1,110 / 1,730
小学生編
HAPPY SUMMER CAMP!④
しおりを挟む
「宗吾さんっ、しっかりして下さい」
「参ったな……いや先方が間違えているのかもしれないか……」
「じゃあ、僕が確認しましょうか」
可愛い瑞樹は女性受けする王子さまだ。必要以上に人目に付くわけにはいかない!
「いや、俺がしてくるよ。君は皆の所で待っていてくれ。そうだな流の後ろにいろ」(女性から見えないように、隠れていてくれ)
「えっと……そうしますね」
くるりと振り向くと、月影寺men'sが揃って心配そうに俺を見つけていた。
「あー コホン」
わざと咳払いして、もう一度インターホンを押す。
すぐにザワザワと大勢の人の気配をドア越しに感じる。おいおい、一体何人で宿泊してるんだ? 何の集まりだか知らないが、俺たち並の大所帯のようだ。
「あの、すみません。怪しいものじゃありません」
「それは知っています」
「えぇ? 知っている?」
「あ、いえっ、何かご用ですか」
「ちょっと確認したいのですが、このログハウスの予約票を見せていただけませんか」
「えっ……予約票ですか」
「あの、本当に今日の予約ですよね?」
「えぇ、ほらっ」
「しっ、失礼しました」
ヤバイなぁ。本当にダブルブッキングだったのか。しかも相手は女性だけのようだし、俺らはそもそも無料で宿泊予定だったので分が悪い。
「どうした? 宗吾」
流が話し掛けてくれる。
「参ったよ。今日に限ってダブルブッキングだなんて。宿無しになるかも……あぁ、格好悪いな」
気が動転して、不甲斐ないことを言ってしまった。
すると流がスッと真顔になった。
「宗吾、そう気を落とすなよ。ほらっ、ピンチはチャンスだろ! いつもの調子はどうした?」
「あぁ、そうだよな」
そもそもピンチとは、追い詰められた苦しい状態や苦境や窮地のことで、チャンスは物事をするのによい機会や好機のことだ。だから『ピンチはチャンス』とは、追い詰められた苦しい状況の時にこそ、新しいスタートをするのに絶好の機会という意味になる。
俺は今まで仕事もプライベートもこのポリシーで乗り切ってきた。ピンチを好機にするのは自分の心持ち次第だ。ただし独りよがりでは上手くいかない。周囲を頼って知恵や助けを求めるのは、悪いことではないのを知っている。
これは俺たちと月影寺men'sとの人間関係、信頼関係を更に深めるチャンスとなるのかも。
「よし! 流、ちょっと来てくれ」
「了解!」
俺たちはフロントで予約状況を確認した。
「あぁ、やっぱりダブルブッキングだな」
「もっ、申し訳ありません」
「他に空いているコテージはないのか」
「今、お調べします!」
キャンプ場のスタッフも、焦り顔で平謝りだ。
「あ、ありました……でも3人用のコテージが1棟だけです」
「あとは? あと10名の宿泊先はどうする?」
「申し訳ありません……生憎どこも満室です」
いやいや打開策を考えてくれよ。いや違うな。俺が考えればいいのか。このキャンプ場は仕事で関わったので、ログハウス以外の内容も把握している。
「そうだ、ログハウス前のウッドデッキエリアにグランピングエリアをOPEN予定で整備していたんじゃないか」
「あ、はい」
「特別にあのエリアを解放してくれないか」
「ですが……まだあそこは整備途中なので、豪華なテントもシャワールームもありませんが……」
「知っているさ。だが普通のテントならいくつか在庫があるだろ?」
「はい、それならお貸し出来ます」
内情を知っているから、どんどん提案できる!
「宗吾、いい感じだな。波に乗って来たな」
「流、テントの組み立てを手伝ってくれ」
「了解。それで3人用のコテージは誰が使うのか」
「……3人といえば」
「レディファーストだな」
「あぁそれがいいと思う」
皆が待機している場所に戻り事情は説明すると、翠さんが柔和に微笑み拍手をしてくれた。
「宗吾さん、それは
いいですね。まさに『禍を転じて福と為す』ですね。テントで過ごすなんて貴重な経験だ。3人用のコテージは新婚さんに使ってもらうのはどうかな?」
流石、翠さんだ。自然に俺が思っていたことを提案してくれた。
ところが、潤は後ずさって遠慮している。
「え? でも……そんな……オレたちが使うなんて、一番よそ者なのに駄目っすよ」
「ん? よそ者だなんて、とんでもないよ。僕たちは縁があって瑞樹くんと巡り逢い、そして瑞樹くんの大切な弟さんに引き合わせてもらえて幸せに思っているんだ。だから遠慮はいらないよ」
翠さんが滑らかに諭してくれる。
「で……ですが」
「潤くん、何だかこの雰囲気だと……お言葉に甘えた方がいいのかも?」
「そうだよ。潤くん、奥さんを大切にしないとね」
翠さんの言葉は説法だ。
「あ……そうか……女性は菫さんだけだし……じゃあ……本当にオレたちがコテージに宿泊していいんすか」
「もちろん‼」
皆の声が明るく揃う。
「流、僕はせっかくだから、テントに泊まってみたいよ」
「兄さんは絶対そういうと思っていました。俺がとっておきのテントをこしらえますよ」
「楽しみだな」
流と翠さんはテントでOKのようだ。
「丈、俺たちもテントでいよな」
「そうだな、一番狭いテントを希望する。いや密室か」
「はぁ? お前キャラ変わった?」
よしよし、丈さんと洋くんもテントだな。相変わらず熱々だな。
「こもりんと二人でテントか~」
「菅野くん、あんこも一緒ですよ」
「うーん、それはちょっと狭そうだな」
「そんなことないです。抱っこしたり枕にしましょうよ」
「うへぇ~」
菅野くんと小森くんも楽しそうだ。
「宗吾さん、僕たちもテントにしましょう。芽生くんとテントに泊まってみたかったんです」
「瑞樹ぃ~ ごめんな」(君には特別は部屋を用意していたのだが)
「どうして謝るんですか。楽しいじゃないですか」
「パパ、ボク、テントつくるのおてつだいする!」
俺たちもテントで大丈夫だ。
すると、いっくんがトコトコやってきて……
「いっくんねぇ、めーくんといっしょがいいなぁ」
「いっくん! ボクもだよ」
「えへへ、めーくんとねんねしたいなぁ」
「ボクもー!」
潤と菫さんが困ったように顔を見合わせている。
すると瑞樹が優しく提案する。
「じゅーん、そうしてあげてもいいかな? 芽生くんにとって、いっくんは弟みたいに大切な存在なんだ。僕もしっかり見守るよ。だから、いっくんを今晩だけ僕たちに任せてくれるかな?」
「兄さん、本気でいいのか」
「もちろんだよ。ちゃんと約束したじゃないか」
「あ、ありがとう!」
潤も素直に甘えられるようになった。
それは……きっと瑞樹が頼もしくなったからだ。
「よーし! じゃあ早速オレたちの寝床を作るぞ!」
仲間と……
目的を一つにすること。
何かを成し遂げようとすること。
身体から力が湧き上がってくるような感覚が、今は心地良い。
「瑞樹、俺たちのテントを作ってやるからな」
「宗吾さん、あの……僕……案外得意ですよ」
「そうなのか。じゃあ一緒にやろう!」
「はい! 是非!」
瑞樹の笑顔が弾ける。
澄んだ声が明るく意気揚々としている。
君が溌剌としていると、俺の心も踊り出すのさ!
「参ったな……いや先方が間違えているのかもしれないか……」
「じゃあ、僕が確認しましょうか」
可愛い瑞樹は女性受けする王子さまだ。必要以上に人目に付くわけにはいかない!
「いや、俺がしてくるよ。君は皆の所で待っていてくれ。そうだな流の後ろにいろ」(女性から見えないように、隠れていてくれ)
「えっと……そうしますね」
くるりと振り向くと、月影寺men'sが揃って心配そうに俺を見つけていた。
「あー コホン」
わざと咳払いして、もう一度インターホンを押す。
すぐにザワザワと大勢の人の気配をドア越しに感じる。おいおい、一体何人で宿泊してるんだ? 何の集まりだか知らないが、俺たち並の大所帯のようだ。
「あの、すみません。怪しいものじゃありません」
「それは知っています」
「えぇ? 知っている?」
「あ、いえっ、何かご用ですか」
「ちょっと確認したいのですが、このログハウスの予約票を見せていただけませんか」
「えっ……予約票ですか」
「あの、本当に今日の予約ですよね?」
「えぇ、ほらっ」
「しっ、失礼しました」
ヤバイなぁ。本当にダブルブッキングだったのか。しかも相手は女性だけのようだし、俺らはそもそも無料で宿泊予定だったので分が悪い。
「どうした? 宗吾」
流が話し掛けてくれる。
「参ったよ。今日に限ってダブルブッキングだなんて。宿無しになるかも……あぁ、格好悪いな」
気が動転して、不甲斐ないことを言ってしまった。
すると流がスッと真顔になった。
「宗吾、そう気を落とすなよ。ほらっ、ピンチはチャンスだろ! いつもの調子はどうした?」
「あぁ、そうだよな」
そもそもピンチとは、追い詰められた苦しい状態や苦境や窮地のことで、チャンスは物事をするのによい機会や好機のことだ。だから『ピンチはチャンス』とは、追い詰められた苦しい状況の時にこそ、新しいスタートをするのに絶好の機会という意味になる。
俺は今まで仕事もプライベートもこのポリシーで乗り切ってきた。ピンチを好機にするのは自分の心持ち次第だ。ただし独りよがりでは上手くいかない。周囲を頼って知恵や助けを求めるのは、悪いことではないのを知っている。
これは俺たちと月影寺men'sとの人間関係、信頼関係を更に深めるチャンスとなるのかも。
「よし! 流、ちょっと来てくれ」
「了解!」
俺たちはフロントで予約状況を確認した。
「あぁ、やっぱりダブルブッキングだな」
「もっ、申し訳ありません」
「他に空いているコテージはないのか」
「今、お調べします!」
キャンプ場のスタッフも、焦り顔で平謝りだ。
「あ、ありました……でも3人用のコテージが1棟だけです」
「あとは? あと10名の宿泊先はどうする?」
「申し訳ありません……生憎どこも満室です」
いやいや打開策を考えてくれよ。いや違うな。俺が考えればいいのか。このキャンプ場は仕事で関わったので、ログハウス以外の内容も把握している。
「そうだ、ログハウス前のウッドデッキエリアにグランピングエリアをOPEN予定で整備していたんじゃないか」
「あ、はい」
「特別にあのエリアを解放してくれないか」
「ですが……まだあそこは整備途中なので、豪華なテントもシャワールームもありませんが……」
「知っているさ。だが普通のテントならいくつか在庫があるだろ?」
「はい、それならお貸し出来ます」
内情を知っているから、どんどん提案できる!
