763 / 1,730
小学生編
見守って 23
しおりを挟む
汗だくの憲吾さんと美智さんが、ガシッと手を取り合っているのを見て、一気に脱力した。
「ふぅ……」
何が起きたのか分からない程、2時間があっという間に過ぎていた。とにかく……美智さんはお腹が抱えて苦しんでいて、僕は励ますことしか出来なかった。
ふらり……と、一瞬よろけると、背後から僕をしっかり支えてくれる逞しい人がいた。
「おっと危ない!」
「あ、宗吾さん?」
「そ、俺」
「な……なんで」
振り返れば宗吾さんも汗だくで、額に玉のような汗を浮かべている。まるで憲吾さんと一緒に走って来たみたいだ。
あっ、もしかしたら?
「その通りだよ。兄さんを空港まで迎えに行って、車でビューンと連れてきた。車に乗っている間以外は、兄さんがズンズン走るもんだから、この通り汗だくだ。あちぃ~」
「くすっ、会社は大丈夫でしたか」
「あぁ、今日はなんとかなるから思い切って午後休を取って来た。だが瑞樹はこれから仕事だろう? 車で送るよ」
「助かります。わ! もうこんな時間だ」
午後は会議が入っているので、そろそろ行かないと。かなり後ろ髪を引かれる思いだが、仕方が無い。
「憲吾さん、痛いっ……」
「だ、大丈夫か! 美智、俺どうしたらいい?」
憲吾さんの顔……見たこともない程、必死だ。
「うううう、痛い、痛い!」
「美智!」
しっかり手を握り合う光景に、安堵した。
僕が助言しなくても大丈夫。
バトンタッチです。後は頑張って下さいと心の中で唱え、一礼した。
「兄さん、瑞樹が帰る……って」
「あの、宗吾さん、大丈夫です。今は、それどころではないので」
「瑞樹、本当にありがとう。兄に変わって礼を言わせてくれ。今日の君、頼もしかったぞ」
「いえ、こちらこそ、美智……お姉さん……の役に立てて嬉しかったです」
まだ言うのが恥ずかしかったが、『お姉さん』と呼べたことを、宗吾さんに伝えたかった。
「そうか! 良かったな」
宗吾さんは僕の言葉に、破顔した。
この明るく裏表ない笑顔が好きだ。
この笑顔を見ると、幸せになる。
「瑞樹、ありがとう。仕事に行くのね」
「お母さん、具合はどうですか」
「そうねぇ……流石に疲れたので、一度家に帰って休もうかしら」
「あ、じゃあ宗吾さんはお母さんを送って下さい」
「ん? 瑞樹は?」
「僕は電車で戻ります」
「何言ってんだ? 瑞樹も母さんも二人とも乗ればいい」
「あ……はい」
「遠慮深い瑞樹も好きだが、俺がもっと一緒にいたいんだ!」
宗吾さんに髪をくしゃっとかき混ぜられる。
この癖が好きだ、僕の心を解してくれるから。
「兄さん、姉さん。俺たち戻るよ。後は二人で頑張ってくれ!」
宗吾さんが大声で言うと、ちょうど陣痛と陣痛の狭間で一息ついた憲吾さんと美智さんが、顔を向けてくれた。
「ありがとう。助かったよ。母さん、瑞樹くん、宗吾……」
「ありがとうございます、お母さん、瑞樹くん、宗吾さん……みんな……お姉ちゃん頑張るね‼︎」
美智さんの小さなガッツポーズ!
「応援しています。お腹の赤ちゃんに会えるの楽しみしています」
「うん。次に会うのはママになった私よ。頑張るわ!」
出産に臨む女性は逞しい。もう4時間以上、絶え間ない痛みに耐えているのに、ここでその笑顔を浮かべられるなんて、すごい!
「お姉さん、頑張って!」
僕も伝える。
美智さんへのエールを!
