1,327 / 1,730
小学生編
幸せが集う場所 1
しおりを挟む
「美智、ここは私が計量しておくから」
「じゃあ彩芽を寝かしつけてきても大丈夫?」
「あぁ、計量は得意だ。1gたりとも間違わずにやるよ」
「そうね、憲吾さんは細かい仕事が得意だものね。じゃあ任せたわ」
ホームベーカリーを買ったのは私だ。後日芽生と話すためにも、私が作ってみたかった。
「憲吾、大丈夫? 何か手伝う?」
「母さんまで……なぁに大丈夫ですよ。この通り量って入れるだけでしょう」
「まぁそうだけど。そうね、憲吾は緻密な作業が得意だったわね」
「えぇ、だから任せて下さい」
強力粉に塩、砂糖、それから水にバターにスキムミルク。
よし! これで完璧だ。
「おっと危ない。ドライイーストを忘れるところだった。これで蓋をしてタイマーを入れてと……なんだ、案外簡単だな」
無事に動き出すのを確認してから、寝室に向かうと、彩芽がベビーベッドですやすやと眠っていた。そろそろベビーベッドも卒業だな。
「憲吾さん、ちょうど彩芽が眠ったので、手伝いに行こうと思っていたのよ」
「いや、もうセットしたから大丈夫だ。明日は焼き立てパンを食べられるぞ」
「素敵ね! 憲吾さん、ありがとう……大好きよ」
お? 美智が甘えてくれた。
「どういたしまして」
「嬉しかったわ。今までなら頭ごなしに駄目だったのに……本当に憲吾さんってば、変わったのね」
「……それは諸々悪かったな」
「いいの、私も冷たかったし……憲吾さん……」
「美智……」
芽生の退院を聞いて、美智も私もほっと一息つけた。だから久しぶりに夫婦の時間を過ごせそうだ。
「いいのか」
「えぇ……あのね……ちょうど妊娠しやすい時期みたい」
「そうか。そろそろ彩芽にも弟か妹が出来たらいいと思うんだが」
「私も賛成よ」
「……授かるといいな」
「えぇ」
大人の夜を過ごした翌朝。
私はワクワクと少年のように心を膨らませて目覚め、美智の布団をかけなおし、ぐっすり眠る彩芽の布団の整え、こっそりと台所に向かった。
タイマーが鳴るまで後15分か。きっと台所には焼き立てのパンの香りが充満しているだろう。
ところが……どうも様子が変だ。
おかしいな。焼き立て時間になっても香りがしない。
恐る恐る蓋を開けると、そこには……惨状が‼
「なっ、なんだこれは……っ」
粉のままの物体がパンケースの中にあった。
「何故だ? きちんと計量したのに……まさかこの私が失敗をするとは」
ガクッと膝をついて項垂れてしまった。
美智や彩芽を喜ばせようと思ったのに、一体何をどう間違えたら、こんなことになるのだ! 取り返しが付かないことをしてしまった。
「あらやだ。憲吾ってば真っ青。一体どうしたの?」
「か、母さん……無念です……大失敗です」
「はぁ? 大袈裟ね。まぁ、粉のままね。もしかしてドライイーストを入れ忘れたの?」
「入れました! 分量通り全て!」
母さんはパンケースを覗き混んで、「あら?」と不思議そうな声を出した。
「これ、どうやって掻き混ぜたの?」
「それは底に根がついていて回転するようです」
説明書はしっかり読んだ。一度読んだら全て頭の中だ。
頭の中だが……羽根をセットした記憶が……ないぞ!
「あぁ……なんてことだ。箱、箱は?」
「これ?」
「貸して下さい」
箱を振ると、ポロッと羽根が出て来た。
「憲吾ってば、入れ忘れちゃったのね」
「私としたことが……大失敗です」
大人になって、こんな失敗は初めてだ
恥ずかしくて死にそうだ。
どうしたらいいのか途方に暮れていると、母さんが動き出した。
「憲吾、母さんに任せなさい。捨てるのはもったいないわ。なんとか朝食にしてみるわね」
「私も手伝います!」
母さんと一緒にパンケースから木べらで生地を取りだして必死に混ぜて、牛乳と砂糖と卵黄を入れて更に混ぜ込んだ。
「うーん、このままだとまだ固いわね。卵白のメレンゲも入れてみましょう」
「メレンゲ? なんだか分かりませんが任せます」
「たぶんパンケーキみたいになるはずよ」
「流石です」
白いふわふわの泡は、メレンゲというらしい。それをさっくり混ぜてフライパンで焼くと、ようやくこんがりいい匂いがしてきた。
「ふふ、芽生の好きなパンケーキだわ。これ」
「彩芽が好きな絵本にも出て来ます」
「じゃあ、あーちゃんも喜ぶわね」
起きてきた美智と彩芽は、朝から私と母さんがパンケーキを焼いている姿に驚いていた。
「憲吾さん、パンじゃなくてパンケーキを作ってくれたのね。感動したわ!」
「パン、パン、ケーキ!」
彩芽も美智も笑顔だ。
だが、私は嘘がつけない。
「美智、すまない。本当は羽根を入れ忘れて失敗したんだ。それを母さんがパンケーキにしてくれて」
美智はそれでも微笑んでくれた。
「憲吾さん、謝らないで。あのね……結果じゃなくて気持ちが嬉しいのよ。あなたが率先してホームベーカリーを買ってきて、ドライイーストを買いに走ってくれて、計量もしてくれて……いいじゃない、パンケーキになっても……家族が美味しく笑顔で食べられるのだから」
「美智……ありがとう」
「私は……すまないより、ありがとうが好きよ」
「私もそう思う! 本当にありがとう。よし、皆で焼き立てパンケーキを食べよう!」
****
「瑞樹っ」
「あっ……そ、宗吾さん」
止まらない、止まらない。
瑞樹が愛おしくて――
唇を重ねれば重ねる程、心を持って行かれる。
薄く開いたキュッとしまった唇を割って口腔内に侵入し、舌を絡めて吸った。
甘い……
これは花の蜜を味わうようなキスだ。
「あ……っ」
瑞樹が鼻にかかるような可愛い声を出してくれる。
高揚する気持ちが抑えられなくなる。
「宗吾さん……も、もう出社しないと……駄目です」
「はぁ、だよな。この続きはいつだ?」
瑞樹が頬を染めて、俺を見上げてくる。
「僕も同じです。同じ気持ちです……ホッとした途端、宗吾さんが欲しくなっています」
「嬉しいよ。気持ちを揃えてくれてありがとうな。夜になったら抱いていいか
「は、はい……夜になったら……僕を抱いて……下さい」
「もちろんだ」
最後に約束のキスを一つ。
****
お友達に引っぱられるように教室に入ったよ。
「芽生の席、きれいにしておいたよ」
「ありがとう!」
ボクの机がある!
ボクのイスもある!
ボクのロッカーもあるよ!
ちゃんと全部あったよ!
それだけのことが、うれしいよ。
思わず机にスリスリしちゃった。
「ただいま、机さん」
そうしたら、朝の会で、先生がこう言ってくれたよ。
「今日から滝沢芽生くんが戻ってきてくれたので、クラス全員揃ったよ。本当に良かったね。さぁ、みんなで声を揃えて……せーの!」
「メイくん、たいいん、おめでとう! 今日からまたいっしょだよ」
クラスのみんなが声をそろえて、パチパチと手をたたいてくれたよ。
「わ! あ、ありがとう! もう元気だよ。またいっしょにおべんきょうしたり、あそんでね」
「もちろんだよ! さぁこれで元通りだよ」
先生、ありがとう。
ボク、本当は……ちゃんと元にもどれるかしんぱいだったんだ!