「宗吾、いい感じだな。波に乗って来たな」
「流、テントの組み立てを手伝ってくれ」
「了解。それで3人用のコテージは誰が使うのか」
「……3人といえば」
「レディファーストだな」
「あぁそれがいいと思う」
皆が待機している場所に戻り事情は説明すると、翠さんが柔和に微笑み拍手をしてくれた。
「宗吾さん、それは
いいですね。まさに『禍を転じて福と為す』ですね。テントで過ごすなんて貴重な経験だ。3人用のコテージは新婚さんに使ってもらうのはどうかな?」
流石、翠さんだ。自然に俺が思っていたことを提案してくれた。
ところが、潤は後ずさって遠慮している。
「え? でも……そんな……オレたちが使うなんて、一番よそ者なのに駄目っすよ」
「ん? よそ者だなんて、とんでもないよ。僕たちは縁があって瑞樹くんと巡り逢い、そして瑞樹くんの大切な弟さんに引き合わせてもらえて幸せに思っているんだ。だから遠慮はいらないよ」
翠さんが滑らかに諭してくれる。
「で……ですが」
「潤くん、何だかこの雰囲気だと……お言葉に甘えた方がいいのかも?」
「そうだよ。潤くん、奥さんを大切にしないとね」
翠さんの言葉は説法だ。
「あ……そうか……女性は菫さんだけだし……じゃあ……本当にオレたちがコテージに宿泊していいんすか」
「もちろん‼」
皆の声が明るく揃う。
「流、僕はせっかくだから、テントに泊まってみたいよ」
「兄さんは絶対そういうと思っていました。俺がとっておきのテントをこしらえますよ」
「楽しみだな」
流と翠さんはテントでOKのようだ。
「丈、俺たちもテントでいよな」
「そうだな、一番狭いテントを希望する。いや密室か」
「はぁ? お前キャラ変わった?」
よしよし、丈さんと洋くんもテントだな。相変わらず熱々だな。
「こもりんと二人でテントか~」
「菅野くん、あんこも一緒ですよ」
「うーん、それはちょっと狭そうだな」
「そんなことないです。抱っこしたり枕にしましょうよ」
「うへぇ~」
菅野くんと小森くんも楽しそうだ。
「宗吾さん、僕たちもテントにしましょう。芽生くんとテントに泊まってみたかったんです」
「瑞樹ぃ~ ごめんな」(君には特別は部屋を用意していたのだが)
「どうして謝るんですか。楽しいじゃないですか」
「パパ、ボク、テントつくるのおてつだいする!」
俺たちもテントで大丈夫だ。
すると、いっくんがトコトコやってきて……
「いっくんねぇ、めーくんといっしょがいいなぁ」
「いっくん! ボクもだよ」
「えへへ、めーくんとねんねしたいなぁ」
「ボクもー!」
潤と菫さんが困ったように顔を見合わせている。
すると瑞樹が優しく提案する。
「じゅーん、そうしてあげてもいいかな? 芽生くんにとって、いっくんは弟みたいに大切な存在なんだ。僕もしっかり見守るよ。だから、いっくんを今晩だけ僕たちに任せてくれるかな?」
「兄さん、本気でいいのか」
「もちろんだよ。ちゃんと約束したじゃないか」
「あ、ありがとう!」
潤も素直に甘えられるようになった。
それは……きっと瑞樹が頼もしくなったからだ。
「よーし! じゃあ早速オレたちの寝床を作るぞ!」
仲間と……
目的を一つにすること。
何かを成し遂げようとすること。
身体から力が湧き上がってくるような感覚が、今は心地良い。
「瑞樹、俺たちのテントを作ってやるからな」
「宗吾さん、あの……僕……案外得意ですよ」
「そうなのか。じゃあ一緒にやろう!」
「はい! 是非!」
瑞樹の笑顔が弾ける。
澄んだ声が明るく意気揚々としている。
君が溌剌としていると、俺の心も踊り出すのさ!
12
お気に入りに追加
832
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる