唇を重ね合わせた。
 
 キスはプレリュード。

 この後はお互いに素肌を重ね温もりを分け合って、隅々まで愛し合っていこう。
 
 宗吾さんと深い関係になってから何度も繰り返される行為だが、抱かれる度に幸せな気持ちで満ちていく。

 僕は……この世では永遠に癒えることのない寂しさや悲しみを抱えたまま生涯を終え、雲の上の家族の元に逝く。

 それがこの地上に残された僕の人生だと思っていた。

 一馬には申し訳ないが……何度抱かれても、いつかお前は僕を置いて消えてしまう……そんな不安を拭えず、どこか信じ切れず、心まで明け渡せなかった。

 一馬、ごめんな。

 なのに、どうして宗吾さんはこうも違うのか。

 心も身体も、丸ごと委ねられ預けられるのは何故だろう?

 僕の運命の人だと思う。

 僕の過去も何もかも、全て包み込む包容力を持っている人だ。

 宗吾さんは何も隠さない。全てを僕に見せ相談もしてくれる。

 宗吾さんだけでなく、宗吾さんの家族まで僕を丸ごと愛してくれている。

 こんなに愛に溢れ、愛に満ちた日々を再び送れるなんて夢にも思わなかった。

「んっ……んっ……」
「しっかり掴まっていろ」
「は……い」

 胸の尖りを甘噛みされ、吸われ、甘美な雰囲気で部屋が満ちていく。

 甘く疼く感情が、僕の体中を駆け巡る。

 自分でも制御出来ない情熱が湧いてくる。

 宗吾さんからも果てしない愛が降り注いでくる。
 
「んっ……」

 全身に隈なくキスをしてもらい、それから身体中を愛撫してもらう。

 どこもかしこも愛で満ちている。

 僕の身体はゆっくりと宗吾さんを受け入れるように潤い開いていく。

 ウエストを掴まれ、股間の高まりを吸われ、宗吾さんを受け入れる場所を指で解されていく。

「あっ……もう、大丈夫です…もう」
「いや、久しぶりだ。しっかり解そう」
「あ……でも……恥ずかしいです」
 
 何度しても恥じらいは捨てきれない。

「君の、そういう所も好きだ。瑞樹の存在自体が俺にとってクリスマスプレゼントだよ。俺は毎日、毎日、プレゼントをもらってる。瑞樹、メリークリスマス。この世に生まれて来てくれてありがとう。俺と出会ってくれて、俺と暮らしてくれて、俺を受け入れてくれてありがとう」

 あぁ、宗吾さんは今日も言葉を惜しまない。

「メリークリスマス、僕こそ宗吾さんと出会えて幸せです。あなたといると、この世を生きていると実感できます。雲の上の両親や弟、大沼の両親、広樹兄さんや潤にも、何もかも隠さずに話せます。宗吾さんが大好きです。僕の方こそ毎日クリスマスプレゼントが届いているようです。芽生くんも大好きです。子育ても一緒にさせてくれてありがとうございます。芽生くんに愛情を注げて幸せです」

 僕たちは一つになって、満ちていく――

 毎日がクリスマス。

 今日も明日も、メリークリスマス。

****

 25日朝・軽井沢

「パパぁ、パパぁ、もうあさでしゅよー」
「いっくん、もう起きたのか」
「あい! パパぁ、メリークリスマシュ!」

 いっくんがオレの頬にチュッとキスをしてくれた。

 うぉぉ、ヤバい! 可愛すぎる!

