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小学生編
幸せが集う場所 10
しおりを挟む宗吾さんに力強くベッドに押し倒された。
今宵は、久しぶりの逢瀬になる。
そのせいで、胸がドキドキ、ドキドキと高鳴っていく。
この人に、これから抱かれる。
そう思うだけで、下腹部に熱が籠もってしまう。
僕も男だ。
宗吾さんが欲しい。
早く欲しい。
「瑞樹……」
宗吾さんが僕の両肩を掴んで、真っ直ぐに見下ろしてくる。
熱の籠もった甘い視線に絡み取られていく。
「あの……そんなに見ないで下さい」
「瑞樹の瞳って、綺麗だな」
「え……そうですか」
「こんなに澄んだ瞳は見たことないよ」
そっと頬を撫でられ、そのまま体重をズシッとかけられる。
「ん……っ」
宗吾さんと唇を重ね合わせた。
最初は軽く触れるキス。
次はしっとり濡れるキス。
それから深いキス。
最後にこんなに深いキスをしたのは、出張に行く前の晩だ。
あの日も今日みたいに求めあった。
あの日からいろんなことがあった。
芽生くんの入院は、僕も……怖かった。
離れ離れになるなんて予期してなかった。
また幸せが手の平から砂のようにすり抜けてしまうのではと、不安で不安で堪らなかった。
だが、幸せはちゃんとここにあった。
どこにもいかないで、いてくれた。
宗吾さんの広い背中に手を回し、しがみついた。
僕の幸せを抱きしめたくて。
すると宗吾さんも僕をしっかり抱きしめてくれた。
「瑞樹、このまま抱いていいか」
「はい、僕もそうしたいです」
パジャマのボタンを全て外され、胸を露わにされる。
「瑞樹の肌はきめ細やかで気持ちいいな」
右手で腰を深く抱かれ、左手は巧みにズボンを下げて、内股に這ってくる。
「あ……ッ……」
「ここ……久しぶりだから、固くなってるな。潤滑剤を使おう」
いつの間にか用意されていたゼリーで、柔らかくなるまで熱心にそこを揉まれた。くちゅりくちゅりと水音が恥ずかしくて、僕は宗吾さんにギュッとしがみついて目を閉じた。
「受け入れてくれてありがとう」
「……僕も宗吾さんを抱いています」
「わかるよ。君の中に入ると、抱かれている気分になるからな」
「……はい」
首や鎖骨、それから胸元にキスの雨が降ってくる。
優しい雨は、恵みの雨。
僕の乾いた身体を潤す雨だ。
両足を抱え上げられ、ガバッと開かれる。
その間に宗吾さんの逞しい身体が入ってくる。もう閉じるわけにはいかず、あられもない姿を晒して恥ずかしいが……嬉しかった。
一つになれることが、嬉しい。
「瑞樹……瑞樹っ」
「宗吾さん……宗吾さん」
互いの名を真摯に呼び合い、求め合う。
本能的に身体と心が、愛する人を欲している。
やがて……下腹部に宗吾さんの昂ぶるものを押し当てられる。
「もう……こんなになっていたのですね」
「こんなに長く我慢したのは久しぶりで、ギチギチだ」
「あからさまですね」
「すまん」
「いえ、嬉しいです」
誰だって嬉しいと思う。
好きな人から、愛され求められるのは。
指はずっと動いていた。
僕の内部を広げ、ぐりぐりと回転し、刺激を与えられる。
「あっ、うっ」
「入るぞ」
宗吾さんが先端を擦りつけてくる。
先走りのしめりを入り口に感じた後、ぐぐっと押し開かれた。
「あっ、あぁ! あ……」
柔らかく解されたそこは、宗吾さんをみるみる呑み込んでいく。
どんどん、深く――
「大丈夫か」
「かっ、硬くて……熱い……大きいです」
「お、おい、あまり煽るな」
「あ、すみません」
「謝るな」
根元まで押し込まれたものを、僕の身体が悦んでいる。
「瑞樹の中って、温かくて優しいな」
「宗吾さんのも熱いです」
「動かすよ」
最初はゆっくり、次第に大きく腰を動かされ、大きく仰け反ってしまった。
「ン……っ、あっ、あっ」
揺らされる度に、上擦った甘い声が溢れ落ちてしまう。
「瑞樹も一緒に」
僕の性器を宗吾さんが扱いてくる。
中も外も攻められ、過敏に感じてしまう。
「ここだよな。瑞樹の感じる場所って」
「あ……っ」
押し広げられ、突き上げられ、ひっきりなしに濡れた声が溢れてしまう。
芽生くんが起きないように声を潜めるが、我慢できない。
喘ぐ声を宗吾さんが口づけで吸い取ってくれる。
「可愛いな……感じているのか」
ここからはもう宗吾さんに身を委ねる一方で、僕は広い背中にしがみついて、甘く乱れっぱなしだ。
息が上がっていく。
イキたい。
それはもう本能の声だった。
いきたい。
生きたい。
行きたい。
明日も明後日も、ずっと一緒に……!
胸を喘がせ、宗吾さんにしがみつく。
「宗吾さん……もう、もうっ」
「瑞樹……すごい感じているな。ここヌルヌルだ」
「いや……ああっ」
「気持ちいいか」
「……気持ちいい……でも、ヘンになります」
「気持ちを解放しろ」
「あ……っ」
これは全てを曝け出す行為だ。
全てを見せ、全てを委ね合う。
信頼がないと成り立たない行為だ。
愛を与え合い、心も身体も繋がって……
淫らな水音が響く中、僕らは身体を上下に揺れて、宗吾さんの手に誘導されるように僕は果て、同時に身体の最奥に熱い飛沫を感じた。
「あぁ!」
「くっ」
下半身をピクピクさせていると、宗吾さんがチュッと口づけをしてきた。
「瑞樹……ありがとう。君がいてくれるから……俺、頑張れる」
返事をしようと唇を薄く開くと、また吸わされた。
「瑞樹、一度じゃ足りない」
「あ……もう?」
宗吾さんがもう一度僕の中にやってきた。
名残惜しさが、喜びに変わる瞬間だ。
宗吾さんに求められる喜び、必要とされる喜びが溢れてくる。
「愛おしいよ」
根元まで埋められ深い所で繋がって、深い口づけをする。
上も下も宗吾さんで満ちていく。
「宗吾さん……気持ちいいです」
「俺もだ」
二人は額を擦りつけあって、視線を合わせて微笑んだ。
「瑞樹、愛してるよ、俺、君がいるから幸せだ」
「宗吾さん、僕も同じです。今日も明日もずっと一緒にいて下さい。僕の幸せな存在なんです……」
****
久しぶりに瑞樹と繋がった。
夜更けまでかなりシツコク抱いてしまったが、瑞樹も何度も何度も求めてくれた。
それが嬉しかった。
身も心も満たされたお陰で、その後、しっかり仕事に打ち込むことが出来た。
そしてまた月日は流れ、いよいよ明日はバレンタインだ。
「滝沢くん、薔薇のフェスティバルに向けて、よく頑張ったな。明日は一旦離れて、江ノ島の水族館のイベントの方に向かってくれ」
「承知しました」
「それから、明後日は有休を取れ」
「え?」
「アシカとの触れ合いイベントの名簿を見たぞ。息子さんも参加するのだろう?」
「あ、はい」
「カッコいいお父さんの姿を見せて、その後は家族の時間を過ごすといい」
「え……あっ、ありがとうございます!」
というわけで、明日は楽しい1日になりそうだ。
いっくんと芽生の再会は、もう間もなくだ。
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