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小学生編

ゆめの国 21

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『ゆめの国』のメイン『フライリン』は、大人気のアトラクションだ。

  巨大ブランコのような乗り物に一列に座って、世界中の名所や大自然を駆け巡る空の旅を体感出来るそうだ。

 シートベルトを締めると、一気に空の旅に出た!

 まさに空を飛ぶ感覚だ。

「わぁー!」
「すごい! すごいです」
「あぁ、すごいな」

 俺たちは無邪気な歓声をあげていた。

 空を飛ぶことは、いつだって人の憧れさ。

 鳥のように自由に空を飛んでみたいと、 誰もが一度はそう願うだろう。

 すっと体が浮かぶような感覚が心地良い。

 目の前に広がるのは一面の青空で、有名な世界遺産や、大自然の名所上空を飛び回る。息を呑むほど美しい光景に、俺も瑞樹も芽生も始終笑顔だ。

「あっ、さっきのったゴンドラだ!」

 ベネチアの景色が広がり、ゴンドラが見えた。
 
「来年は皆であそこに行くぞ」
「わ~い!」
「楽しみです」
 
 皆、夢を描いている。俺たちだけでなく、一緒に乗っている乗客のひとりひとりがいつかの夢を思い描いている夢で溢れた空間だ。

  アトラクションが終わると、自然と拍手が生まれていた。

 皆、共感して、拍手していた。俺たちも、もちろんしていた。

「瑞樹、どうした?」

 瑞樹を見ると、うるうると涙ぐんでいた。

「すみません。とても感動してしまって……世界って広いんですね。僕はまだ何も知らないです」
「そうだな。君とはこれから色々な国を巡りたい。旅したいよ」
「ますます未来が楽しみになります」

 まだ何も知らない瑞樹を、いろいろな国へ連れて行ってやりたい。
 だが、どんな国に行っても……いつも俺色に染まって欲しい。

 ファンタジックなアトラクションのお陰で、俺の気分も最高にロマンチックになっていた。

「ふぅ~興奮が冷めませんね」
「あぁ、少し休憩しよう。あそこのベンチはどうだ?」
「はい!」

『フライリン』のアトラクション前の広場で休憩することにした。

「あ、お兄ちゃん、お花が咲いているよ」
「本当だ! 何のお花かな?」

 ベンチの前の花壇にはピンクや白、紫など色とりどりの花が咲いていた。

「これは何だ?」
「あ……ペチュニアですね。公園の花壇やプランターなどで見かけることも多い花です。成長が早く丈夫なので初心者にも育てやすいんですよ。可憐で優美な花姿で人気があります」
「流石だな」
「あっ、聞かれていないことまで、すみません」
「何を謝る。そうだ花言葉も教えてくれよ」
「あ、はい……確か……your presence soothes me(あなたと一緒なら心がやわらぐ)です」

 瑞樹はそう言った後、頬をうっすら赤く染めた。

「おい、なんで赤くなる?」
「……なんだか、僕と宗吾さんのことみたいで…」
「‼」

 か、可愛すぎる‼

 今すぐ抱きしめたい。今すぐキスしたい。

 猛烈な欲求に飢えてしまった。

「もう少し向こうへ行こう! 花火が見えるぞ」
「あ、はい。芽生くんおいで」
「うん!」

 俺が瑞樹の手をつなぎ、瑞樹が芽生の手をつなぎ、花壇の脇のスペースに移動した。

 一気に誰もいないプライベートな空間となる。

「あ、花火!」

 ドーン!

 腹に響く音で、花火が打ち上がる。

 皆、一斉に空を見上げる。

 今だ!

 俺の花火は瑞樹へ届けるのさ! (キザだなぁ~)

「宗吾さん、綺麗で……あっ」

 瑞樹の可愛い唇にチュッとキスをした。

 (こんな場所で、まさかするなんて……!)

 そんな表情で、瑞樹が目を見開いた。

 ドーン!

 二発目も、瑞樹の元に。

 ちらっと芽生や周りに気を配るが、皆、空を見上げている。

「そ、宗吾さん……もう、だ……」

 ちゅ、ちゅ……ちゅ……やばい止まらん。

 ドドッドーン

 結局、花火が打ち上がっていた数分間、瑞樹と何度かキスしてしまった。
 
「も、もう……」
「パパ、お兄ちゃん~ 花火きれいだったね。あれ? どうしたの」

 花火が終わると、すぐに芽生が振り向いたので慌てて明後日の方向を向いた。 瑞樹はその場に体育座りをして、いじけてしまった。

「う、うん……そのちょっとお腹空きすぎて……えっと」

 必死に言い訳をしている。ご、ごめんな。俺が節操なかった!

「瑞樹は腹が空きすぎて動けないんだってさ」
「えー! タイヘンだぁ」
「だからパパがワゴンで何か買ってくるよ。 お洒落なレストランじゃなくて悪いが、それでいいか」
「は、はい」
「パパ、いいよ。夜のピクニックみたいでいいね」
「おう! まかせておけ。芽生、瑞樹を頼む」
「りょうかいです。たいちょう!」


 ****

 宗吾さんが行ってしまい、芽生くんと二人きりになった。

「ごめんね、芽生くん」
「お兄ちゃん、ぐあい、わるいの?」
「えっと、花火に興奮して少し休憩したくなったんだ」

(嘘じゃないよな。僕に打ち上がる花火は宗吾さんからの情熱で、キス、キス、キスに持って行かれて……僕は男だから感じると如実に反応してしまうんだ。あぁ、もう困ったな。宗吾さんのキスが好き過ぎる)

 下腹部の高まりを隠すように座り直し、項垂れた。

 早く静まれ……芽生くんに心配かけてしまうだろう。

「お兄ちゃん、はやく良くなるといいなぁ……あっ、いいもの見つけた」

 芽生くんは足下にしゃがみ込んで、何かを差し出してくれた。

「はい! お兄ちゃん!」

 最初は暗くてよく見えなかったが、それはクローバーだった。

「これは、よつばじゃないけど、元気でるよ。おいにちゃんの大好きなものだもん」
「あ……ありがとう!」

   クローバーの花言葉は『幸せな復讐』だけではない。

『愛』そのものだ。
 
 さぁ、芽生くんからの『愛』を受け取ろう!













あとがき(不要な方はスルーです)









****

今日のキス、私は1回のつもりだったのに、脳内で宗吾さんが爆走してしまいました。
どうかお許しくださいね。これはBLファンタジーですので(..;)
そろそろゆめの国も終わりです。

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