「おぅ」
「あのね、パパにもサンタさんきたよー」
「えぇ?」
「えへへ、かわいいこどもでしゅよ」

 小首を傾げてニコッと笑ういっくん。

 よく見ると去年サンタさんからもらったエルフの衣装を着ていた。少し大きめだったのか、まだサイズが合うようだ。いっくんの成長がゆっくりなのを実感すると共に、猛烈に愛おしくなった。

「ははっ、いっくんが届いたぞ、うれしいな。かわいいパパの子だ」
「まきくんもいましゅよ」
「あぁ、まきもいる」
「かわいいママもいましゅ!」
「もちろんだ!」
「まぁ、いっくんってば」
「えへへ、みんなおはよう」

 クリスマスツリーを置くスペースもない狭いアパートだが、いっくんが画用紙にクレヨンで描いてくれたツリーの下に、オレとすみれがこっそり用意したサンタさんからのプレゼントが並んでいた。

 それから大沼の母と、広樹兄さんと瑞樹兄さんから届いたプレゼントも並んでいる。

「いっくん、サンタさん来てくれたみたいだな」
「え? わぁ……いっくんにもあるの?」
「当たり前だよ。いっくんはいい子だ」
「よかった、まきくんにもあるよ」
「よかったな」
「うん、まきくん、よかったねぇ」

 小さくあどけないいっくんの中に、いつも槙が存在しているのに嬉しくなる。

 いっくんが袋を開けると、大きなクマと小さなクマのぬいぐるみが出てきた。

「わぁ、きょうだいくまちゃんだ」
「あぁ、くまの兄弟だ。可愛いな」
「うれちい。いっくんとまきくんみたいだねぇ。いっちょにあそべるね。これやわらかいからいたくないね」

 オレの家族。

 こんなに暖かく優しく、可愛い人たちと生きていける。

 クリスマスの朝がこんなに愛おしいものだなんて、幸せ者だ。

****

「パパー お兄ちゃん、サンタさん、ちゃんと来てくれた- ボクにも来てくれたよ!」

 朝起きると枕元にプレゼントが置いてあったので、うれしくてジャンプしちゃった。

 サンタさん、ありがとう。

 ボクの所ににも来てくれて、ありがとう。

 おともだちはサンタさんなんていないっていう子もいるけど、ボクはいると思うよ。だって、おばあちゃんのお家の犬を迎えることになったのも、きっとサンタさんの魔法だよね!

「おぅ、よかったな」
「芽生くん、良かったね」
「これ、開けてみていい?」
「もちろん」

 開けて見るとリクエストしたトイプードルの育て方のご本と、かわいいトイプードルのぬいぐるみが入っていたよ。



「わぁ、小さい!」
「これはトイプードルの子犬の大きさと同じくらいだな」
「かわいい、かわいい! お兄ちゃんもだっこして」
「うん」

 お兄ちゃんがぬいぐるみを抱っこすると、ボクお兄ちゃんになったみたい。

「あ、サンタさんからお手紙も入っているよ」
「読んでごらん」

 お手紙には……

……

芽生くんへ

メリークリスマス!
聞いたよ。今度ワンちゃんをお迎えするそうだね。
このご本をプレゼントするからしっかり勉強するといい。
本通り行かないことは、みんなで話し合って、解決していくといいよ。
新しい家族の仲間入り、おめでとう!

……


 わぁ、本当にボクに家族がふえるんだ。

 いっくんに弟がやってきたように、ボクにはワンちゃんがやってくる。

 そう思うと、飛びあがるほどうれしかったよ。

「芽生、よかったな。27日になったら一緒に迎えに行こう」
「わーい!」

 ボク、小さな命をあずかるんだ。

 最初は気軽にサンタさんにおもちゃをおねだりするようにお願いしちゃったけど、大人のみんながいっぱい考えてくれて、うれしかったよ。

 だからボク、大切に大切にするよ。

 いっぱい会いに行くよ!

 お世話もするよ。

 クリスマスにはサンタさんが街にやってくる。

 サンタさんって、すごいよ。

 みんなを笑顔に出来るって、すてきなこと。

「芽生くんいい笑顔だね。君の笑顔が、僕にとって最高のプレゼントだ」
「パパ、お兄ちゃん、いっぱいボクのために考えてくれてありがとう、サンタさんもありがとう!」


 Happy Christmas!

 Merry Christmas!





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