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成就編
白銀の世界に羽ばたこう 9
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「着いたぞ」
「わーい」
「芽生くん、ゆっくり降りてね。それから駐車場では走らないこと」
「うん!」
宗吾さんと海だスキーだと張り合っていたら、あっという間に俺が勤める『軽井沢イングリッシュガーデン』に到着した。
あぁ、賑やかだった。久しぶりに笑ったし、何より瑞樹のあんな笑い方、初めて聞いたような気がする。それが嬉しくて、自然とまた頬が緩む。
冬期休暇中なので、人っ子ひとりいない施設だが、その分、のびのびと貸し切りで見られるぞ。
「じゃあ、ここで待っていてくれ。オーナーを呼んでくるから」
「うん……あっ、潤。その……」
「分かっているって。兄さんを困らすような説明はしないよ」
初対面の人に『兄さんの恋人は同性です』などと言いふらす馬鹿はしないから、安心しろよ。兄さんはオレが一番に守りたい大切な存在だから。
「オーナー、あの、兄が到着しました。挨拶をしたいと言っているのですが」
「おぉ、私もぜひしたいよ。潤のお兄さんなら、きっと風来坊みたいな容貌だろうな」
風来坊? いやいや……白馬に跨がった王子様のような人が兄です。とはオレのキャラからは口が裂けても言えなかった。
オーナーと一緒に入場門に戻ると、芽生くんは瑞樹としゃがんで、木の枝で地べたに残った雪に落書きをしていた。宗吾さんは目を輝かせ、その様子を写真に収めている。
ほのぼのとした光景だな。
オーナーは何を勘違いしたのか、宗吾さんの方へまっすぐ歩いて「君が潤のお兄さんですかな?」と声を掛けたので、宗吾さんは目を丸くしていた。
「はじめまして。あの……俺って、潤に似ています?」
「雰囲気がね、風来坊っぽいからね、君も」
「参ったな。あんなに張り合ってきたのに、似ているだなんて……、あぁ俺は違いますよ。潤の兄の友人です! 今日はありがとうございます」
宗吾さんが明るい笑顔で、躊躇わずに『友人だ』と言い切るのが爽快だった。
本当のことを言えなくとも堂々としているのが、気持ちいい人だ。やっぱり兄さんは見る目があるようだ。こういう対応の一つ一つに悔しいが、兄さんを任せられるのは、この人しかいないと思う。
「そうだったのか。あ、じゃあ……あちらの青年がお兄さんかな。ん? あのお子さんは?」
「えぇ、隣りにいるのは俺の息子です。葉山くんとは家族で仲良くしてもらっています」
「なるほど」
「兄さん」
「あっ、ごめん。夢中になっていた」
へぇ、兄さんでもこんな風に没頭することあるのだ。いつも周りに気を遣い、自分のことなんて投げ打ってでも駆けつけるような人だったのに。今は芽生くんと雪にお絵かきに夢中になっていた。
今まで知らなかった一面。いや兄さんがようやく出せるようになった一面を知ることが出来て嬉しいよ。
「はじめまして。葉山瑞樹と申します。僕が潤の兄です。弟が日頃からお世話になっています」
「葉山瑞樹さん……? あぁ、そういえば、ガーデニング雑誌でお名前を見かけたような」
「あ、恐縮です。僕は生花デザイナーをしております」
「やはり、そうか! 君の『すずらん畑のウェディングガーデン』という結婚式の装飾、とても良かったよ」
やっぱり、すごい人なんだ……兄さんって。オーナーも、知っているなんて。
「ありがとうございます……花嫁さんの希望に寄り添っていたら偶然生まれた作品です。あのように大々的に取り上げていただき恐縮しております」
「コンクールで賞ももらったからね。そうかそうか。潤、気づかなかったが、お前も『葉山』だったな」
「そうですよ。あの、兄は草花が大好きなんです、中を見せても」
「もちろんだよ。今日は貸し切りだ。ゆっくりしていきないさい。坊やもね」
オーナーは芽生くんの頭を撫でて、事務所に戻って行った。一方……瑞樹は少し浮かない顔をしていた。
「ふぅ……びっくりした。参ったな……まさか僕を知っていたなんて」
「俺もさ」
兄さんは目立つことが好きではないので、話をそっとそらしてやる。それにオレも目立たせたくない。
兄は野に咲く花のように可憐な人で、澄んだ水を受けてこそ、綺麗に咲くのだ。
「さぁ、もうオレたちだけだから安心して。行こう」
「潤……ありがとう。いろいろと……」
「よせよ。照れる」
「潤のそういう所、広樹兄さんにそっくりだな」
「えー、兄貴? やだね! さっきは俺は宗吾さんに似てるって言われたぞ」