でもだいじょぶだったよ!
「じゃあ彩芽を寝かしつけてきても大丈夫?」
「あぁ、計量は得意だ。1gたりとも間違わずにやるよ」
「そうね、憲吾さんは細かい仕事が得意だものね。じゃあ任せたわ」
ホームベーカリーを買ったのは私だ。後日芽生と話すためにも、私が作ってみたかった。
「憲吾、大丈夫? 何か手伝う?」
「母さんまで……なぁに大丈夫ですよ。この通り量って入れるだけでしょう」
「まぁそうだけど。そうね、憲吾は緻密な作業が得意だったわね」
「えぇ、だから任せて下さい」
強力粉に塩、砂糖、それから水にバターにスキムミルク。
よし! これで完璧だ。
「おっと危ない。ドライイーストを忘れるところだった。これで蓋をしてタイマーを入れてと……なんだ、案外簡単だな」
無事に動き出すのを確認してから、寝室に向かうと、彩芽がベビーベッドですやすやと眠っていた。そろそろベビーベッドも卒業だな。
「憲吾さん、ちょうど彩芽が眠ったので、手伝いに行こうと思っていたのよ」
「いや、もうセットしたから大丈夫だ。明日は焼き立てパンを食べられるぞ」
「素敵ね! 憲吾さん、ありがとう……大好きよ」
お? 美智が甘えてくれた。
「どういたしまして」
「嬉しかったわ。今までなら頭ごなしに駄目だったのに……本当に憲吾さんってば、変わったのね」
「……それは諸々悪かったな」
「いいの、私も冷たかったし……憲吾さん……」
「美智……」
芽生の退院を聞いて、美智も私もほっと一息つけた。だから久しぶりに夫婦の時間を過ごせそうだ。
「いいのか」
「えぇ……あのね……ちょうど妊娠しやすい時期みたい」
「そうか。そろそろ彩芽にも弟か妹が出来たらいいと思うんだが」
「私も賛成よ」
「……授かるといいな」
「えぇ」
大人の夜を過ごした翌朝。
私はワクワクと少年のように心を膨らませて目覚め、美智の布団をかけなおし、ぐっすり眠る彩芽の布団の整え、こっそりと台所に向かった。
タイマーが鳴るまで後15分か。きっと台所には焼き立てのパンの香りが充満しているだろう。
ところが……どうも様子が変だ。
おかしいな。焼き立て時間になっても香りがしない。
恐る恐る蓋を開けると、そこには……惨状が‼
「なっ、なんだこれは……っ」
粉のままの物体がパンケースの中にあった。
「何故だ? きちんと計量したのに……まさかこの私が失敗をするとは」
ガクッと膝をついて項垂れてしまった。
美智や彩芽を喜ばせようと思ったのに、一体何をどう間違えたら、こんなことになるのだ! 取り返しが付かないことをしてしまった。
「あらやだ。憲吾ってば真っ青。一体どうしたの?」
「か、母さん……無念です……大失敗です」
「はぁ? 大袈裟ね。まぁ、粉のままね。もしかしてドライイーストを入れ忘れたの?」
「入れました! 分量通り全て!」
母さんはパンケースを覗き混んで、「あら?」と不思議そうな声を出した。
「これ、どうやって掻き混ぜたの?」
「それは底に根がついていて回転するようです」
説明書はしっかり読んだ。一度読んだら全て頭の中だ。
頭の中だが……羽根をセットした記憶が……ないぞ!
「あぁ……なんてことだ。箱、箱は?」
「これ?」
「貸して下さい」
箱を振ると、ポロッと羽根が出て来た。
「憲吾ってば、入れ忘れちゃったのね」
「私としたことが……大失敗です」
大人になって、こんな失敗は初めてだ
恥ずかしくて死にそうだ。
どうしたらいいのか途方に暮れていると、母さんが動き出した。
「憲吾、母さんに任せなさい。捨てるのはもったいないわ。なんとか朝食にしてみるわね」
「私も手伝います!」
母さんと一緒にパンケースから木べらで生地を取りだして必死に混ぜて、牛乳と砂糖と卵黄を入れて更に混ぜ込んだ。
「うーん、このままだとまだ固いわね。卵白のメレンゲも入れてみましょう」
「メレンゲ? なんだか分かりませんが任せます」
「たぶんパンケーキみたいになるはずよ」
「流石です」
白いふわふわの泡は、メレンゲというらしい。それをさっくり混ぜてフライパンで焼くと、ようやくこんがりいい匂いがしてきた。
「ふふ、芽生の好きなパンケーキだわ。これ」
「彩芽が好きな絵本にも出て来ます」
「じゃあ、あーちゃんも喜ぶわね」
起きてきた美智と彩芽は、朝から私と母さんがパンケーキを焼いている姿に驚いていた。
「憲吾さん、パンじゃなくてパンケーキを作ってくれたのね。感動したわ!」
「パン、パン、ケーキ!」
彩芽も美智も笑顔だ。
だが、私は嘘がつけない。
「美智、すまない。本当は羽根を入れ忘れて失敗したんだ。それを母さんがパンケーキにしてくれて」
美智はそれでも微笑んでくれた。
「憲吾さん、謝らないで。あのね……結果じゃなくて気持ちが嬉しいのよ。あなたが率先してホームベーカリーを買ってきて、ドライイーストを買いに走ってくれて、計量もしてくれて……いいじゃない、パンケーキになっても……家族が美味しく笑顔で食べられるのだから」
「美智……ありがとう」
「私は……すまないより、ありがとうが好きよ」
「私もそう思う! 本当にありがとう。よし、皆で焼き立てパンケーキを食べよう!」
****
「瑞樹っ」
「あっ……そ、宗吾さん」
止まらない、止まらない。
瑞樹が愛おしくて――
唇を重ねれば重ねる程、心を持って行かれる。
薄く開いたキュッとしまった唇を割って口腔内に侵入し、舌を絡めて吸った。
甘い……
これは花の蜜を味わうようなキスだ。
「あ……っ」
瑞樹が鼻にかかるような可愛い声を出してくれる。
高揚する気持ちが抑えられなくなる。
「宗吾さん……も、もう出社しないと……駄目です」
「はぁ、だよな。この続きはいつだ?」
瑞樹が頬を染めて、俺を見上げてくる。
「僕も同じです。同じ気持ちです……ホッとした途端、宗吾さんが欲しくなっています」
「嬉しいよ。気持ちを揃えてくれてありがとうな。夜になったら抱いていいか
「は、はい……夜になったら……僕を抱いて……下さい」
「もちろんだ」
最後に約束のキスを一つ。
****
お友達に引っぱられるように教室に入ったよ。
「芽生の席、きれいにしておいたよ」
「ありがとう!」
ボクの机がある!
ボクのイスもある!
ボクのロッカーもあるよ!
ちゃんと全部あったよ!
それだけのことが、うれしいよ。
思わず机にスリスリしちゃった。
「ただいま、机さん」
そうしたら、朝の会で、先生がこう言ってくれたよ。
「今日から滝沢芽生くんが戻ってきてくれたので、クラス全員揃ったよ。本当に良かったね。さぁ、みんなで声を揃えて……せーの!」
「メイくん、たいいん、おめでとう! 今日からまたいっしょだよ」
クラスのみんなが声をそろえて、パチパチと手をたたいてくれたよ。
「わ! あ、ありがとう! もう元気だよ。またいっしょにおべんきょうしたり、あそんでね」
「もちろんだよ! さぁこれで元通りだよ」
先生、ありがとう。
ボク、本当は……ちゃんと元にもどれるかしんぱいだったんだ!
でもだいじょぶだったよ!
12
お気に入りに追加
832
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる