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小学生編
HAPPY SUMMER CAMP!㉕
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「りゅ、流……そろそろ時間じゃ?」
「あと5分ある」
「んっ……ダメだって」
僕は座席を思いっき倒され、押し倒されていた。
流が僕の胸の尖りを、唇を巧みに使って吸い上げている。
「あっ……あ……」
大きくシャツを捲りあげられて直接吸いつかれて……あられもない姿に羞恥心を煽られ、じんじんと感じていた。
「か……感じちゃう……から……これ以上は……もう……うっ……」
過敏な箇所を弄られ、僕は涙目になって流の背中をドンドンと叩いた。
「翠、ごめんな……泣かすつもりじゃ」
「……ふぅ……あ……流、いいんだ。謝らなくていい……僕だってこの30分が楽しみだったんだ」
流に対して、嘘偽りはもう不要だ。
弟を欲する自分を認めているから。
「お、そろそろ時間だな」
座席を戻され、シャツを整えられ……
大急ぎで時間を巻き戻していく。
こういう時の流って、手際良すぎないか。
「おっと、換気、換気……翠の色気がぷんぷん漂っているからな」
「も、もう―― それを言うなら……」
「ん? どうした?」
流の上腕二頭筋を見つめ、ほぅっと息を吐いた。
「逞しい腕だね……いつも思うけど」
「翠を抱き上げることが出来るように、いつも鍛えているのさ」
「も、もう……流はしゃべるな」
一度外の空気を吸おうと外に出ると、ちょうど三人が仲良く戻って来る所だった。
「しかし、あんな浴衣あったかな」
「……芽生くんの?」
「『くまのポー』なんて、ゆめの国のアイドルキャラクターだろ。俺のガラじゃねーよな」
「くすっ……流は覚えていないんだね」
「何を?」
「内緒」
可愛かったな、あの浴衣を着た流。
幼い頃から大柄だった流があの浴衣を着たのは幼稚園の年長だったから、覚えていないのも無理ないか。
……
「おにいちゃんみたいになりたい! なー かあさん、おれもかわいくなりたい」
「えー? 流、あんた、そのキャラでそんなこと言う?」
「おねがい‼」
何でも僕の真似をしたがった流は、僕と外見があまりに違うのを気にする時期があったんだよ。
そんな流を見かねて母さんが用意したのは『くまのポー』柄の浴衣だった。
「流、ほら、どう? 可愛いでしょ。これを着たら少しは可愛く見えるかもしれないわよ」
「……なんかちがう。これはかわいいじゃなくておいしそうな浴衣だ!」
「まぁ、この子ってば」
……
「兄さん、教えてくれよ、なっ、頼む」
「……流は甘いもの大好きだったから、浴衣を見て涎を垂らしていたよ」
「え? ゆめの国の『くまのポー』が何でそうなる?」
「芽生くんが来たら、浴衣の柄をよく見てご覧よ」
「何だ?」
二人で車にもたれて話していると、宗吾さんが芽生くんに何か耳打ちした。
芽生くんの可愛い声が届く。
「もういいか~い?」
「え?」
流が腹を抱えて笑っている。
まるで僕たちが何をしていたか筒抜けのようで恥ずかしい。
「もういいぜ~!」
流が頭の上で丸を描いてジェスチャーをすると、芽生くんが満面の笑みで駆け寄って来た。
楽しい家族の時間を過ごせたようだね。
「すいさーん、りゅーくん、みて! 『くまのポー』だよ! お兄ちゃんが取ってくれたんだよ」
「おお、可愛いなぁ。そうだ芽生坊、ちょっとその浴衣を見せろ」
「え? きゃー えっちぃ」
「ははっ、宗吾の真似か」
「うん!」
流との時間は、ここまでだ。
また大勢いでワイワイする賑やかな時間に戻ろう。
「あぁ、そうか、蜂蜜のポットの柄だったのか」
「え? ハチミツ? 俺の大好物だ! 芽生~ 刺激的な浴衣だな」
宗吾さんが目を輝かせて身を乗り出す。
やれやれ、この二人は甘党なんだなと、瑞樹くんと肩を竦めて笑った。
「翠さん、ありがとうございます。素敵な時間を過ごせました」
