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発展編

花の行先 14

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 結局……明け方までインターバルを置いて、何度も愛し合ってしまった。

 そのお陰で朝には瑞樹の不安も俺の後悔も、綺麗に昇華されていた。

 俺の腕の中で疲労困憊の中にも幸せな笑みを浮かべ眠る瑞樹の顔を、さっきから飽きる事なく眺めている。

 無理させてしまったな。
 だが最高に可愛かった。
 積極的な君には、かなり煽られたぞ。

 そう言えば風呂上り、キッチンに連れて行った時、もしかして何か期待していたのか。ペットボトルを頬にあてた時の瑞樹のきまり悪そうな顔を思い浮かべ、ニヤついてしまった。

 これは近い将来、もしかして……オリーブオイルも裸エプロンも夢ではないのかもな。

 盛大にニヤついて、思わず喉の奥からククッっと声を漏らした瞬間、眠っていたはずの彼が、俺の胸元で肩を揺らした。

「なんだ? 起きていたのか」
「……ふぅ、さっきからずっと我慢していましたよ」
「なぬ!」
「宗吾さん、僕の顔をずっと見ていましたね」
「あぁそうだよ」
「それでまた……変なこと考えていませんでしたか」
「おぉそれな! 何で分かるんだ?」
「やっぱり……察しますよ。ぞわわって来ますからね。一体今度は僕に何をさせたいんですか」

 瑞樹が俺を見上げ、悪戯気に聞いて来る。

「そうだなぁ、やっぱりエプロンから行こうか」

 俺も悪びれずに図々しく申し出ると、瑞樹はいつものように瞬時に頬を染めた。その面映ゆそうな顔は、俺の大好物だって知っているか。

「あぁやっぱり! 僕はもう宗吾さん化していると自覚してしまう事を言うんですね」
「ってことは、瑞樹もそう思ったのか」
「くすっ……もう」
「瑞樹……」
「……はい」

 意図を察した瑞樹が微笑みながら目を閉じて、唇を薄く開いて誘ってくれた。

 オ・ハ・ヨ・ウのキスは、今日はスペシャルだ。深い口づけが、互いの躰を目覚めさせてくれる。

「んんっ!? あーまずいな。余計な所まで元気になってきた」

「わわっ! 宗吾さんってば、もう駄目ですってば! 起きて芽生くんを迎えに行かないと~」


 明るくなったな、瑞樹。

 朝から新緑の木漏れ日のように爽やかな笑顔を見せてくれて、ありがとう!
 

****
  
 夢のような五月の連休もあっという間に終わり、日常が戻って来ていた。

「ただいま!」
「お帰りさない! 宗吾さん」
「おかえりなさーい。パパ」

 玄関を開けるとすぐに飛び込んでくる二人の笑顔に、1日の疲れが吹っ飛ぶよ。

 いつも会社帰りに延長保育している幼稚園へ芽生を迎えに行き、買い物をしながら帰って来る。今日は瑞樹が行ってくれた。

 幼稚園の先生に可愛い瑞樹は大好評だ。その気持ち分かる。瑞樹は本当に漫画に出て来るような王子様キャラだもんな。先生や母親に妙にモテるのが心配だよ。

「宗吾さん、今日は肉じゃがにしてみました」
「頑張っているな。いいね」
「はい!もうだいたい準備出来ましたので」
「ありがとう」

 エプロン姿の瑞樹の後ろ姿をつい目で追ってしまう。しかもまだあの夢が叶っていないのでジッと透視してしまう始末だ。

 キュッと上がったヒップも細い腰もいいよな……

 すると瑞樹がクルっと振り向いて、胡散臭そうな目をした。

「今、急にぞわっとしましたよ。さては!」
「なんですぐ分かる」
「それは好きな人の視線なら……って、あーもう!」

 可愛い瑞樹から俺が好きだという発言を聞けるのが嬉しくて、盛大にニヤついてしまった。俺は幸せ者だ!

「もうっ……宗吾さん、先にお風呂にしますか」
「瑞樹たちは?」
「食事を作っていたので、まだです」
「芽生、今日は風呂、どっちと入る?」
「えーモチロンおにいちゃんがいい」
「またパパはフラれた!」
「すみません。先に芽生くんと入ってきても?」
「あぁいつも悪いな。ビールでも飲んで待ってるよ」
「じゃあ今用意しますね」

 瑞樹が冷蔵庫から良く冷えたビールを出してくれた。グラスもキンキンに冷えている。相変わらず気が利くな。チーズやアーモンドなどの簡単なつまみも用意してくれて、俺はもう至れり尽くせりな状態だ。
 
 人のために何かをするのが大好きな瑞樹は、俺と芽生との生活を心から楽しんでいる。その事が心から嬉しいし、ありきたりの平凡な日常が輝いて見えるよ……君といると、いつも!

「おにいちゃん、あらってぇ」
「おにいちゃん、目がしみるぅ!」
「おにいちゃん~だーいすき!」

 しかし、芽生のやつ~さっきから今日はまた派手にイチャイチャしてるな。 風呂場からキャッキャッという歓声が漏れて来るので、羨ましくなってきたぞ。

 そうか! 俺もいつも我慢しなくていいんじゃないか。うちの風呂はマンションにしては広い方だから、無理すれば3人でもいけそうだ。

 そう思い立つと、後は実行のみ。

 パパパッとスーツを脱ぎ散らかし真っ裸で風呂場のドアを開けると、湯船に仲良く浸かっていた二人が、あからさまに目を見開いて驚いた。

「パパーやるぅ!」
「そうごさんっ……なんで、もうっ」

 瑞樹は照れくさそうに、すぐに俯いてしまった。連休の最後に、あんなに深く……朝まで抱き合い、俺に跨り積極的に腰を揺らしていた癖に、その反応、かなりいいな。

 すぐに清純な瑞樹に戻ってしまうのがイイ!

 何度抱いても……また初々しい反応をしてくれるのもイイ!

 強引に湯船に浸かると、お湯がザーッと溢れ出てしまった。

「もっ……もう、僕は上がりますね」

 瑞樹は恥ずかしそうに、逃げ出した。

「おいっまぁ待てよ」
「お湯がもったいないので、後は宗吾さんにバトンタッチで!」

 可愛い白い小尻が遠くに去って行くのを、湯船から名残惜しく見送った。

「今日のパパ……かなり……イケテナイね!」
「そ、そうかぁ?」

 どうやら……息子の指摘は年々厳しくなりそうだ。






















あとがき(不要な方はスルーで)



 














****

こんにちは。志生帆海です。

いつもで応援して下さってありがとうございます。
今日はラブシーンの後日談でさらっとコメディタッチで明るく書いてみました。昨日まで3夜連続で濃厚なシーンを頑張ってみました。トータルで8000文字程も書いたので、流石の私も少々息切れです(苦笑)

毎回読んで下さり反応をありがとうございます。ラブシーンは結構体力使うので、本当に報われました。
明日からまたメリハリ付けて物語を進展させていきますね。

『幸せな存在』の世界を……引き続きお楽しみいただけると嬉しいです。
 


 
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