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小学生編

ハートフルクリスマスⅡ・3

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「瑞樹、出先で芽生のリクエストに合う物を探してみるよ」
「じゃあ僕は昼休みに、駅前のスモールカメラを覗いてみますね」
「あぁ、頼む」

 そんな言葉で宗吾さんと別れると、背後から菅野に肩を叩かれた。

「瑞樹ちゃん、おはよ! なぁ今の聞こえちゃったけど、昼休みに何か買いに行くのか」
「あ、うん、芽生くんへのクリスマスプレゼントを探しに行こうかと」
「あーそっか、週末はクリスマスだもんな。で、スモールカメラってことは、とうとうテレビゲームデビュー? それともアニメのおもちゃ?」
「菅野は子供事情に詳しいね。あ、そうか、お姉さんの所にお子さんがいるからなのか」
「まぁな、毎年あれこれリクエストされて大変だぜ。すぐにお年玉もいるしな」
「くすっ、菅野は本当にいい叔父さんだね」
「おっと! まだ『おじさん』とは呼ばせないぜ」
「ふふっ、僕もまだ抵抗あるよ」
「瑞樹ちゃんは永遠の高校生だよ」

 真顔で言われても……と苦笑してしまう。

「それは犯罪だよ。流石に10歳も誤魔化せないよ」
「そうかぁ、じゃあ大学生。お肌すべすべじゃん」
「……菅野、気をつけないと、宗吾さん化してるよ」
「え! それはまずい。風太に怒られる」
「くすっ」


 
 そんな会話を交わしたこともあり、僕は昼休みに菅野と有楽町駅前のスモールカメラにやってきた。ここはクリスマスグッズも多く取り扱っているので、ピンとくる物があるかも。

 クリスマスのデコレーションコーナーをキョロキョロ眺めていると、菅野に小突かれた。

「瑞樹ちゃん、で、芽生坊は何が欲しいんだ? 早く教えてくれよ」
「それがね……」

 可愛い文字で書かれた手紙を見せると、菅野は少し驚いていた。

「すごいな! 芽生坊のリクエストって夢いっぱいだな」
「うん、可愛いお願いだから是非叶えてあげたいんだ。でも、これでは宴会の余興みたいにペラペラで……」
「あぁ安っぽいし、嘘っぽいよな」
「やっぱり……そうだよね」

 芽生くんが書いたサンタさんへのお願いは……

『サンタさん、こんにちは! たきざわめいです。ことしはボクもサンタさんのお手伝いをしたいです。パパとお兄ちゃんといっしょに、ボクをいつもたいせつにしてくれる人に、しあわせをおくる人になりたいんです。だから24日にサンタさんのゆにふぉーむをとどけてください。ぼくひとりだとプレゼントをもちきれないから、たきざわチームのぶんをおねがいします』

  
「待てよ。ってことは、瑞樹ちゃんもサンタになるのか」
「……ここに書いてあるからね」
「宗吾さんも?」
「うん、3人でサンタのコスチュームを着るという解釈で落ち着いたんだけど、どう思う?」
「その通りだと思うぜ! 3人でサンタになるなんて、芽生坊が小さな頃しか出来ないぜ。実現させてやりたいよな」
「うん、僕もそう思うんだけど……どうもこの売り場はしっくり来なくてね」
「そうだな。いっそテーラーにオーダーしちゃうとか」
「えぇ?」

 それは考えていなかったので驚いたが、一理あるかも。

 もしかして、あそこのお店なら案件を受けてくれるのでは?

「あてがあるのか」
「あたってみようかな」
「おぉ! 瑞樹ちゃんがんばれ!」
「うん!」

 宗吾さんに早速電話すると、すぐに『テーラー桐生』に連絡を取ってくれた。

 大河さんからは快い返事が返ってきた。ただし時間がないので速攻打ち合わせに来て欲しいとのこと。

 だから芽生くんのお迎えをお母さんにお願いして、会社帰りに急遽東銀座のお店に行くことになった。



「菅野、じゃあ行ってくるよ!」
「ちょっと待ってくれ。瑞樹ちゃん、もしもオーダーが可能なら、ひとつお願いがあって」
「ん?」
「風太の分も頼む!」
「あぁそうか。小森くんにも似合いそうだね。うん、聞いて見るよ」
「やった!」

 
 僕は師走の街に駆け出した。

 吐く息は白いが、ワクワクしていた。

 小さい頃に願ったことを思い出していた。

「ママ……ボクね、大きくなったら大切な人の夢を叶える人になりたいな」
「まぁ素敵ね。じゃあみーくんがサンタさんになるのね」
「うん!」


 そんな僕の夢が叶う!

 僕も芽生くんと一緒にサンタになりたい!




 四丁目の交差点で信号待ちをしていると、スマホが鳴った。

 潤からだ。
 
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