上 下
506 / 1,730
成就編

秋満ちる 4

しおりを挟む
「瑞樹が困ったことをちゃんと話せるようになって、嬉しいよ」
「あの……自分でも意外なんですが、もう一人で頑張るのは……やめようと」
「それでいいんだよ。君は今までひとりで我慢し過ぎた。だから何でも話して欲しい。俺という存在で、君の心を軽くしてやりたい」

 そのままベッドに誘われて、仰向けに寝かされた。

「腕、綱引きで筋肉痛だろう? 」
「あ……宗吾さんこそ、腰の調子は? 」
「もう大丈夫だよ。鍛えているからな。君を抱くためにさ」
「くすっ」

 そのまま首筋をぺろりと舐められると、そこは僕の敏感な場所なので、ビクッと躰が跳ねてしまった。

「……どっちの腕だ?」

 朝の話だ……強く掴まれた腕には、相手の手形は残らなかったが、見知らぬ男の太い指の感触がなかなか消えなくて、困惑していた。

「……左です」
「そうか」

 宗吾さんが僕の左肩から二の腕、手首までを擦ってくれた。優しくマッサージしてもらうと、朝から強張っていたものが、ふわりと解けていく。

「すごく気持ちいいです」
「肩から腕が、随分凝っているな」
「早くこうして欲しかったです」
「可愛いことを。素直な瑞樹はすごく可愛いな。ヤバイ、かなり興奮してきた」
「もっと触れて……いいですよ」
「だが……」

 もどかしくなって……宗吾さんの首筋に両腕を回し、引き寄せてしまった。

「おい? 今日はいつもより積極的だな」
「あ……いえっ……」
「君からキスしてくれるか」
「……はい」

 目を閉じて……宗吾さんの唇に、自分の唇を押し当てた。

「ん……っ……」

 すると、そのまま宗吾さんの口腔内に舌が吸い込まれてしまった。舌を積極的に絡ませてきたので、切ない疼きが駆け上がり、無意識に彼の躰に腰を擦り寄せてしまった。

「……あ……んんっ……」

 欲望が止まらなくなる。

 安心し弛緩した躰が、宗吾さんを求め出す。

 彼も嬉しそうに僕の欲望を受け留めてくれる。

「いいね。積極的な瑞樹……可愛いよ」

 宗吾さんが僕の躰を大きく跨いて、パジャマのボタンを器用にぱぱっと外した。そのまま露わになった胸をべろりと舐められ、両脇に手を這わされると、ビクビクと躰が過敏に反応した。

「あぁ……」

 宗吾さんの手はそのまま下半身を辿り、太腿を掴まれグイっと左右に開かれたので、一気に窄まりが露わになって羞恥心が募った。胸と下半身への愛撫が気持ち良すぎて、そのまま達してしまいそうだ。

「いいよ。一度出す? 」
「僕ばかり……恥ずかしいです」
「今日の君は積極的で可愛いから」
「もう……そればかり」

 宗吾さんに甘える自分が好きだ。

 甘えられるって、いい……

 荷物を降ろす場所があるって幸せだ。

 宗吾さんが徐に……僕の腕にキスをした。

「君の躰に触れていいのは、俺だけだ」

 消毒するみたいに腕に向けて……キスの嵐。

 宗吾さんの色に染まっていく躰。

「あ……駄目です。イっちゃいそう……っ」

 キスだけで達しそう。硬くなったものが、もどかしく腹の上で揺れている。

「可愛いな。ここ」

 そこを宗吾さんにチュッとキスされて、音が出る程に吸われて……もう堪らない。

「だ、駄目……あっ……んんっ」

 蕩けてしまう……我慢出来ない。

 そこからは愛撫の嵐で……気が付くと、ぐずぐずになって喘いでいた。

 いや、いや……といいながらも、躰は積極的に彼を求めていた。

 気持ち良すぎて啜り泣きながら、弾けてしまった。

 休む間もなくローションを注がれ、宗吾さん自身がやってきた。

「もう……っ、あ、もう? あ……っ、あ……」

 頬も躰も、全部、火照って熱い。

 僕のそこは、きゅうっとひくつきながら、宗吾さんをつぷりと呑み込んだ。

「あ……はうっ」
「瑞樹、すごく感じているな」
「宗吾さんっ……あっ、好き……好きです」

 想いを言葉で伝えあいながら、躰を触れ合った。
 
 互いに精を解き放つまで、じっくりと丁寧に優しく愛撫しあった。
 
 宗吾さんと躰を重ねると、心から安堵できる。

 愛があるって、本当に大切だ。
 
 僕の躰に触れていいのは、宗吾さんだけ。

 もう他の人には触れさせない……


****

「今日の君、いつもより積極的だったな」
「……すみません。朝、あんな事があったので、宗吾さんに沢山触れて欲しくなりました」
「嬉しいよ」

 瑞樹と深く抱き合った後、俺はさっきから考えていたことを提案してみた。

「今度さ、菅野くんを我が家に招待しないか。彼にはいろいろ世話になっているし、社員旅行に行く前に挨拶したい」
「あ……僕も実は……今日のお礼をしたいと思っていました。いいんですか」
「あぁ早速連れて来いよ」
「はい!」

 
 事後の瑞樹は艶めいた表情で、ふわりと微笑んだ。

 ん? その顔は絶対に他の人に見せるなよ。何だか心配だな。

 正直、社員旅行はかなり不安だ。

 過保護過ぎると笑われるかもしれないが、本気で心配している。

 瑞樹が俺以外の人と外泊……しかも男と相部屋だなんて……

 これは菅野くんのサポートが絶対に必要だ。

 だからぜひ!

 瑞樹の味方は、俺にとっても大切な人だ。





 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

『別れても好きな人』 

設樂理沙
ライト文芸
 大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。  夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。  ほんとうは別れたくなどなかった。  この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には  どうしようもないことがあるのだ。  自分で選択できないことがある。  悲しいけれど……。   ―――――――――――――――――――――――――――――――――  登場人物紹介 戸田貴理子   40才 戸田正義    44才 青木誠二    28才 嘉島優子    33才  小田聖也    35才 2024.4.11 ―― プロット作成日 💛イラストはAI生成自作画像

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

処理中です...