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発展編
選び選ばれて 12
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「酔った瑞樹は、危なっかしいな」
ふたりでキスを交わしながら、ベッドにもつれ合うようにダイブした。
「そんなことないですっ」
「誘ってる……いやらしい目だ」
「うっ……宗吾さんこそ」
瑞樹を仰向けにして上から見下ろすと、目元が赤く潤んでいた。
目をゆっくりと閉じて薄く唇を誘うように開いてくれたので、そっと重ねた。
触れると……止まらない、堪らない。
瑞樹とのキスは、甘い誘惑だ。
「あ、あ……うっ……」
瑞樹の方も必死に舌を絡め、応じてくれる。
少し酔った君は、少し大胆になるようで、自らの舌を俺の口の方へと滑り込ませてくれた。
リードされていくのは新鮮だ。
だから俺はワインではなく瑞樹に酔っていく。
「宗吾さん……何だか僕、今日はすごく宗吾さんが欲しくて──熱がこもって……」
いつもなら言わない……甘く積極的な台詞に、さっきの玲子の話を切り出した君の心中を察してしまう。
玲子は芽生にとっての産みの母だから……産みの母親を失った瑞樹は放っておけないのだ。その気持ちも痛い程、分かる。
だが君を不安にさせていないか心配になる。君に無理させていないか不安になる。
瑞樹もそうは言ったものの、心の奥底にひっかかるものがあるのだろう。だから今日こんなに乱れて、こんなに欲して……いるのではないか。
「沢山やる。俺の全部を……瑞樹に」
「もう……脱がせて下さい」
酒のせいで躰が火照るのか、暑がる瑞樹の寝間着の前ボタンを全部外して、剥いていく。
彼の平らな胸に手を置くと、心臓の音が聴こえた。
少し早い鼓動は俺と同じだ。お互い興奮しきっていた。
その証拠に下半身の互いのものも、十分過ぎる程張り詰めていた。
「くすっ。キスだけでこんなに……宗吾さん……僕たちいつもがっついていますね」
「君が煽るからだ」
「……宗吾さんが昨夜あんなに胸を弄るから……今日はずっと大変でしたよ」
「ん? どれ? 感度アップか」
「もうっ──あうっ……うっ……っ」
胸の尖った部分を指の腹で擦ったり摘まんだりして揉むと、瑞樹はくぐもった声を出して身を捩る。どうやら、じっとしていられない程に強く感じているようで、その反応が嬉しくなって今度は舌で乳輪を舐めたり、大きく吸い付いてしまった。
「あ、あ………あうっ」
「もう少し静かに出来るか」
その声を塞ぐように口づけをし、胸は指先で弄び続けた。
「もうっ、いつも僕ばかりっ──ずるい」
興奮したことにより、ますます酔いが回ったらしく、どんどん舌足らずで、あどけなくなっていく。
潤んだ瞳で俺を少し恨めし気に見上げて、瑞樹の方から手をずらし俺の勃ちかけていたものを掴んできた。
「うっ」
うわっ! いきなりで、小さく呻いてしまったじゃないか。
君から触れてくれるのは滅多にないので、嬉しい。
「そ……うくんの……大きいですね」
えっ今なんて言った……宗くんと?
あ──可愛い。なんて可愛いんだ!
先日から散々強請っていた呼び方だ、それ。
まさか今日この場で呼んでもらえとは!(酔わせた甲斐があったな!)
「瑞樹、もう一度呼んでくれ」
「くすっ、えっと……特別ですよ。今日は」
そう言いながら瑞樹は躰をくるりと反転させ、俺を跨いだ。
「そっ宗く……んっ、僕が欲しいですか」
「焦らすな」
「だって……いつも僕ばかりだからっ」
俺も負けじと彼の蕾に潤滑剤を纏った指を差し込んで、探るように動かしていく。
「やっ……っ」
涙目の瑞樹が、俺の腹の上で揺れている。
もう寝間着は乱れまくり半裸の状態で、ほっそりとした躰を朱に染めあげていく様子が艶めかしい。彼の腰をしっかり掴んで一旦浮かし、その後的確に引き下ろすと、ずぶりと挿入がはじまった。
俺が腰を突き上げると、瑞樹が艶めいた声を漏らす。
酒に酔った瑞樹の感度は良好のようだ。いつもよりずっと過敏に感じているようで、熱い吐息を漏らし余裕がなさそうだ。
「あ……やっ……あっ、あっ」
彼の屹立も扱いてやると「いやっ」と身を捩りながらも細かく震え、あえなく白濁を手中に放った。
あー俺の方もそろそろ限界近いな。
達っしたばかりの彼を追い詰めるように、俺の腰を前後に揺らして出し入れを早め、一気に駆け抜ける。
「あっ……ううっ」
熱いものを瑞樹の躰の最奥に放つと力尽きたように俺の胸にもたれてきたので、深く抱きしめてやった。
「大丈夫か」
「……もっもう……感じすぎて、変になりそうです」
「今日は随分と乱れていたな……」
「……宗吾さんが欲しくて……宗吾さんは……僕のものでいいですよね」
「あぁ、瑞樹だけだ、もう」
「よかった」
彼を胸に抱きしめると、しっとりと汗ばんだ皮膚からやはり花のような香りが漂っていて、また煽られてしまう。
綺麗な花を抱えて帰ってきたからなのか。
俺にとっての花は瑞樹ただ一人なのだが。
止まらない……俺は瑞樹に溺れていくよ。
瑞樹だからだ。瑞樹を心から愛して、彼と幸せになりたいと願う気持ちが、彼を抱くたびに産まれる。瑞樹は俺達は繋がっても営んでも……何も生み出さないと思うかもしれないが、そうじゃないと思うよ。
俺と瑞樹の愛情が深まれば、芽生にとっても幸せな環境が生まれるはずだ。
少し世間と違うスタイルだが、そういう関係は、今後もっともっと自然に受け入れられていくだろう。
だから……
「瑞樹……ひとりで不安になるな。分かったな」
「……はい」
すこし酔いが冷めたのか、瑞樹が面映ゆそうに返事をしてくれた。
お互いの心臓の音が聴こえる。
この音……時を重ねる音と似ているな。
やがて俺の胸の上にしがみつくようにくっついていた瑞樹が……疲れたようで、うつらうつらし出した。今日はこのまま少し眠らせてから、後処理してやろう。
「瑞樹の存在が大事だ。だから……あまり気を遣いすぎるなよ」
そう囁いて、彼の湿った柔らかい髪を指に巻き付けり、指で梳いたり、手のひらで撫でたりして、幼子のように寝かしつけてやる。
少しあどけない寝顔を、飽きずにずっと見続けた。
気が付くと……芽生の誕生日の五月五日になっていた。
「瑞樹、お休み。いい夢を──」
俺が瑞樹を選び、瑞樹が俺を選ぶ。
選び……選ばれて。
今日の二人は……まさに、そんな関係で深く強く抱き合った。
『選び選ばれて』 了
ふたりでキスを交わしながら、ベッドにもつれ合うようにダイブした。
「そんなことないですっ」
「誘ってる……いやらしい目だ」
「うっ……宗吾さんこそ」
瑞樹を仰向けにして上から見下ろすと、目元が赤く潤んでいた。
目をゆっくりと閉じて薄く唇を誘うように開いてくれたので、そっと重ねた。
触れると……止まらない、堪らない。
瑞樹とのキスは、甘い誘惑だ。
「あ、あ……うっ……」
瑞樹の方も必死に舌を絡め、応じてくれる。
少し酔った君は、少し大胆になるようで、自らの舌を俺の口の方へと滑り込ませてくれた。
リードされていくのは新鮮だ。
だから俺はワインではなく瑞樹に酔っていく。
「宗吾さん……何だか僕、今日はすごく宗吾さんが欲しくて──熱がこもって……」
いつもなら言わない……甘く積極的な台詞に、さっきの玲子の話を切り出した君の心中を察してしまう。
玲子は芽生にとっての産みの母だから……産みの母親を失った瑞樹は放っておけないのだ。その気持ちも痛い程、分かる。
だが君を不安にさせていないか心配になる。君に無理させていないか不安になる。
瑞樹もそうは言ったものの、心の奥底にひっかかるものがあるのだろう。だから今日こんなに乱れて、こんなに欲して……いるのではないか。
「沢山やる。俺の全部を……瑞樹に」
「もう……脱がせて下さい」
酒のせいで躰が火照るのか、暑がる瑞樹の寝間着の前ボタンを全部外して、剥いていく。
彼の平らな胸に手を置くと、心臓の音が聴こえた。
少し早い鼓動は俺と同じだ。お互い興奮しきっていた。
その証拠に下半身の互いのものも、十分過ぎる程張り詰めていた。
「くすっ。キスだけでこんなに……宗吾さん……僕たちいつもがっついていますね」
「君が煽るからだ」
「……宗吾さんが昨夜あんなに胸を弄るから……今日はずっと大変でしたよ」
「ん? どれ? 感度アップか」
「もうっ──あうっ……うっ……っ」
胸の尖った部分を指の腹で擦ったり摘まんだりして揉むと、瑞樹はくぐもった声を出して身を捩る。どうやら、じっとしていられない程に強く感じているようで、その反応が嬉しくなって今度は舌で乳輪を舐めたり、大きく吸い付いてしまった。
「あ、あ………あうっ」
「もう少し静かに出来るか」
その声を塞ぐように口づけをし、胸は指先で弄び続けた。
「もうっ、いつも僕ばかりっ──ずるい」
興奮したことにより、ますます酔いが回ったらしく、どんどん舌足らずで、あどけなくなっていく。
潤んだ瞳で俺を少し恨めし気に見上げて、瑞樹の方から手をずらし俺の勃ちかけていたものを掴んできた。
「うっ」
うわっ! いきなりで、小さく呻いてしまったじゃないか。
君から触れてくれるのは滅多にないので、嬉しい。
「そ……うくんの……大きいですね」
えっ今なんて言った……宗くんと?
あ──可愛い。なんて可愛いんだ!
先日から散々強請っていた呼び方だ、それ。
まさか今日この場で呼んでもらえとは!(酔わせた甲斐があったな!)
「瑞樹、もう一度呼んでくれ」
「くすっ、えっと……特別ですよ。今日は」
そう言いながら瑞樹は躰をくるりと反転させ、俺を跨いだ。
「そっ宗く……んっ、僕が欲しいですか」
「焦らすな」
「だって……いつも僕ばかりだからっ」
俺も負けじと彼の蕾に潤滑剤を纏った指を差し込んで、探るように動かしていく。
「やっ……っ」
涙目の瑞樹が、俺の腹の上で揺れている。
もう寝間着は乱れまくり半裸の状態で、ほっそりとした躰を朱に染めあげていく様子が艶めかしい。彼の腰をしっかり掴んで一旦浮かし、その後的確に引き下ろすと、ずぶりと挿入がはじまった。
俺が腰を突き上げると、瑞樹が艶めいた声を漏らす。
酒に酔った瑞樹の感度は良好のようだ。いつもよりずっと過敏に感じているようで、熱い吐息を漏らし余裕がなさそうだ。
「あ……やっ……あっ、あっ」
彼の屹立も扱いてやると「いやっ」と身を捩りながらも細かく震え、あえなく白濁を手中に放った。
あー俺の方もそろそろ限界近いな。
達っしたばかりの彼を追い詰めるように、俺の腰を前後に揺らして出し入れを早め、一気に駆け抜ける。
「あっ……ううっ」
熱いものを瑞樹の躰の最奥に放つと力尽きたように俺の胸にもたれてきたので、深く抱きしめてやった。
「大丈夫か」
「……もっもう……感じすぎて、変になりそうです」
「今日は随分と乱れていたな……」
「……宗吾さんが欲しくて……宗吾さんは……僕のものでいいですよね」
「あぁ、瑞樹だけだ、もう」
「よかった」
彼を胸に抱きしめると、しっとりと汗ばんだ皮膚からやはり花のような香りが漂っていて、また煽られてしまう。
綺麗な花を抱えて帰ってきたからなのか。
俺にとっての花は瑞樹ただ一人なのだが。
止まらない……俺は瑞樹に溺れていくよ。
瑞樹だからだ。瑞樹を心から愛して、彼と幸せになりたいと願う気持ちが、彼を抱くたびに産まれる。瑞樹は俺達は繋がっても営んでも……何も生み出さないと思うかもしれないが、そうじゃないと思うよ。
俺と瑞樹の愛情が深まれば、芽生にとっても幸せな環境が生まれるはずだ。
少し世間と違うスタイルだが、そういう関係は、今後もっともっと自然に受け入れられていくだろう。
だから……
「瑞樹……ひとりで不安になるな。分かったな」
「……はい」
すこし酔いが冷めたのか、瑞樹が面映ゆそうに返事をしてくれた。
お互いの心臓の音が聴こえる。
この音……時を重ねる音と似ているな。
やがて俺の胸の上にしがみつくようにくっついていた瑞樹が……疲れたようで、うつらうつらし出した。今日はこのまま少し眠らせてから、後処理してやろう。
「瑞樹の存在が大事だ。だから……あまり気を遣いすぎるなよ」
そう囁いて、彼の湿った柔らかい髪を指に巻き付けり、指で梳いたり、手のひらで撫でたりして、幼子のように寝かしつけてやる。
少しあどけない寝顔を、飽きずにずっと見続けた。
気が付くと……芽生の誕生日の五月五日になっていた。
「瑞樹、お休み。いい夢を──」
俺が瑞樹を選び、瑞樹が俺を選ぶ。
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