「あはっ、さっきは対抗意識を燃やしていたのに?」
「あー、まぁ、友好条約を締結するよ。楽しい旅行にしたいしな」
****
潤の案内で、閉館中のイングリッシュガーデンに入れてもらった。
ここは広大な敷地に、設計・石工、ガーデナーまで、英国人の専門家が中心となり創られた由緒正しきガーデンだ。
あぁ……胸が高鳴る。いつかは僕も英国に行ってみたいと思うので、潤の仕事場には純粋な興味もあった。
お気に入りの小説に幾度となく出てくる英国式庭園は、花の優しい色が溢れ、花の甘い香りが漂い、蜂や蝶が飛び交い、鳥が囀る……癒やしの空間だろうと、いつも想像を膨らませていた。
案内板を見ると……英国から持ち込んだ草花に、日本の花もふんだんに取り入れた造園デザインになっていたので、オンシーズンには圧巻だろうと次の季節への期待が膨らんだ。
今は来月のガーデン開きに合わせ、クロッカスやミニアイリス、スノードロップなどを土に植えて、春を待っている状態のようだ。
「兄さん、ここがオレの担当エリアなんだ」
作業服姿の潤が、鼻の頭を擦りながら、誇らしげに言う様子にハッとした。
本当にいい顔をするようになったな。函館にいた頃とは、もう別人だ。
土まみれの作業服、花を愛すために、短く切りそろえた爪。短髪もよく似合っている。潤……精悍になったな。カッコイイよ。
「とても……いい土壌だ。きっと綺麗な花が咲くよ。雪解けのガーデンが待ち遠しいね」
「そうかな。兄さんのお墨付き、嬉しいぜ!」
来月には春が、少しずつ近づいてくる。
大沼の家で過ごした頃、早起きして家の前の野原の新雪を踏みしめた。3月下旬にもなると、雪の中から小さな花芽が頭を覗かせる様子に、ワクワクしていたことを思い出した。
厳しい寒さに耐えた花の芽は、まだ厳しい寒さの残る北国に希望を運んでくれる春の使者のようだった。
耐えてこそ、美しく咲く花が好きだ。
「瑞樹、気に入ったみたいだな」
「宗吾さん、また来ましょう! 今度は花が咲く季節に」
「おう! いつでも連れてきてやる、何度でも」
「お兄ちゃん、これみて。お花さんのあたまだよ」
「くすっ、そうだね」
「ゆきのぼうしをかぶってカワイイ!」
芽生くんの目線まで下りると、冬のガーデンもワンダーランドだ。
僕も芽生くんの横に腰を落として、じっと眺めた。
「芽生くん……」
芽生えて、生きる……君の名前はとても素敵だ!
「わーい」
「芽生くん、ゆっくり降りてね。それから駐車場では走らないこと」
「うん!」
宗吾さんと海だスキーだと張り合っていたら、あっという間に俺が勤める『軽井沢イングリッシュガーデン』に到着した。
あぁ、賑やかだった。久しぶりに笑ったし、何より瑞樹のあんな笑い方、初めて聞いたような気がする。それが嬉しくて、自然とまた頬が緩む。
冬期休暇中なので、人っ子ひとりいない施設だが、その分、のびのびと貸し切りで見られるぞ。
「じゃあ、ここで待っていてくれ。オーナーを呼んでくるから」
「うん……あっ、潤。その……」
「分かっているって。兄さんを困らすような説明はしないよ」
初対面の人に『兄さんの恋人は同性です』などと言いふらす馬鹿はしないから、安心しろよ。兄さんはオレが一番に守りたい大切な存在だから。
「オーナー、あの、兄が到着しました。挨拶をしたいと言っているのですが」
「おぉ、私もぜひしたいよ。潤のお兄さんなら、きっと風来坊みたいな容貌だろうな」
風来坊? いやいや……白馬に跨がった王子様のような人が兄です。とはオレのキャラからは口が裂けても言えなかった。
オーナーと一緒に入場門に戻ると、芽生くんは瑞樹としゃがんで、木の枝で地べたに残った雪に落書きをしていた。宗吾さんは目を輝かせ、その様子を写真に収めている。
ほのぼのとした光景だな。
オーナーは何を勘違いしたのか、宗吾さんの方へまっすぐ歩いて「君が潤のお兄さんですかな?」と声を掛けたので、宗吾さんは目を丸くしていた。
「はじめまして。あの……俺って、潤に似ています?」
「雰囲気がね、風来坊っぽいからね、君も」
「参ったな。あんなに張り合ってきたのに、似ているだなんて……、あぁ俺は違いますよ。潤の兄の友人です! 今日はありがとうございます」
宗吾さんが明るい笑顔で、躊躇わずに『友人だ』と言い切るのが爽快だった。
本当のことを言えなくとも堂々としているのが、気持ちいい人だ。やっぱり兄さんは見る目があるようだ。こういう対応の一つ一つに悔しいが、兄さんを任せられるのは、この人しかいないと思う。
「そうだったのか。あ、じゃあ……あちらの青年がお兄さんかな。ん? あのお子さんは?」
「えぇ、隣りにいるのは俺の息子です。葉山くんとは家族で仲良くしてもらっています」
「なるほど」
「兄さん」
「あっ、ごめん。夢中になっていた」
へぇ、兄さんでもこんな風に没頭することあるのだ。いつも周りに気を遣い、自分のことなんて投げ打ってでも駆けつけるような人だったのに。今は芽生くんと雪にお絵かきに夢中になっていた。
今まで知らなかった一面。いや兄さんがようやく出せるようになった一面を知ることが出来て嬉しいよ。
「はじめまして。葉山瑞樹と申します。僕が潤の兄です。弟が日頃からお世話になっています」
「葉山瑞樹さん……? あぁ、そういえば、ガーデニング雑誌でお名前を見かけたような」
「あ、恐縮です。僕は生花デザイナーをしております」
「やはり、そうか! 君の『すずらん畑のウェディングガーデン』という結婚式の装飾、とても良かったよ」
やっぱり、すごい人なんだ……兄さんって。オーナーも、知っているなんて。
「ありがとうございます……花嫁さんの希望に寄り添っていたら偶然生まれた作品です。あのように大々的に取り上げていただき恐縮しております」
「コンクールで賞ももらったからね。そうかそうか。潤、気づかなかったが、お前も『葉山』だったな」
「そうですよ。あの、兄は草花が大好きなんです、中を見せても」
「もちろんだよ。今日は貸し切りだ。ゆっくりしていきないさい。坊やもね」
オーナーは芽生くんの頭を撫でて、事務所に戻って行った。一方……瑞樹は少し浮かない顔をしていた。
「ふぅ……びっくりした。参ったな……まさか僕を知っていたなんて」
「俺もさ」
兄さんは目立つことが好きではないので、話をそっとそらしてやる。それにオレも目立たせたくない。
兄は野に咲く花のように可憐な人で、澄んだ水を受けてこそ、綺麗に咲くのだ。
「さぁ、もうオレたちだけだから安心して。行こう」
「潤……ありがとう。いろいろと……」
「よせよ。照れる」
「潤のそういう所、広樹兄さんにそっくりだな」
「えー、兄貴? やだね! さっきは俺は宗吾さんに似てるって言われたぞ」
「あはっ、さっきは対抗意識を燃やしていたのに?」
「あー、まぁ、友好条約を締結するよ。楽しい旅行にしたいしな」
****
潤の案内で、閉館中のイングリッシュガーデンに入れてもらった。
ここは広大な敷地に、設計・石工、ガーデナーまで、英国人の専門家が中心となり創られた由緒正しきガーデンだ。
あぁ……胸が高鳴る。いつかは僕も英国に行ってみたいと思うので、潤の仕事場には純粋な興味もあった。
お気に入りの小説に幾度となく出てくる英国式庭園は、花の優しい色が溢れ、花の甘い香りが漂い、蜂や蝶が飛び交い、鳥が囀る……癒やしの空間だろうと、いつも想像を膨らませていた。
案内板を見ると……英国から持ち込んだ草花に、日本の花もふんだんに取り入れた造園デザインになっていたので、オンシーズンには圧巻だろうと次の季節への期待が膨らんだ。
今は来月のガーデン開きに合わせ、クロッカスやミニアイリス、スノードロップなどを土に植えて、春を待っている状態のようだ。
「兄さん、ここがオレの担当エリアなんだ」
作業服姿の潤が、鼻の頭を擦りながら、誇らしげに言う様子にハッとした。
本当にいい顔をするようになったな。函館にいた頃とは、もう別人だ。
土まみれの作業服、花を愛すために、短く切りそろえた爪。短髪もよく似合っている。潤……精悍になったな。カッコイイよ。
「とても……いい土壌だ。きっと綺麗な花が咲くよ。雪解けのガーデンが待ち遠しいね」
「そうかな。兄さんのお墨付き、嬉しいぜ!」
来月には春が、少しずつ近づいてくる。
大沼の家で過ごした頃、早起きして家の前の野原の新雪を踏みしめた。3月下旬にもなると、雪の中から小さな花芽が頭を覗かせる様子に、ワクワクしていたことを思い出した。
厳しい寒さに耐えた花の芽は、まだ厳しい寒さの残る北国に希望を運んでくれる春の使者のようだった。
耐えてこそ、美しく咲く花が好きだ。
「瑞樹、気に入ったみたいだな」
「宗吾さん、また来ましょう! 今度は花が咲く季節に」
「おう! いつでも連れてきてやる、何度でも」
「お兄ちゃん、これみて。お花さんのあたまだよ」
「くすっ、そうだね」
「ゆきのぼうしをかぶってカワイイ!」
芽生くんの目線まで下りると、冬のガーデンもワンダーランドだ。
僕も芽生くんの横に腰を落として、じっと眺めた。
「芽生くん……」
芽生えて、生きる……君の名前はとても素敵だ!
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