****
「美智、頑張ろう」
「憲吾さん、ありがとう。あなたが出張を繰り上げて来てくれるとは思わなかったわ」
「今度は、どうしても一緒にいたかった」
「私……幸せ……憲吾さん……大好き」
妻からの大好きという言葉は、私を奮い立たせる。それは私がずっと欲しかった言葉だ。
お産は命がけだ。
なのにどうして最初の妊娠の時、こんな風に寄り添ってやれなかったのか。
男は外で働いて稼ぐ、外で闘っているのだから充分で、私は偉いだろう。
そんな訳の分からない固定観念に縛られて……寂しい想いさせたな、美智。
「美智、一緒に親になろう! 親になって学ぶことは多い……一緒に頑張ろう」
「ん……痛い、痛いけど、産むわ」
産まないと終わらない。
産まないと始まらない。
人間の出産という営みは、古来から変わらない。なんとシンプルなのだ。
しかしその後……定期的に子宮口をチェックしてもらうが、なかなか開いてくれない。陣痛促進剤も投与6時間後にマックスになったというのに。
流石に美智も私も疲労困憊で、ヘトヘトだ。
「どうして、出てきてくれないの? 私の赤ちゃん……ぐすっ」
「滝沢さんしっかりして下さいね。あまり頑張り過ぎないで、リラックスして身体の緊張を解いて下さい」
「無理……こんなに痛いのに……っ」
時計の針を見ると、いつの間にか夜の7時だった。俺も美智も促進剤を使えば数時間で産まれると勝手に思っていた。甘かったな。
「痛い、痛い……っ」
叫ぶ美智の手を握り、腰をさすって必死に励ました!
どうか、どうか無事に産まれて来てくれ!
****
「お兄ちゃん、赤ちゃんまだかなぁ?」
「そうだね、まだ連絡ないね」
夕食を食べ終わり、時計を見るともう夜の8時だ。あれから7時間も経っているのに、まだ赤ちゃんに会えないなんて、心配になって来た。
「お兄ちゃんもしんぱい?」
「うん」
「じゃあ、こっち来て」
「ん?」
芽生くんが僕をベランダに連れ出してくれた。
「お祈りしよう、お空のおほしさまに」
「あ……そうだね!」
最近……芽生くんに励まされる事が多くなったな。
手を合わせて空を見上げた。
春の優しい夜空を。
夏樹……どこにいるの? お兄ちゃんを見守って。
赤ちゃん……無事に産まれて来るよね?
お姉ちゃんが待っているんだ。ママになりたいって……
するとキラキラと天上の星が瞬く。
大丈夫だよ、ほら、もうすぐ!
「おーい、今やっと、分娩室に入ったって! もうすぐだぞ」
リビングから、宗吾さんの嬉しそうな声が届く!
「もう子宮口全開だから、もうすぐだ! 俺たちも行こう!」
「ふぅ……」
何が起きたのか分からない程、2時間があっという間に過ぎていた。とにかく……美智さんはお腹が抱えて苦しんでいて、僕は励ますことしか出来なかった。
ふらり……と、一瞬よろけると、背後から僕をしっかり支えてくれる逞しい人がいた。
「おっと危ない!」
「あ、宗吾さん?」
「そ、俺」
「な……なんで」
振り返れば宗吾さんも汗だくで、額に玉のような汗を浮かべている。まるで憲吾さんと一緒に走って来たみたいだ。
あっ、もしかしたら?
「その通りだよ。兄さんを空港まで迎えに行って、車でビューンと連れてきた。車に乗っている間以外は、兄さんがズンズン走るもんだから、この通り汗だくだ。あちぃ~」
「くすっ、会社は大丈夫でしたか」
「あぁ、今日はなんとかなるから思い切って午後休を取って来た。だが瑞樹はこれから仕事だろう? 車で送るよ」
「助かります。わ! もうこんな時間だ」
午後は会議が入っているので、そろそろ行かないと。かなり後ろ髪を引かれる思いだが、仕方が無い。
「憲吾さん、痛いっ……」
「だ、大丈夫か! 美智、俺どうしたらいい?」
憲吾さんの顔……見たこともない程、必死だ。
「うううう、痛い、痛い!」
「美智!」
しっかり手を握り合う光景に、安堵した。
僕が助言しなくても大丈夫。
バトンタッチです。後は頑張って下さいと心の中で唱え、一礼した。
「兄さん、瑞樹が帰る……って」
「あの、宗吾さん、大丈夫です。今は、それどころではないので」
「瑞樹、本当にありがとう。兄に変わって礼を言わせてくれ。今日の君、頼もしかったぞ」
「いえ、こちらこそ、美智……お姉さん……の役に立てて嬉しかったです」
まだ言うのが恥ずかしかったが、『お姉さん』と呼べたことを、宗吾さんに伝えたかった。
「そうか! 良かったな」
宗吾さんは僕の言葉に、破顔した。
この明るく裏表ない笑顔が好きだ。
この笑顔を見ると、幸せになる。
「瑞樹、ありがとう。仕事に行くのね」
「お母さん、具合はどうですか」
「そうねぇ……流石に疲れたので、一度家に帰って休もうかしら」
「あ、じゃあ宗吾さんはお母さんを送って下さい」
「ん? 瑞樹は?」
「僕は電車で戻ります」
「何言ってんだ? 瑞樹も母さんも二人とも乗ればいい」
「あ……はい」
「遠慮深い瑞樹も好きだが、俺がもっと一緒にいたいんだ!」
宗吾さんに髪をくしゃっとかき混ぜられる。
この癖が好きだ、僕の心を解してくれるから。
「兄さん、姉さん。俺たち戻るよ。後は二人で頑張ってくれ!」
宗吾さんが大声で言うと、ちょうど陣痛と陣痛の狭間で一息ついた憲吾さんと美智さんが、顔を向けてくれた。
「ありがとう。助かったよ。母さん、瑞樹くん、宗吾……」
「ありがとうございます、お母さん、瑞樹くん、宗吾さん……みんな……お姉ちゃん頑張るね‼︎」
美智さんの小さなガッツポーズ!
