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小学生編
七夕特別番外編『七夕トレイン』お空のパパ編
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前置き
今日は七夕SSのお空のパパ編です。
****
「潤くん、いっくん寝ちゃったわ」
夕食の皿洗いをしていると、すみれがそっと教えてくれた。
家に帰ってからは作ってきた笹をすみれに説明したりと始終ご機嫌だったが、きっと沢山泣いたから疲れたのだろう。
ご飯を食べながら、うつらうつら……
「いっくん、もう寝ようか」
「うん……おねむぅ……でもぉ……まってぇ」
いっくんは目を擦りながら一度起き上がり、芽生坊からもらったトレインのおもちゃを抱っこしてお布団にころんと横になった。
なるほど、それは『七夕トレイン』だな。
すみれが優しく布団をかけ小さな手を握ってやると、とても柔らかな表情を浮かべてくれた。
「んにゃ……んにゃ……」
「おやすみ、いっくん、七夕トレインに乗っていってらっしゃい。ママも元気だって伝えてね」
「んにゃ……んにゃ」
そんなやりとりを聞いて、オレの心はぽかぽかになった。
空の上のあなただって、いっくんの成長を間近で毎日見たかったはずだ。
息子と過ごす日常を夢見たはずだ。
オレのいる場所は、本当はあなたがいた場所だ。
オレはあなたの心を受け継いで、いっくんの成長をしっかり見守ります。
すみれをこの世でもう一度幸せにします。
何度も誓う言葉だ。
いっくんも4歳になった。
お空のパパのことも理解し始めている。
折しも、今日は七夕……
年に一度の織り姫と彦星の逢瀬が叶う七夕の夜なら、いっくんとあなたは再び会えるのでは?
オレの中にこんなロマンチックな感情があるなんてな。
最近は自分の変化に驚くことばかりだ。
人は変われる。
よく大人になったら頭が固くなって無理だという人もいるが、そうじゃない。
なりたい自分になるのは、なりたいと思った時がチャンスだ。
足りないと不満ばかり言って、幼少期から二十歳まで横柄な態度で過ごしてしまった。
足りないのなら自分で生み出せばよかったのだ。
暗い部屋に灯りをつけるように――
オレも変わればよかった。
後悔は、今からの行動が消してくれる。
****
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
わぁ、このトレイン、おそらをはしってるよ。
いっくん、ひとりだけだけど、こわくないよ。
パパとママがちゃんとみまもってくれているし、これからおそらのパパにあうんだもん!
ひこうきではちかくをとおったけど、きょうはね、だっこしてもらうんだよ。
だっていっくんはいちどもだっこしてもらったことなかったから。
おそらのパパだって、だっこしたかったでしょ?
きっときっと、しょう!
シュッシュッ、ポッポ――
トレインのまどからは、ピューンっておほしさまがながれているよ。
しろいのはくもだよ。
もうすぐつくよ。
おそらのパパはくものうえにすんでいるから。
『お空の駅です』
あ、おりなくちゃ!
ぴょんっととびおりると、おそらのパパがまっていてくれたよ。
「いつき……君が樹なのか」
「おそらのパパぁ」
「あぁ……こんなに大きくなって……僕は君にずっと会ってみたかったよ。よく来てくれたね。さぁ、お……いで」
「うん」
大きく手を広げてくれたから、いっくん、だっこしてもらった。
あったかいなぁ。
「おそらのパパ、はじめまちて、いっくんだよ」
「いっくんか、かわいいな」
「えへへ、パパとおしゃべりをしたくてきたんだよ」
「ありがとう。今日は七夕だからもしかしてと思っていたんだ。まさか本当に君がやってきてくれるなんて」
「パパがね、いっておいでって」
「……そうか、菫をもう一度幸せにしてくれた人だね」
「うん、いっくんがみつけたんだ」
「ちゃんと見つけてえらかったな。いっくん、ママをありがとう」
「ママもニコニコしてるよ」
パパとたくさん、おしゃべりしたよ。
それから、またらいねんあおうねって、おやくそくも。
「いっくん、またくるよ」
「ありがとう。ほっとしたよ、とても……とても心残りだったんだ」
「おそらのパパぁ……いっくん、げんきにおおきくなるよ。ずっとみていてね」
「あぁ、ずっと見守っている、雲の上から」
いっくんはおそらのパパがみえなくなるまで、おててふったよ。
またあえるよ。
たなばたさんのひは、まほうがつかえるんだよ。
あいたいひとに、あえるまほうだよ。
****
「いっくん、今頃……あの人に会っているのかな? 朝になったら忘れちゃうかな?」
「どうだろう? きっとまた来年も会おうと約束しているはずだよ」
「そうね、きっとそうね」
幸せそうな寝顔の男の子はいっくん。
オレの大切な息子。
お空のパパから引き継いだ大切な子供だ。
七夕トレインは瞬く夜空を駆け抜ける。
会いたい人の心から心へ、旅をする。
今日は七夕SSのお空のパパ編です。
****
「潤くん、いっくん寝ちゃったわ」
夕食の皿洗いをしていると、すみれがそっと教えてくれた。
家に帰ってからは作ってきた笹をすみれに説明したりと始終ご機嫌だったが、きっと沢山泣いたから疲れたのだろう。
ご飯を食べながら、うつらうつら……
「いっくん、もう寝ようか」
「うん……おねむぅ……でもぉ……まってぇ」
いっくんは目を擦りながら一度起き上がり、芽生坊からもらったトレインのおもちゃを抱っこしてお布団にころんと横になった。
なるほど、それは『七夕トレイン』だな。
すみれが優しく布団をかけ小さな手を握ってやると、とても柔らかな表情を浮かべてくれた。
「んにゃ……んにゃ……」
「おやすみ、いっくん、七夕トレインに乗っていってらっしゃい。ママも元気だって伝えてね」
「んにゃ……んにゃ」
そんなやりとりを聞いて、オレの心はぽかぽかになった。
空の上のあなただって、いっくんの成長を間近で毎日見たかったはずだ。
息子と過ごす日常を夢見たはずだ。
オレのいる場所は、本当はあなたがいた場所だ。
オレはあなたの心を受け継いで、いっくんの成長をしっかり見守ります。
すみれをこの世でもう一度幸せにします。
何度も誓う言葉だ。
いっくんも4歳になった。
お空のパパのことも理解し始めている。
折しも、今日は七夕……
年に一度の織り姫と彦星の逢瀬が叶う七夕の夜なら、いっくんとあなたは再び会えるのでは?
オレの中にこんなロマンチックな感情があるなんてな。
最近は自分の変化に驚くことばかりだ。
人は変われる。
よく大人になったら頭が固くなって無理だという人もいるが、そうじゃない。
なりたい自分になるのは、なりたいと思った時がチャンスだ。
足りないと不満ばかり言って、幼少期から二十歳まで横柄な態度で過ごしてしまった。
足りないのなら自分で生み出せばよかったのだ。
暗い部屋に灯りをつけるように――
オレも変わればよかった。
後悔は、今からの行動が消してくれる。
****
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
わぁ、このトレイン、おそらをはしってるよ。
いっくん、ひとりだけだけど、こわくないよ。
パパとママがちゃんとみまもってくれているし、これからおそらのパパにあうんだもん!
ひこうきではちかくをとおったけど、きょうはね、だっこしてもらうんだよ。
だっていっくんはいちどもだっこしてもらったことなかったから。
おそらのパパだって、だっこしたかったでしょ?
きっときっと、しょう!
シュッシュッ、ポッポ――
トレインのまどからは、ピューンっておほしさまがながれているよ。
しろいのはくもだよ。
もうすぐつくよ。
おそらのパパはくものうえにすんでいるから。
『お空の駅です』
あ、おりなくちゃ!
ぴょんっととびおりると、おそらのパパがまっていてくれたよ。
「いつき……君が樹なのか」
「おそらのパパぁ」
「あぁ……こんなに大きくなって……僕は君にずっと会ってみたかったよ。よく来てくれたね。さぁ、お……いで」
「うん」
大きく手を広げてくれたから、いっくん、だっこしてもらった。
あったかいなぁ。
「おそらのパパ、はじめまちて、いっくんだよ」
「いっくんか、かわいいな」
「えへへ、パパとおしゃべりをしたくてきたんだよ」
「ありがとう。今日は七夕だからもしかしてと思っていたんだ。まさか本当に君がやってきてくれるなんて」
「パパがね、いっておいでって」
「……そうか、菫をもう一度幸せにしてくれた人だね」
「うん、いっくんがみつけたんだ」
「ちゃんと見つけてえらかったな。いっくん、ママをありがとう」
「ママもニコニコしてるよ」
パパとたくさん、おしゃべりしたよ。
それから、またらいねんあおうねって、おやくそくも。
「いっくん、またくるよ」
「ありがとう。ほっとしたよ、とても……とても心残りだったんだ」
「おそらのパパぁ……いっくん、げんきにおおきくなるよ。ずっとみていてね」
「あぁ、ずっと見守っている、雲の上から」
いっくんはおそらのパパがみえなくなるまで、おててふったよ。
またあえるよ。
たなばたさんのひは、まほうがつかえるんだよ。
あいたいひとに、あえるまほうだよ。
****
「いっくん、今頃……あの人に会っているのかな? 朝になったら忘れちゃうかな?」
「どうだろう? きっとまた来年も会おうと約束しているはずだよ」
「そうね、きっとそうね」
幸せそうな寝顔の男の子はいっくん。
オレの大切な息子。
お空のパパから引き継いだ大切な子供だ。
七夕トレインは瞬く夜空を駆け抜ける。
会いたい人の心から心へ、旅をする。
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