「良かったよ。 笑顔が耐えなかった?」
「実は……芽生くんと宗吾さんが少し喧嘩したり険悪になったんですが……なんとか家族で解決出来ました。それが嬉しくて……」
瑞樹くんの晴れ晴れとした爽やかな笑顔に、ハッとする。
流との狂おしい日々……
思い返せば……本当に色々な事が起きて、色々な想いが交差した。
だから流と結ばれてから、長くいがみあった日々を勿体なかったと後悔したが、違うのだ。
そんな日々があったからこそ、今、実の弟である流に全てを委ねられる。
家族を経ての恋人になった流への想いは果てしない。
「瑞樹くん、同じ時間を重ねて、いろいろな心を交差させるて、絆って深まっていくんだね」
「あ……翠さん、僕も全く同じことを考えていました」
「僕と流も喧嘩をしたし、険悪な時期もあった。でも……そういう日々を乗り越えて今があるんだ」
「翠さんと流さん……二人の絆の深さは僕の憧れです」
瑞樹くんが目を細めて、僕を見つめてくれる。
彼の清潔で可憐な雰囲気が、とても心地良い。
「あの葉山の海で、瑞樹くんたちと出逢えたことに感謝しているよ」
「はい、僕も月影寺の皆さんと出会えて嬉しいです。僕にとって……あなたたちはもう親戚のような存在です」
僕たちは再び車に乗り込んだ。
車中で『くまのポー』のぬいぐるみを抱っこした芽生くんが、不思議そうな顔をした。
「お兄ちゃん、車の中……なんだか、すっごくあついね」
「え? そ、そうかな?」
この言葉に、一番喜んだのは流。
「ははっ、どうだ? 熱々だろ~」
「アツアツってアチチのことだね。ボクしってるよ! ねー お兄ちゃん!」
「め、芽生くんっ」
くすっ……小さな子どものいる日常って新鮮で楽しいね。
サマーキャンプも終盤だ。
大人も子供も、沢山の思い出を作っている。
あとがき(不要な方は飛ばして下さいね)
****
今日は最初から最後まで翠視点でした。『幸せな存在』のみの読者さまには申し訳ありません。第三者から見た滝沢ファミリーを楽しんでいただけたら、嬉しいです。
もう8月も下旬! サマーキャンプもそろそろ締めていきますね。
「あと5分ある」
「んっ……ダメだって」
僕は座席を思いっき倒され、押し倒されていた。
流が僕の胸の尖りを、唇を巧みに使って吸い上げている。
「あっ……あ……」
大きくシャツを捲りあげられて直接吸いつかれて……あられもない姿に羞恥心を煽られ、じんじんと感じていた。
「か……感じちゃう……から……これ以上は……もう……うっ……」
過敏な箇所を弄られ、僕は涙目になって流の背中をドンドンと叩いた。
「翠、ごめんな……泣かすつもりじゃ」
「……ふぅ……あ……流、いいんだ。謝らなくていい……僕だってこの30分が楽しみだったんだ」
流に対して、嘘偽りはもう不要だ。
弟を欲する自分を認めているから。
「お、そろそろ時間だな」
座席を戻され、シャツを整えられ……
大急ぎで時間を巻き戻していく。
こういう時の流って、手際良すぎないか。
「おっと、換気、換気……翠の色気がぷんぷん漂っているからな」
「も、もう―― それを言うなら……」
「ん? どうした?」
流の上腕二頭筋を見つめ、ほぅっと息を吐いた。
「逞しい腕だね……いつも思うけど」
「翠を抱き上げることが出来るように、いつも鍛えているのさ」
「も、もう……流はしゃべるな」
一度外の空気を吸おうと外に出ると、ちょうど三人が仲良く戻って来る所だった。
「しかし、あんな浴衣あったかな」
「……芽生くんの?」
「『くまのポー』なんて、ゆめの国のアイドルキャラクターだろ。俺のガラじゃねーよな」
「くすっ……流は覚えていないんだね」
「何を?」
「内緒」
可愛かったな、あの浴衣を着た流。
幼い頃から大柄だった流があの浴衣を着たのは幼稚園の年長だったから、覚えていないのも無理ないか。
……
「おにいちゃんみたいになりたい! なー かあさん、おれもかわいくなりたい」
「えー? 流、あんた、そのキャラでそんなこと言う?」
「おねがい‼」
何でも僕の真似をしたがった流は、僕と外見があまりに違うのを気にする時期があったんだよ。
そんな流を見かねて母さんが用意したのは『くまのポー』柄の浴衣だった。
「流、ほら、どう? 可愛いでしょ。これを着たら少しは可愛く見えるかもしれないわよ」
「……なんかちがう。これはかわいいじゃなくておいしそうな浴衣だ!」
「まぁ、この子ってば」
……
「兄さん、教えてくれよ、なっ、頼む」
「……流は甘いもの大好きだったから、浴衣を見て涎を垂らしていたよ」
「え? ゆめの国の『くまのポー』が何でそうなる?」
「芽生くんが来たら、浴衣の柄をよく見てご覧よ」
「何だ?」
二人で車にもたれて話していると、宗吾さんが芽生くんに何か耳打ちした。
芽生くんの可愛い声が届く。
「もういいか~い?」
「え?」
流が腹を抱えて笑っている。
まるで僕たちが何をしていたか筒抜けのようで恥ずかしい。
「もういいぜ~!」
流が頭の上で丸を描いてジェスチャーをすると、芽生くんが満面の笑みで駆け寄って来た。
楽しい家族の時間を過ごせたようだね。
「すいさーん、りゅーくん、みて! 『くまのポー』だよ! お兄ちゃんが取ってくれたんだよ」
「おお、可愛いなぁ。そうだ芽生坊、ちょっとその浴衣を見せろ」
「え? きゃー えっちぃ」
「ははっ、宗吾の真似か」
「うん!」
流との時間は、ここまでだ。
また大勢いでワイワイする賑やかな時間に戻ろう。
「あぁ、そうか、蜂蜜のポットの柄だったのか」
「え? ハチミツ? 俺の大好物だ! 芽生~ 刺激的な浴衣だな」
宗吾さんが目を輝かせて身を乗り出す。
やれやれ、この二人は甘党なんだなと、瑞樹くんと肩を竦めて笑った。
「翠さん、ありがとうございます。素敵な時間を過ごせました」
「良かったよ。 笑顔が耐えなかった?」
「実は……芽生くんと宗吾さんが少し喧嘩したり険悪になったんですが……なんとか家族で解決出来ました。それが嬉しくて……」
瑞樹くんの晴れ晴れとした爽やかな笑顔に、ハッとする。
流との狂おしい日々……
思い返せば……本当に色々な事が起きて、色々な想いが交差した。
だから流と結ばれてから、長くいがみあった日々を勿体なかったと後悔したが、違うのだ。
そんな日々があったからこそ、今、実の弟である流に全てを委ねられる。
家族を経ての恋人になった流への想いは果てしない。
「瑞樹くん、同じ時間を重ねて、いろいろな心を交差させるて、絆って深まっていくんだね」
「あ……翠さん、僕も全く同じことを考えていました」
「僕と流も喧嘩をしたし、険悪な時期もあった。でも……そういう日々を乗り越えて今があるんだ」
「翠さんと流さん……二人の絆の深さは僕の憧れです」
瑞樹くんが目を細めて、僕を見つめてくれる。
彼の清潔で可憐な雰囲気が、とても心地良い。
「あの葉山の海で、瑞樹くんたちと出逢えたことに感謝しているよ」
「はい、僕も月影寺の皆さんと出会えて嬉しいです。僕にとって……あなたたちはもう親戚のような存在です」
僕たちは再び車に乗り込んだ。
車中で『くまのポー』のぬいぐるみを抱っこした芽生くんが、不思議そうな顔をした。
「お兄ちゃん、車の中……なんだか、すっごくあついね」
「え? そ、そうかな?」
この言葉に、一番喜んだのは流。
「ははっ、どうだ? 熱々だろ~」
「アツアツってアチチのことだね。ボクしってるよ! ねー お兄ちゃん!」
「め、芽生くんっ」
くすっ……小さな子どものいる日常って新鮮で楽しいね。
サマーキャンプも終盤だ。
大人も子供も、沢山の思い出を作っている。
あとがき(不要な方は飛ばして下さいね)
****
今日は最初から最後まで翠視点でした。『幸せな存在』のみの読者さまには申し訳ありません。第三者から見た滝沢ファミリーを楽しんでいただけたら、嬉しいです。
もう8月も下旬! サマーキャンプもそろそろ締めていきますね。
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