「応援しています。お腹の赤ちゃんに会えるの楽しみしています」
「うん。次に会うのはママになった私よ。頑張るわ!」
出産に臨む女性は逞しい。もう4時間以上、絶え間ない痛みに耐えているのに、ここでその笑顔を浮かべられるなんて、すごい!
「お姉さん、頑張って!」
僕も伝える。
美智さんへのエールを!
****
「美智、頑張ろう」
「憲吾さん、ありがとう。あなたが出張を繰り上げて来てくれるとは思わなかったわ」
「今度は、どうしても一緒にいたかった」
「私……幸せ……憲吾さん……大好き」
妻からの大好きという言葉は、私を奮い立たせる。それは私がずっと欲しかった言葉だ。
お産は命がけだ。
なのにどうして最初の妊娠の時、こんな風に寄り添ってやれなかったのか。
男は外で働いて稼ぐ、外で闘っているのだから充分で、私は偉いだろう。
そんな訳の分からない固定観念に縛られて……寂しい想いさせたな、美智。
「美智、一緒に親になろう! 親になって学ぶことは多い……一緒に頑張ろう」
「ん……痛い、痛いけど、産むわ」
産まないと終わらない。
産まないと始まらない。
人間の出産という営みは、古来から変わらない。なんとシンプルなのだ。
しかしその後……定期的に子宮口をチェックしてもらうが、なかなか開いてくれない。陣痛促進剤も投与6時間後にマックスになったというのに。
流石に美智も私も疲労困憊で、ヘトヘトだ。
「どうして、出てきてくれないの? 私の赤ちゃん……ぐすっ」
「滝沢さんしっかりして下さいね。あまり頑張り過ぎないで、リラックスして身体の緊張を解いて下さい」
「無理……こんなに痛いのに……っ」
時計の針を見ると、いつの間にか夜の7時だった。俺も美智も促進剤を使えば数時間で産まれると勝手に思っていた。甘かったな。
「痛い、痛い……っ」
叫ぶ美智の手を握り、腰をさすって必死に励ました!
どうか、どうか無事に産まれて来てくれ!
****
「お兄ちゃん、赤ちゃんまだかなぁ?」
「そうだね、まだ連絡ないね」
夕食を食べ終わり、時計を見るともう夜の8時だ。あれから7時間も経っているのに、まだ赤ちゃんに会えないなんて、心配になって来た。
「お兄ちゃんもしんぱい?」
「うん」
「じゃあ、こっち来て」
「ん?」
芽生くんが僕をベランダに連れ出してくれた。
「お祈りしよう、お空のおほしさまに」
「あ……そうだね!」
最近……芽生くんに励まされる事が多くなったな。
手を合わせて空を見上げた。
春の優しい夜空を。
夏樹……どこにいるの? お兄ちゃんを見守って。
赤ちゃん……無事に産まれて来るよね?
お姉ちゃんが待っているんだ。ママになりたいって……
するとキラキラと天上の星が瞬く。
大丈夫だよ、ほら、もうすぐ!
「おーい、今やっと、分娩室に入ったって! もうすぐだぞ」
リビングから、宗吾さんの嬉しそうな声が届く!
「もう子宮口全開だから、もうすぐだ! 俺たちも行こう!」
11
お気に入りに追加
832
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる