720 / 1,743
小学生編
【芽生小学生編】スモールステップ 1
しおりを挟む
こんにちは。志生帆海です。
今日は最初にご挨拶をさせてくださいね。
『幸せな復讐』を終え、物語は一旦完結させました。
その後いろいろな場所から、読者さまからの『続編リクエスト』の声が届き、嬉しかったです。本当にありがとうございます。
『まだまだこの3人を見守りたい』
『小学生になった芽生を見たい』
そんな……熱いご要望を受けて、本日から【芽生小学生編】として再スタートします。
私の書きたい気持ちが続く間は、いつものように出来たら毎日更新したいです。どうぞよろしくお願いします。完結マーク、本日外させていただきます。
*****
「宗吾さん、宗吾さん、そろそろ起きてください」
「パパーってば、おねぼうだねぇ」
「えっ!」
目を開けると、もう洋服に着替えた二人が笑っていた。
「おっと、俺だけ寝坊?」
「いえ、僕たちが早起きしたんですよ」
芽生と顔を見合わせて笑う瑞樹は、すっきりとした表情を浮かべていた。
昨日抱き潰す程抱いてしまったので、朝起きれないのではと心配したが、無事のようだな。
昨夜……最後に感極まって泣いてしまった瑞樹を胸に抱いて眠った。
可愛かった。愛おしい存在だと改めて思ったよ。
「ところで、瑞樹はどうしてそんなに元気なんだ?」
「え? それは……昨日お昼寝をし過ぎたので、その……無事でした」
無事って? つまり抱き潰されなかったってことか。
「それより宗吾さん遅刻しちゃいますよ、また!」
「ヤバイ!」
そうか、今日は瑞樹は休みだったな。俺だけ会社か。ううう、俺も一緒に休みたい。そんな訳にはいかないが、純粋にいいなと思った。
「はい、靴下ですよ」
きちんと畳まれた靴下を渡されると、我が家に瑞樹が帰ってきたのだなと実感した。
「サンキュ」
つい、いつもの調子でおはようのキスが欲しくなり瑞樹を引き寄せると、芽生と目があった。そうか……もう芽生も小学生だ。子供の前でキスはまずいのか。そろそろ気をつけないとな。
瑞樹も困った顔で、首をふるふると横に振っていた。
うーむ、今朝はお預けか。いや、後でもらう! (俺は諦めない男だ)
顔を洗って食卓に向かうと、トーストやコーヒーなどが並んでいた。
「瑞樹が用意してくれたのか」
「いつも宗吾さんがしてくれるので……僕はあまり凝ったものは出来ませんが」
こんな何気ない会話にも、君が家にいてくれる幸せを感じるよ。
「宗吾さん、花が咲いていました」
「ん?」
「窓辺のカモミールに、可憐な花が咲いていて……蕾が朝になって開いているだけでも幸せになりますね」
「そうだな、どれ? あれか。へぇ……可愛い花だな」
窓の向こうの向こうに、白い花びらの可愛い花が春風に揺れていた。
芽生と二人の時はこんな会話をする余裕なんて皆無だった。毎日は昨日みたいな調子だった。特に最初は幼稚園のバス停に親子でボロボロの姿で駆け込む日々だったぞ。俺は皺くちゃなワイシャツに、緩んだネクタイ。芽生の幼稚園の制服にもシミがついたりして、今、思い出すとかなり悲惨だった。
そこから母に特訓を受け、なんとかなるようになったが、俺には情緒がなくて……結局、いつもバタバタだった。
「ごちそうさん。今日は何をして過ごす予定?」
「そうですね。お天気がいいので公園に行って、あと小学校入学の準備をします」
「もうあと4日だもんな。持ち物一覧を再チェックしておいてもらえるか」
「はい。やっておきますので、お仕事頑張ってきてくださいね」
ううう、可愛い。
瑞樹は本当に優しくて可憐で……いい男だ!
「じゃあ行ってくるよ」
「パパーお見送りする」
「おう!」
玄関まで、二人揃って見送りに来てくれる。
ううう、俺も残りたい。
いや、ここは父親らしくビシッと行くべきだ。
情けない葛藤で揺れるので、せめて瑞樹から栄養をもらおう。
「おっと、忘れ物だ。芽生、ソファからパパのスマホを持ってきてくれるか」
「はーい!」
芽生がパタパタとリビングに向かった隙に、瑞樹を一度ギュっと抱きしめ、キスを4回した。
「お・は・よ・う!」
「あ……も、もう」
瑞樹は目元染めて、口に手をあてて恥ずかしがる。
不意打ちのキスは恥ずかしいか。俺は美味しかったぞ!
「パパー、はい! もう忘れものはない?」
「大丈夫だよ」
「ううん、あるよ! 」
芽生の瞳がキラキラ輝く。
「え? もうないぞ?」
「ううん、たいせつなことだよ。いつもみたいに、おにいちゃんに行ってきますの、チュウをしないの?」
「お……お前……知って」
「えへへ、ボクもパパにしたいなぁ。おにいちゃんもいっしょにしようよ」
「う……うん」
玄関でしゃがむと、芽生が左の頬に瑞樹が右の頬にチュッとしてくれた。
ヤバイ、俺……しあわせだ。
「パパだけ会社だけど、ファイトだよー!」
芽生が応援してくれるので、ガッツポーズで応えた。
「宗悟さん、いってらっしゃい!」
「あぁ、二人に会いたいから、早く帰るよ」
今日は絶対に早く帰ろう!
そう決めた!
****
「お兄ちゃん、お手伝いするよ」
「ありがとう」
洗濯物を干していると、芽生くんが近づいて来た。
「ふたりですると、はんぶんのじかんでおわるね」
「わ、えらいね。よくわかったね。だからお手伝いって助かるんだよ」
「そうしたらボクと遊べる時間もふえるよね?」
「うん、そうだよ。今日は何して遊ぼうか」
「あのね……お願いがあるの」
「なんだろう?」
芽生くんのお願いは、小学校までひとりで行く練習をしてみたいということだった。
4月6日が小学校の入学式だから、あと4日で、いよいよ芽生くんは小学生になるのだ。出会った時はまだ4歳と小さく、今より出来ることもずっと少なくて、言葉もたどたどしかったのに、何もかも、しっかりしてき。でも同時にまだたった6歳なのだ。新しい世界に羽ばたくといっても、まだまだ親のケアが必要な年齢だ。
というわけで、朝の掃除を終えてから僕たちは散歩がてら、これから通う小学校までのルートを確認することにした。そうだ、ついでに交差点など危ない場所を確認しておこう。
「お兄ちゃん、そろそろ行く?」
「ちょっと待ってね。テレビを消さないと」
リモコンを持ってテレビを消そうとした時、テロップに嫌な文字が並んだ。
『速報です。小学生の登校の列に乗用車が突っ込んで、二名の男子児童が死亡……』
朝からとても悲しいニュースに、背筋がゾクッとした。なんの非がなくても巻き込まれることがあるのが現実なのだ。
「お兄ちゃん? どうしたの?」
「あぁ……ごめんね」
「あのね……お兄ちゃん、やっぱりさいしょは手をつないでいっしょに行ってくれる? その次は後をあるいて、それで……ご、ごめんね。やっぱりちょっとこわくなっちゃった」
「うん、そうしよう! 僕もそうしてほしい」
芽生くんの成長を応援するのが僕の役目なのに、駄目だな。
でも……最初は手を繋いで一緒にと言ってもらえて、嬉しかった。
人生は何がおこるか分からない。それをイヤというほど痛感している僕だけれども、だからといって怖がって何もしないわけにはいかない。それでは前にも後にも進めない……かつての僕になってしまう。
芽生くんは、しっかり明るい未来に向かって歩いて欲しい。
芽生くんだって、いきなりひとりで公道を歩くのは、怖い。でも、いざ小学校に入学したらひとりで行くのだから、ここは僕が背中を押してあげないと。
「さぁ、行こう」
「お兄ちゃん、最初はいっしょだよ」
「うん、ありがとう」
僕と芽生くんはギュッと手をつないで、歩き出した。
これは一歩、一歩、輝く未来に向かう道だ。
芽生くんの成長に、僕も心を寄せていこう。
ずっと乗り越えられなかったものも、芽生くんと一緒に。
スモールステップ。
小さな達成感を積んでいこう。
今日は最初にご挨拶をさせてくださいね。
『幸せな復讐』を終え、物語は一旦完結させました。
その後いろいろな場所から、読者さまからの『続編リクエスト』の声が届き、嬉しかったです。本当にありがとうございます。
『まだまだこの3人を見守りたい』
『小学生になった芽生を見たい』
そんな……熱いご要望を受けて、本日から【芽生小学生編】として再スタートします。
私の書きたい気持ちが続く間は、いつものように出来たら毎日更新したいです。どうぞよろしくお願いします。完結マーク、本日外させていただきます。
*****
「宗吾さん、宗吾さん、そろそろ起きてください」
「パパーってば、おねぼうだねぇ」
「えっ!」
目を開けると、もう洋服に着替えた二人が笑っていた。
「おっと、俺だけ寝坊?」
「いえ、僕たちが早起きしたんですよ」
芽生と顔を見合わせて笑う瑞樹は、すっきりとした表情を浮かべていた。
昨日抱き潰す程抱いてしまったので、朝起きれないのではと心配したが、無事のようだな。
昨夜……最後に感極まって泣いてしまった瑞樹を胸に抱いて眠った。
可愛かった。愛おしい存在だと改めて思ったよ。
「ところで、瑞樹はどうしてそんなに元気なんだ?」
「え? それは……昨日お昼寝をし過ぎたので、その……無事でした」
無事って? つまり抱き潰されなかったってことか。
「それより宗吾さん遅刻しちゃいますよ、また!」
「ヤバイ!」
そうか、今日は瑞樹は休みだったな。俺だけ会社か。ううう、俺も一緒に休みたい。そんな訳にはいかないが、純粋にいいなと思った。
「はい、靴下ですよ」
きちんと畳まれた靴下を渡されると、我が家に瑞樹が帰ってきたのだなと実感した。
「サンキュ」
つい、いつもの調子でおはようのキスが欲しくなり瑞樹を引き寄せると、芽生と目があった。そうか……もう芽生も小学生だ。子供の前でキスはまずいのか。そろそろ気をつけないとな。
瑞樹も困った顔で、首をふるふると横に振っていた。
うーむ、今朝はお預けか。いや、後でもらう! (俺は諦めない男だ)
顔を洗って食卓に向かうと、トーストやコーヒーなどが並んでいた。
「瑞樹が用意してくれたのか」
「いつも宗吾さんがしてくれるので……僕はあまり凝ったものは出来ませんが」
こんな何気ない会話にも、君が家にいてくれる幸せを感じるよ。
「宗吾さん、花が咲いていました」
「ん?」
「窓辺のカモミールに、可憐な花が咲いていて……蕾が朝になって開いているだけでも幸せになりますね」
「そうだな、どれ? あれか。へぇ……可愛い花だな」
窓の向こうの向こうに、白い花びらの可愛い花が春風に揺れていた。
芽生と二人の時はこんな会話をする余裕なんて皆無だった。毎日は昨日みたいな調子だった。特に最初は幼稚園のバス停に親子でボロボロの姿で駆け込む日々だったぞ。俺は皺くちゃなワイシャツに、緩んだネクタイ。芽生の幼稚園の制服にもシミがついたりして、今、思い出すとかなり悲惨だった。
そこから母に特訓を受け、なんとかなるようになったが、俺には情緒がなくて……結局、いつもバタバタだった。
「ごちそうさん。今日は何をして過ごす予定?」
「そうですね。お天気がいいので公園に行って、あと小学校入学の準備をします」
「もうあと4日だもんな。持ち物一覧を再チェックしておいてもらえるか」
「はい。やっておきますので、お仕事頑張ってきてくださいね」
ううう、可愛い。
瑞樹は本当に優しくて可憐で……いい男だ!
「じゃあ行ってくるよ」
「パパーお見送りする」
「おう!」
玄関まで、二人揃って見送りに来てくれる。
ううう、俺も残りたい。
いや、ここは父親らしくビシッと行くべきだ。
情けない葛藤で揺れるので、せめて瑞樹から栄養をもらおう。
「おっと、忘れ物だ。芽生、ソファからパパのスマホを持ってきてくれるか」
「はーい!」
芽生がパタパタとリビングに向かった隙に、瑞樹を一度ギュっと抱きしめ、キスを4回した。
「お・は・よ・う!」
「あ……も、もう」
瑞樹は目元染めて、口に手をあてて恥ずかしがる。
不意打ちのキスは恥ずかしいか。俺は美味しかったぞ!
「パパー、はい! もう忘れものはない?」
「大丈夫だよ」
「ううん、あるよ! 」
芽生の瞳がキラキラ輝く。
「え? もうないぞ?」
「ううん、たいせつなことだよ。いつもみたいに、おにいちゃんに行ってきますの、チュウをしないの?」
「お……お前……知って」
「えへへ、ボクもパパにしたいなぁ。おにいちゃんもいっしょにしようよ」
「う……うん」
玄関でしゃがむと、芽生が左の頬に瑞樹が右の頬にチュッとしてくれた。
ヤバイ、俺……しあわせだ。
「パパだけ会社だけど、ファイトだよー!」
芽生が応援してくれるので、ガッツポーズで応えた。
「宗悟さん、いってらっしゃい!」
「あぁ、二人に会いたいから、早く帰るよ」
今日は絶対に早く帰ろう!
そう決めた!
****
「お兄ちゃん、お手伝いするよ」
「ありがとう」
洗濯物を干していると、芽生くんが近づいて来た。
「ふたりですると、はんぶんのじかんでおわるね」
「わ、えらいね。よくわかったね。だからお手伝いって助かるんだよ」
「そうしたらボクと遊べる時間もふえるよね?」
「うん、そうだよ。今日は何して遊ぼうか」
「あのね……お願いがあるの」
「なんだろう?」
芽生くんのお願いは、小学校までひとりで行く練習をしてみたいということだった。
4月6日が小学校の入学式だから、あと4日で、いよいよ芽生くんは小学生になるのだ。出会った時はまだ4歳と小さく、今より出来ることもずっと少なくて、言葉もたどたどしかったのに、何もかも、しっかりしてき。でも同時にまだたった6歳なのだ。新しい世界に羽ばたくといっても、まだまだ親のケアが必要な年齢だ。
というわけで、朝の掃除を終えてから僕たちは散歩がてら、これから通う小学校までのルートを確認することにした。そうだ、ついでに交差点など危ない場所を確認しておこう。
「お兄ちゃん、そろそろ行く?」
「ちょっと待ってね。テレビを消さないと」
リモコンを持ってテレビを消そうとした時、テロップに嫌な文字が並んだ。
『速報です。小学生の登校の列に乗用車が突っ込んで、二名の男子児童が死亡……』
朝からとても悲しいニュースに、背筋がゾクッとした。なんの非がなくても巻き込まれることがあるのが現実なのだ。
「お兄ちゃん? どうしたの?」
「あぁ……ごめんね」
「あのね……お兄ちゃん、やっぱりさいしょは手をつないでいっしょに行ってくれる? その次は後をあるいて、それで……ご、ごめんね。やっぱりちょっとこわくなっちゃった」
「うん、そうしよう! 僕もそうしてほしい」
芽生くんの成長を応援するのが僕の役目なのに、駄目だな。
でも……最初は手を繋いで一緒にと言ってもらえて、嬉しかった。
人生は何がおこるか分からない。それをイヤというほど痛感している僕だけれども、だからといって怖がって何もしないわけにはいかない。それでは前にも後にも進めない……かつての僕になってしまう。
芽生くんは、しっかり明るい未来に向かって歩いて欲しい。
芽生くんだって、いきなりひとりで公道を歩くのは、怖い。でも、いざ小学校に入学したらひとりで行くのだから、ここは僕が背中を押してあげないと。
「さぁ、行こう」
「お兄ちゃん、最初はいっしょだよ」
「うん、ありがとう」
僕と芽生くんはギュッと手をつないで、歩き出した。
これは一歩、一歩、輝く未来に向かう道だ。
芽生くんの成長に、僕も心を寄せていこう。
ずっと乗り越えられなかったものも、芽生くんと一緒に。
スモールステップ。
小さな達成感を積んでいこう。
11
お気に入りに追加
834
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる