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成就編
箱庭の外 24
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「宗吾さん、起きてください」
「パパぁ~おきないとチコクですよぉ」
「うぅ……もう朝なのか」
眠い……猛烈に眠い。
ニューヨークから帰国したばかりで、時差ボケがあるのは認めよう。
それよりも昨日だ。かなり激しく執拗に……瑞樹を抱いた記憶が鮮明に残っている。
俺の方も良すぎて声が漏れてしまう程、濃く深い交わりだった。
抱けば抱く程、瑞樹も激しく悶えてくれて……
いつもより感じてくれていたよな。
あぁそうだ! 初めてドライでイッたんだよな。
瑞樹、可愛かったな……
くっきりはっきり、絶頂を迎えた直後の彼の顔を脳裏に浮かべて、ニヤついてしまった。
「パパーまたヘンなおカオしている! もう起きないと、こちょこちょコウゲキですよぉー!それっ」
「わっ! よせ、くすぐったいぞ! ワハハっ、ヤメテクレー」
芽生に脇腹や脇の下をくすぐられて、違う意味で悶え苦しんだ。
そんな俺のことを、瑞樹が冷ややかに見下ろしていた。
「……宗吾さんは、本当に懲りませんね。いいですかっ、朝から脳内で余計な事を思い出さないで下さい」
いつも可憐で可愛い瑞樹が、女王様のような冷たい刺すような視線を!
これはこれでゾクゾクしてくるぞ。
「こちょこちょこちょ-」
「ううう、瑞樹ぃ……助けてくれ!」
芽生にくすぐられながら、瑞樹の太股に助けを求めるように手を伸ばすと、彼は困惑した表情を浮かべた。
「もうっ、宗吾さん。あ……やっ……」
慌てて自分の口を塞いで赤面している。
お! 今度は可愛い顔になった。
やっぱり可愛い瑞樹がいいな。
今朝は『おはようのキス』がお預けの分、彼を困らせたくなってしまった。
****
「パパ、おにいちゃん、いってきまーす」
「おう、楽しんで来い」
「芽生くん、楽しんでおいで」
芽生くんは、幼稚園の夏季特別保育に突入した。
今は共働きの家庭が多いので、保育園だけでなく幼稚園も受け入れ態勢が充実していて助かる。お母さんが入院中の今、僕と宗吾さんで頑張って夏休みもリレーしていこう。
バスを見送ると、バス停のママさん達がじりじりと宗吾さんに近づいてきた。
「おはようございます。滝沢さん、これどうぞ」
「何です?」
「実は町内会の夏祭りがあるんですよ。よかったらいらして下さい」
「へぇ次の週末か……そうだな、夜なら行けるかな」
「盆踊り大会もあるのでぜひ!あのぉ……実は滝沢さんには屋台を少し手伝っていただきたくて……幼稚園からも人を出さないといけないのですが、パパさんの人手が足りなくて」
「分かった。夜ならいいよ。俺でよければ」
「わぁぁ流石! 頼もしいです。これ詳細です」
宗吾さんはニコニコと返事をし、紙を機嫌よく受け取っていた。
何だか受け答えの様子が妙にこなれているので、じどっと見つめてしまう。
少しモヤモヤしてしまうな。
「宗吾さん、ニューヨークで何か楽しい事でもありましたか」
「ん? あぁそういえば瑞樹のお守りが効力を発してさ」
「えっどういう意味です?」
お守り?
一瞬意味が分からなかったが、すぐに思い出した。
ニューヨークへ行く前に僕がキスマークを丁寧につけた場所は、スーツを脱がないと絶対に見えない胸元だったはずだが。
「宗吾さん! まさか胸元を誰かに見せたんですか」
「え? あぁホテルのジムで運動していたら、急に女性に声かけられて」
「……ジムで胸元を?」
女性に声をかけられたって、まさか逆アプローチ?
ジムって、普通……運動を上半身裸ではしないだろう?
ふつふつと疑問が湧いて来る。
「あぁその後、ジムに併設されているプールでもその女性に会ってさ、胸元のお守りを凝視され『まぁ……独占欲の強い奥様だこと』って言われたのが、嬉しかったよ」
……宗吾さんに悪気はない。悪気はないのだが、引っかかる!!
女性に至近距離でその逞しい胸を見せたなんて……
女性の視線を直に浴びたのか。あそこに。
ううう……
あれ? これって……嫉妬なのか。
「瑞樹? なぁ怒っているのか。そういう君こそ、まさかあんな際どい部分、誰かに見せなかったよな?」
あっまずい。それを今聞く?
あのハプニングは、かなり後ろめたい事なのに。
これじゃ……宗吾さんを責められない。
「顔色が変わったぞ。どうも怪しいな。そうだ! アイツを呼び出そう」
「アイツって誰です?」
「ふふふ、俺のスパイさ」
「ス、スパイって、まさか、まさか、管野と裏で繋がっているんじゃ?」
「ははっは」
もう……本当にしかねない……宗吾さんなら。
一気に脱力してしまう。
「もう、クスつ」
「瑞樹、朝から沢山笑ってくれてありがとう!」
「いえ、僕の方こそ」
「母さんの事は、まだまだ心配が尽きないが……こうやって君と笑い合えると元気をもらえてね。本当に可愛いよ。瑞樹は」
電車を待つホームで、宗吾さんが耳元に甘く囁いてくれる。
もう――
ずるい人だ。
そんな風に突然のキメ台詞……
これじゃ満員電車で、僕はまたドキドキしてしまう。
車窓から都会の作り物のように無機質なビル群を眺めていると、ふと美智さんの作った箱庭を思い出した。
箱庭の外って剥き出しで守られていない世界だから、毎日本当にいろんな事と直面する。
泣いたり笑ったり、悔しかったり辛かったり、嬉しかったり悲しかったり。
現に僕も、ここ数日でも天と地を行ったり来たりした。
でもね……思うんだ。
こうやって大きく感情を動かせるのって、精一杯生きている証だろう。
宗吾さんがいて、僕がいる。
そして僕達は、この世界に繋がっている。
箱庭の外で生きている。
この先も……生きていく。
箱庭の外も、悪くない。
今の僕を見て……確かに思うこと。
『箱庭の外』了
あとがき(不要な方はスルーでご対応ください)
****
志生帆海です。こんにちは!
『箱庭の外』のラストは、明るい話となりました。
今回は宗吾さんのお兄さん夫婦登場で冷や冷やさせてしまいましたが、無事に解決できそうで、ホッとしています。
明日からは少し季節がずれますが、夏らしく楽しい話をメインにしていきますね。
『幸せな存在』は400話を超える連載となっており、もはや私の脳内には彼らが生きていて、その日常を追っているような感覚です。
読者さまにも、宗吾さんと瑞樹。芽生、登場人物を、愛していただけて幸せです。
読んで下さる方がいらっしゃるので、コツコツ毎日書いていけます。いつもありがとうございます。
「パパぁ~おきないとチコクですよぉ」
「うぅ……もう朝なのか」
眠い……猛烈に眠い。
ニューヨークから帰国したばかりで、時差ボケがあるのは認めよう。
それよりも昨日だ。かなり激しく執拗に……瑞樹を抱いた記憶が鮮明に残っている。
俺の方も良すぎて声が漏れてしまう程、濃く深い交わりだった。
抱けば抱く程、瑞樹も激しく悶えてくれて……
いつもより感じてくれていたよな。
あぁそうだ! 初めてドライでイッたんだよな。
瑞樹、可愛かったな……
くっきりはっきり、絶頂を迎えた直後の彼の顔を脳裏に浮かべて、ニヤついてしまった。
「パパーまたヘンなおカオしている! もう起きないと、こちょこちょコウゲキですよぉー!それっ」
「わっ! よせ、くすぐったいぞ! ワハハっ、ヤメテクレー」
芽生に脇腹や脇の下をくすぐられて、違う意味で悶え苦しんだ。
そんな俺のことを、瑞樹が冷ややかに見下ろしていた。
「……宗吾さんは、本当に懲りませんね。いいですかっ、朝から脳内で余計な事を思い出さないで下さい」
いつも可憐で可愛い瑞樹が、女王様のような冷たい刺すような視線を!
これはこれでゾクゾクしてくるぞ。
「こちょこちょこちょ-」
「ううう、瑞樹ぃ……助けてくれ!」
芽生にくすぐられながら、瑞樹の太股に助けを求めるように手を伸ばすと、彼は困惑した表情を浮かべた。
「もうっ、宗吾さん。あ……やっ……」
慌てて自分の口を塞いで赤面している。
お! 今度は可愛い顔になった。
やっぱり可愛い瑞樹がいいな。
今朝は『おはようのキス』がお預けの分、彼を困らせたくなってしまった。
****
「パパ、おにいちゃん、いってきまーす」
「おう、楽しんで来い」
「芽生くん、楽しんでおいで」
芽生くんは、幼稚園の夏季特別保育に突入した。
今は共働きの家庭が多いので、保育園だけでなく幼稚園も受け入れ態勢が充実していて助かる。お母さんが入院中の今、僕と宗吾さんで頑張って夏休みもリレーしていこう。
バスを見送ると、バス停のママさん達がじりじりと宗吾さんに近づいてきた。
「おはようございます。滝沢さん、これどうぞ」
「何です?」
「実は町内会の夏祭りがあるんですよ。よかったらいらして下さい」
「へぇ次の週末か……そうだな、夜なら行けるかな」
「盆踊り大会もあるのでぜひ!あのぉ……実は滝沢さんには屋台を少し手伝っていただきたくて……幼稚園からも人を出さないといけないのですが、パパさんの人手が足りなくて」
「分かった。夜ならいいよ。俺でよければ」
「わぁぁ流石! 頼もしいです。これ詳細です」
宗吾さんはニコニコと返事をし、紙を機嫌よく受け取っていた。
何だか受け答えの様子が妙にこなれているので、じどっと見つめてしまう。
少しモヤモヤしてしまうな。
「宗吾さん、ニューヨークで何か楽しい事でもありましたか」
「ん? あぁそういえば瑞樹のお守りが効力を発してさ」
「えっどういう意味です?」
お守り?
一瞬意味が分からなかったが、すぐに思い出した。
ニューヨークへ行く前に僕がキスマークを丁寧につけた場所は、スーツを脱がないと絶対に見えない胸元だったはずだが。
「宗吾さん! まさか胸元を誰かに見せたんですか」
「え? あぁホテルのジムで運動していたら、急に女性に声かけられて」
「……ジムで胸元を?」
女性に声をかけられたって、まさか逆アプローチ?
ジムって、普通……運動を上半身裸ではしないだろう?
ふつふつと疑問が湧いて来る。
「あぁその後、ジムに併設されているプールでもその女性に会ってさ、胸元のお守りを凝視され『まぁ……独占欲の強い奥様だこと』って言われたのが、嬉しかったよ」
……宗吾さんに悪気はない。悪気はないのだが、引っかかる!!
女性に至近距離でその逞しい胸を見せたなんて……
女性の視線を直に浴びたのか。あそこに。
ううう……
あれ? これって……嫉妬なのか。
「瑞樹? なぁ怒っているのか。そういう君こそ、まさかあんな際どい部分、誰かに見せなかったよな?」
あっまずい。それを今聞く?
あのハプニングは、かなり後ろめたい事なのに。
これじゃ……宗吾さんを責められない。
「顔色が変わったぞ。どうも怪しいな。そうだ! アイツを呼び出そう」
「アイツって誰です?」
「ふふふ、俺のスパイさ」
「ス、スパイって、まさか、まさか、管野と裏で繋がっているんじゃ?」
「ははっは」
もう……本当にしかねない……宗吾さんなら。
一気に脱力してしまう。
「もう、クスつ」
「瑞樹、朝から沢山笑ってくれてありがとう!」
「いえ、僕の方こそ」
「母さんの事は、まだまだ心配が尽きないが……こうやって君と笑い合えると元気をもらえてね。本当に可愛いよ。瑞樹は」
電車を待つホームで、宗吾さんが耳元に甘く囁いてくれる。
もう――
ずるい人だ。
そんな風に突然のキメ台詞……
これじゃ満員電車で、僕はまたドキドキしてしまう。
車窓から都会の作り物のように無機質なビル群を眺めていると、ふと美智さんの作った箱庭を思い出した。
箱庭の外って剥き出しで守られていない世界だから、毎日本当にいろんな事と直面する。
泣いたり笑ったり、悔しかったり辛かったり、嬉しかったり悲しかったり。
現に僕も、ここ数日でも天と地を行ったり来たりした。
でもね……思うんだ。
こうやって大きく感情を動かせるのって、精一杯生きている証だろう。
宗吾さんがいて、僕がいる。
そして僕達は、この世界に繋がっている。
箱庭の外で生きている。
この先も……生きていく。
箱庭の外も、悪くない。
今の僕を見て……確かに思うこと。
『箱庭の外』了
あとがき(不要な方はスルーでご対応ください)
****
志生帆海です。こんにちは!
『箱庭の外』のラストは、明るい話となりました。
今回は宗吾さんのお兄さん夫婦登場で冷や冷やさせてしまいましたが、無事に解決できそうで、ホッとしています。
明日からは少し季節がずれますが、夏らしく楽しい話をメインにしていきますね。
『幸せな存在』は400話を超える連載となっており、もはや私の脳内には彼らが生きていて、その日常を追っているような感覚です。
読者さまにも、宗吾さんと瑞樹。芽生、登場人物を、愛していただけて幸せです。
読んで下さる方がいらっしゃるので、コツコツ毎日書いていけます。いつもありがとうございます。
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