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小学生編
心をこめて 26
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今日はモチベーション維持のため、少しだけ前置きをさせて下さい💦
現在『幸せな存在』は芽生が連日可哀想なことになっています。読者様の中には、このような展開を読むのが、経験上辛いお立場の方もいらっしゃるのは理解しています。その場合は無理せずに飛ばして、物語が浮上するのをお待ち下さい (エッセイでお知らせしますね)
今回は私の経験を踏まえて伝えたいことがあるので、一気に飛ばして早く芽生の笑顔が見たいのも山々なのですが、それでは伝えたいことが伝わらないと思い、毎日頑張って執筆しています。
芽生がすっかり元気になって、笑顔一杯で退院するシーンがゴールです。必ずハッピーエンドにしますのでご安心を。今の私はそのシーンを書く日を糧に、楽しみにして執筆しています。
芽生の入院を経て、瑞樹と宗吾さんとの関係もますます深まっていきます。そして、この次の段では、思いっきり明るく楽しい甘い話にしますね。
尚、現在エッセイhttps://estar.jp/novels/25768518の方では、少し砕けたこぼれ話を連日連載しています。『幸せな存在』のシリアス展開の息抜きとなるといいなと思って書いています。
****
幼い芽生をひとり病院に残して帰るのは、辛い。
芽生は生まれてからずっと、大病もせず元気いっぱい過ごしていたので、こんなこと初めてだ。
今日は動揺し取り乱してしまった。
病気を治すためだと、自分に必死に言い聞かせるしかなかった。
瑞樹が傍にいてくれなかったら、俺……どうなっていたか。
母さんが来てくれて、兄さんが来てくれて、励ましてくれた。
皆、親身になって助けてくれた。
人の情けは、どこまでも深く温かいんだな。
じわりと身に沁みたよ。
心と心がしっかり繋がっていくのを感じた。
今の俺には、困っている時に、さっと集まってくれる人がいる。
そのことに心から感謝した。
「芽生……いい子でぐっすり眠れよ」
少し汗ばんだ額を、そっと撫でてやった。
「このクマがちゃんと見張っているから、大丈夫だ。うさぎにくっついていれば、寂しくないからな」
「芽生くん……おやすみ」
帰りの電車の中、瑞樹も無言だった。
心の整理をしているようだった。
家に帰ると、真夜中に飛び出したままの部屋が待っていた。
朝一度戻ったが、芽生のための荷物を慌てて詰めたので、どこもかしこも散らかっていた。
「母さん、びっくりしただろうな」
「……片付けましょうか」
「そうだな。身体を動かしていた方が気が紛れるしな。俺はリビングを片付けるから、瑞樹は芽生の部屋を頼む」
「はい」
もう夜も更けていたが窓を開けて、籠もっていた空気を入れ換えた。
真冬の冷気を一気に浴びて、心を静めた。
リビングに散らかっていたものを拾い集めていると、子供部屋から小さな嗚咽が聞こえた。
「瑞樹……?」
慌て子供部屋を覗くと、瑞樹が芽生のベッドに蹲って、しくしくと泣いていた。
「瑞樹、大丈夫か」
「すみません。泣いたりして……大変なのは芽生くんなのに……僕、何も出来ないのが、やはりもどかしくて」
「そんなことない! 君は癒やしだ。芽生がすんなり病室で寝付けたのは、君の心の籠ったうさぎのぬいぐるみのお陰だ」
「うっ……うっ……芽生くんはひとり置いて行かれるのが、きっと……すごく嫌なんです。なのに置いていかなくてはいけなくて。この感情をどう表現していいのか分からない! この気持ち……悔しいのか、諦めなのか」
瑞樹がシーツに涙を散らして、胸をドンっと叩く。
こんなに感情を昂ぶらせる君を見るのは、初めてだ。
芽生のためにそこまで真剣に向き合い、涙を流してくれるのか。
俺の息子を……君はこんなにも愛してくれるのか。
「あ……すみません。僕、出しゃばってしまいました。母親でも父親でもないのに……」
いつもの瑞樹に戻ってしまうのを、慌てて引き止めた。
「瑞樹、ありがとう。芽生はもう俺たちの子だ。この先、何があろうとずっと……だから今回のことは二人で頑張ろう! 俺たちが手を伸ばせる人を頼っていこう!」
「宗吾さん、ありがとうございます。僕にとって芽生くんの代わりはいません。芽生くんが大好きです。治療が上手くいきますように……どうか、どうか」
瑞樹が顔を歪まして、切に願う。
「あぁ、祈ろう」
子供部屋で肩を寄せ合い、心を寄せ合って、暫く泣いた。
もう俺たちの間には、虚勢を張る必要はない。
お互いの気持ちを素直に曝け出し、支え合おう。
「瑞樹、今から大沼のお母さんたちに連絡してくれるか」
「はい、僕もしようと思っていました」
「俺たちには人手が必要だ。瑞樹のサイドも頼らせてくれ」
「もちろんです!」
****
「あれれ? うさちゃんって、お兄ちゃんと同じお花のにおいがするね」
「ぼくは、お兄ちゃんだよ」
「わぁ、やっぱりそうだったんだね」
「だから、だいじょうぶ、だいじょうぶだよ」
「うん、あれ? くまちゃんはどこ?」
「あそこで守っているよ」
「かっこいいね。パパみたい」
「あれは、パパだよ」
「なんだ、みんないっしょだったんだね」
「そうだよ。芽生くんの傍にいるよ。だから安心して眠れるよ」
「うん、わかった!」
ふわふわ、ふわふわ、きもちいいな。
ぬくぬく、ぬくぬく、きもちいいな。
ぐっすり、ぐっすり、ねむれるよ。
おやすみ、おにいちゃん、パパ。
だいすきだよ!
またあしたね。
現在『幸せな存在』は芽生が連日可哀想なことになっています。読者様の中には、このような展開を読むのが、経験上辛いお立場の方もいらっしゃるのは理解しています。その場合は無理せずに飛ばして、物語が浮上するのをお待ち下さい (エッセイでお知らせしますね)
今回は私の経験を踏まえて伝えたいことがあるので、一気に飛ばして早く芽生の笑顔が見たいのも山々なのですが、それでは伝えたいことが伝わらないと思い、毎日頑張って執筆しています。
芽生がすっかり元気になって、笑顔一杯で退院するシーンがゴールです。必ずハッピーエンドにしますのでご安心を。今の私はそのシーンを書く日を糧に、楽しみにして執筆しています。
芽生の入院を経て、瑞樹と宗吾さんとの関係もますます深まっていきます。そして、この次の段では、思いっきり明るく楽しい甘い話にしますね。
尚、現在エッセイhttps://estar.jp/novels/25768518の方では、少し砕けたこぼれ話を連日連載しています。『幸せな存在』のシリアス展開の息抜きとなるといいなと思って書いています。
****
幼い芽生をひとり病院に残して帰るのは、辛い。
芽生は生まれてからずっと、大病もせず元気いっぱい過ごしていたので、こんなこと初めてだ。
今日は動揺し取り乱してしまった。
病気を治すためだと、自分に必死に言い聞かせるしかなかった。
瑞樹が傍にいてくれなかったら、俺……どうなっていたか。
母さんが来てくれて、兄さんが来てくれて、励ましてくれた。
皆、親身になって助けてくれた。
人の情けは、どこまでも深く温かいんだな。
じわりと身に沁みたよ。
心と心がしっかり繋がっていくのを感じた。
今の俺には、困っている時に、さっと集まってくれる人がいる。
そのことに心から感謝した。
「芽生……いい子でぐっすり眠れよ」
少し汗ばんだ額を、そっと撫でてやった。
「このクマがちゃんと見張っているから、大丈夫だ。うさぎにくっついていれば、寂しくないからな」
「芽生くん……おやすみ」
帰りの電車の中、瑞樹も無言だった。
心の整理をしているようだった。
家に帰ると、真夜中に飛び出したままの部屋が待っていた。
朝一度戻ったが、芽生のための荷物を慌てて詰めたので、どこもかしこも散らかっていた。
「母さん、びっくりしただろうな」
「……片付けましょうか」
「そうだな。身体を動かしていた方が気が紛れるしな。俺はリビングを片付けるから、瑞樹は芽生の部屋を頼む」
「はい」
もう夜も更けていたが窓を開けて、籠もっていた空気を入れ換えた。
真冬の冷気を一気に浴びて、心を静めた。
リビングに散らかっていたものを拾い集めていると、子供部屋から小さな嗚咽が聞こえた。
「瑞樹……?」
慌て子供部屋を覗くと、瑞樹が芽生のベッドに蹲って、しくしくと泣いていた。
「瑞樹、大丈夫か」
「すみません。泣いたりして……大変なのは芽生くんなのに……僕、何も出来ないのが、やはりもどかしくて」
「そんなことない! 君は癒やしだ。芽生がすんなり病室で寝付けたのは、君の心の籠ったうさぎのぬいぐるみのお陰だ」
「うっ……うっ……芽生くんはひとり置いて行かれるのが、きっと……すごく嫌なんです。なのに置いていかなくてはいけなくて。この感情をどう表現していいのか分からない! この気持ち……悔しいのか、諦めなのか」
瑞樹がシーツに涙を散らして、胸をドンっと叩く。
こんなに感情を昂ぶらせる君を見るのは、初めてだ。
芽生のためにそこまで真剣に向き合い、涙を流してくれるのか。
俺の息子を……君はこんなにも愛してくれるのか。
「あ……すみません。僕、出しゃばってしまいました。母親でも父親でもないのに……」
いつもの瑞樹に戻ってしまうのを、慌てて引き止めた。
「瑞樹、ありがとう。芽生はもう俺たちの子だ。この先、何があろうとずっと……だから今回のことは二人で頑張ろう! 俺たちが手を伸ばせる人を頼っていこう!」
「宗吾さん、ありがとうございます。僕にとって芽生くんの代わりはいません。芽生くんが大好きです。治療が上手くいきますように……どうか、どうか」
瑞樹が顔を歪まして、切に願う。
「あぁ、祈ろう」
子供部屋で肩を寄せ合い、心を寄せ合って、暫く泣いた。
もう俺たちの間には、虚勢を張る必要はない。
お互いの気持ちを素直に曝け出し、支え合おう。
「瑞樹、今から大沼のお母さんたちに連絡してくれるか」
「はい、僕もしようと思っていました」
「俺たちには人手が必要だ。瑞樹のサイドも頼らせてくれ」
「もちろんです!」
****
「あれれ? うさちゃんって、お兄ちゃんと同じお花のにおいがするね」
「ぼくは、お兄ちゃんだよ」
「わぁ、やっぱりそうだったんだね」
「だから、だいじょうぶ、だいじょうぶだよ」
「うん、あれ? くまちゃんはどこ?」
「あそこで守っているよ」
「かっこいいね。パパみたい」
「あれは、パパだよ」
「なんだ、みんないっしょだったんだね」
「そうだよ。芽生くんの傍にいるよ。だから安心して眠れるよ」
「うん、わかった!」
ふわふわ、ふわふわ、きもちいいな。
ぬくぬく、ぬくぬく、きもちいいな。
ぐっすり、ぐっすり、ねむれるよ。
おやすみ、おにいちゃん、パパ。
だいすきだよ!
またあしたね。
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