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発展編
選び選ばれて 11(キスの日スペシャル)
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お詫び。昨日『選び選ばれて9』を重複であげておりました。
昨日の分は『選び選ばれて10に』に内容差し替えております。
以下『選び選ばれて 11』です。
*****
「葉山ちょっといいか」
「はい!」
「明日は休みだろう。よかったらこの花を持って帰ってもらえないか」
「えっ、こんなに?よろしいのですか」
「あぁちょっと余ってしまってね」
「ありがとうございます!」
という訳で、仕事の帰り際に僕は抱えきれない程のアイリスを、リーダーから譲り受けた。
玄関先で、花に埋もれて芽生くんの可愛い顔が見えない程だった。
「おにいちゃん~おかえりなさい。あれれお顔みえないよ」
「うん、ただいま」
「すごいお花の山だね」
「もらったんだよ」
「わぁ……なんていう名前なの?」
「アイリスだよ。アヤメとも……見たことある?」
「うん! 公園で」
「これ、芽生くんのお誕生日プレゼントのひとつにしてあげるね」
「わーい!」
菫色の花びらに黄色い模様がアクセントの美しい花だ。しかもアイリスは芽生くんの誕生日、5月5日の誕生日花なのでちょうどいい。
早速、本棚の『花図鑑』でアイリスの花言葉について調べてみた。
『message(伝言)、hope(希望)、faith(信頼)、friendship(友情)、wisdom(賢さ)』
わぁこれって芽生くんにぴったりだ。芽生くんは本当にまだ小さいのに賢くて、とても明るく前向きだ。この先もずっと……僕と芽生くん……お互いに友情と信頼を持ち続けていきたいね。
この花を使って……明日、アレンジメントを作ろう。
「あっ、そうか」
花言葉と一緒に5月5日『こどもの日』についての説明が書かれていた。
『子供の人格を重んじて幸福を願い、母に感謝する日』
母に感謝する日か……折しも、もうすぐ母の日だ。僕の中では一つの考えがある。そろそろ宗吾さんに話してみようかな。
芽生くんにとってのお母さんはこの世に生きている。だからやっぱりきちんと会う日を設けた方がいいと思うんだ。もしかして宗吾さんは僕に気を遣っているのかもしれないが、もうずっと会っていない。会わせていない。そこが気になって……
僕が函館で母に会ったり大沼で墓参りする様子を見て、芽生くんも少しお母さんが恋しくなっていると感じている。僕と宗吾さんとの関係は抜きに、芽生くんをこの世に産んだお母さんのことは、やっぱり大切にして欲しい。まだ幼い芽生くんには、やっぱり母の愛情も必要だろう。芽生くんの優しい性格は、確かに愛情をもって育ててもらった証なのだから。
スーツから部屋着に着替えてリビングに行くと、芽生くんはテレビを観ていて、宗吾さんは台所にいた。
「あの、宗吾さん……少しいいですか」
「どうした? あー悪い、今日も鍋だ。許せ。その代わり明日は芽生の誕生日祝いでハンバーグだ」
「はい! あっもしかして石狩鍋ですか」
「そっ、瑞樹も好きだろう」
「もちろんです」
また食べ物の話で終わりそうだったので、慌てて軌道修正した。
「あの……実は……『母の日』のことで相談があって」
「うん? 芽生くんからお母さんにお花を贈っても?」
「えっ玲子に?」
「はい、その手伝いを僕がしてもいいですか」
宗吾さんが、僕の顔をジッと見つめた。
「瑞樹は、それでいいのか」
「はい……僕たちに芽生くんを預けてくれている方ですし、芽生くんをこの世に産んでくれた方なので」
これは本音だ。特に僕は産みの母を亡くしているので、大切にして欲しいと願うのかも。
「そうか、うーん、俺はもう瑞樹と暮していくから、アイツの話は正直したくないが、父親としてはもっと気を配るべきなんだよな。悪いな。瑞樹に気を遣わせて」
宗吾さんが決まり悪そうに自分の髪を撫でた。
「……大丈夫ですよ。僕は……そんなことで、いじけませんから」
「……本当に大丈夫か。無理していないか」
じっと覗き込まれたので、慌てて笑顔を作った。
正直な所は分からない。
彼女と宗吾さんが仲良く並んでいる姿を見て、どう思うか……
大丈夫だという自信はあるようで、ないのかも。
「はい! じゃあ母の日のアレンジメントとして、芽生くんに作れそうなキットを用意してもいいですか」
「あぁ任せるよ」
「あと年に数回はちゃんと会った方が……余計なお世話かもしれませんが」
「ん……それはそうなんだが、どうにも。芽生だけ預けようと思うが、あっちはあっちで新生活をスタートしているしな」
「……微妙ですね」
「まぁ、おいおい考えよう。とりあえず『母の日』からな」
「はい」
こればかりは何が正解で、何が不正解かは分からない。
やってみないと経験してみないと分からないことも多いから。
「さぁ飯だ」
「わーい、お腹空いたよ。そうだお兄ちゃん、ほら、あれ見て」
「あ……兜だ」
「うん、僕のカブトだよーあれ、かぶれるかな」
「くすっ」
その日は芽生くんは明日には一つお兄さんになるから、ひとりで眠ると宣言して、自分の部屋で眠りについた。
「おやすみぃ、おにいちゃん」
「うん、いい夢をみてね」
「卵ボーロの?」
「違うっ!くすっ」
「またつくりたいな。こんどはおにいちゃんもいっしょね」
「うん、いいよ。コツはバッチリ掴めたからね」
芽生くんが眠るまで……僕は見届けた。「宗吾さん、芽生くん眠ったみたいですので、僕もこれで」
リビングで寛いでいた宗吾さんに声をかけると、グイッと腕を掴まれた。
僕が芽生くんを寝かしつけている間に、いつの間にか……ワインを開けたらしい。
テーブルには大きなグラスが二つ。
赤ワインのルージュが間接照明に照らされて、艶めいていた。
誘われているのか──
「瑞樹も明日は休みだろう」
「はい」
「じゃあ、ワインを飲むか」
「……すぐに酔ってしまいますよ」
「酔った君が見たいから、それでいい」
甘く熱い視線を受けると、照れ臭くなってしまう。
こういう時の宗吾さんって目力があって、捕らわれてしまう。
昨日は結局、途中から爆笑大会になってしまったので、今日は大人っぽく?
素直にソファに座ると、宗吾さんもとても嬉しそうな表情を浮かべてくれた。
「大人の時間だな。今日はゆっくりと……君を最後まで抱く」
肩を組まれ耳元で甘く低い声で囁かれると、途端に心拍数が上がる。
宗吾さんはずるい。大人の余裕みたいなのも感じさせて、僕を魅了する。
宗吾さんがグラスワインに口をつける。
「しかも」
「なっ何ですか」
「今日はかなり酔った君を抱きたい」
「あっ……」
口移しにいきなりワインを注がれたので、零さないように必死に嚥下した。
「んッ……急すぎます」
「さっき、君が平然と前妻の話をするから妬いた」
「ん? それ何か違いますよね」
「いや、瑞樹にはもっともっと我儘を言って欲しいんだよ」
「もうっ── じゃあ……今日……僕をしっかり抱いて下さい」
まだほんの少ししか飲んでいないのに、もう酔ってしまったのか。それとも──
「もっと飲むか」
「はい……飲ませて下さい」
口移しの赤ワインの味は、恋をはらんで……ふくよかに口腔内に広がっていく。
何度も何度も飲まされ、酩酊していく。
「零さなかったな。偉いぞ」
宗吾さんに甘い視線で見下ろされて、唇に残ったワインを指の腹で拭われる。
ゾクっとする瞬間だ。
その指を舌でペロッと舐めると、宗吾さんが指を僕の口腔内にそっと差し込んだので、それを優しく吸った。
「誘っているな……」
「かなり……酔っているので」
「いつになく大胆だ」
今度はちゃんとしたキスを交わす。
そこから一気に求め合う。
キス、キス、キスの嵐だ。
そのままキスをしあいながら、僕たちは寝室へと移動して……
そして扉をパタンと閉めた。
昨日の分は『選び選ばれて10に』に内容差し替えております。
以下『選び選ばれて 11』です。
*****
「葉山ちょっといいか」
「はい!」
「明日は休みだろう。よかったらこの花を持って帰ってもらえないか」
「えっ、こんなに?よろしいのですか」
「あぁちょっと余ってしまってね」
「ありがとうございます!」
という訳で、仕事の帰り際に僕は抱えきれない程のアイリスを、リーダーから譲り受けた。
玄関先で、花に埋もれて芽生くんの可愛い顔が見えない程だった。
「おにいちゃん~おかえりなさい。あれれお顔みえないよ」
「うん、ただいま」
「すごいお花の山だね」
「もらったんだよ」
「わぁ……なんていう名前なの?」
「アイリスだよ。アヤメとも……見たことある?」
「うん! 公園で」
「これ、芽生くんのお誕生日プレゼントのひとつにしてあげるね」
「わーい!」
菫色の花びらに黄色い模様がアクセントの美しい花だ。しかもアイリスは芽生くんの誕生日、5月5日の誕生日花なのでちょうどいい。
早速、本棚の『花図鑑』でアイリスの花言葉について調べてみた。
『message(伝言)、hope(希望)、faith(信頼)、friendship(友情)、wisdom(賢さ)』
わぁこれって芽生くんにぴったりだ。芽生くんは本当にまだ小さいのに賢くて、とても明るく前向きだ。この先もずっと……僕と芽生くん……お互いに友情と信頼を持ち続けていきたいね。
この花を使って……明日、アレンジメントを作ろう。
「あっ、そうか」
花言葉と一緒に5月5日『こどもの日』についての説明が書かれていた。
『子供の人格を重んじて幸福を願い、母に感謝する日』
母に感謝する日か……折しも、もうすぐ母の日だ。僕の中では一つの考えがある。そろそろ宗吾さんに話してみようかな。
芽生くんにとってのお母さんはこの世に生きている。だからやっぱりきちんと会う日を設けた方がいいと思うんだ。もしかして宗吾さんは僕に気を遣っているのかもしれないが、もうずっと会っていない。会わせていない。そこが気になって……
僕が函館で母に会ったり大沼で墓参りする様子を見て、芽生くんも少しお母さんが恋しくなっていると感じている。僕と宗吾さんとの関係は抜きに、芽生くんをこの世に産んだお母さんのことは、やっぱり大切にして欲しい。まだ幼い芽生くんには、やっぱり母の愛情も必要だろう。芽生くんの優しい性格は、確かに愛情をもって育ててもらった証なのだから。
スーツから部屋着に着替えてリビングに行くと、芽生くんはテレビを観ていて、宗吾さんは台所にいた。
「あの、宗吾さん……少しいいですか」
「どうした? あー悪い、今日も鍋だ。許せ。その代わり明日は芽生の誕生日祝いでハンバーグだ」
「はい! あっもしかして石狩鍋ですか」
「そっ、瑞樹も好きだろう」
「もちろんです」
また食べ物の話で終わりそうだったので、慌てて軌道修正した。
「あの……実は……『母の日』のことで相談があって」
「うん? 芽生くんからお母さんにお花を贈っても?」
「えっ玲子に?」
「はい、その手伝いを僕がしてもいいですか」
宗吾さんが、僕の顔をジッと見つめた。
「瑞樹は、それでいいのか」
「はい……僕たちに芽生くんを預けてくれている方ですし、芽生くんをこの世に産んでくれた方なので」
これは本音だ。特に僕は産みの母を亡くしているので、大切にして欲しいと願うのかも。
「そうか、うーん、俺はもう瑞樹と暮していくから、アイツの話は正直したくないが、父親としてはもっと気を配るべきなんだよな。悪いな。瑞樹に気を遣わせて」
宗吾さんが決まり悪そうに自分の髪を撫でた。
「……大丈夫ですよ。僕は……そんなことで、いじけませんから」
「……本当に大丈夫か。無理していないか」
じっと覗き込まれたので、慌てて笑顔を作った。
正直な所は分からない。
彼女と宗吾さんが仲良く並んでいる姿を見て、どう思うか……
大丈夫だという自信はあるようで、ないのかも。
「はい! じゃあ母の日のアレンジメントとして、芽生くんに作れそうなキットを用意してもいいですか」
「あぁ任せるよ」
「あと年に数回はちゃんと会った方が……余計なお世話かもしれませんが」
「ん……それはそうなんだが、どうにも。芽生だけ預けようと思うが、あっちはあっちで新生活をスタートしているしな」
「……微妙ですね」
「まぁ、おいおい考えよう。とりあえず『母の日』からな」
「はい」
こればかりは何が正解で、何が不正解かは分からない。
やってみないと経験してみないと分からないことも多いから。
「さぁ飯だ」
「わーい、お腹空いたよ。そうだお兄ちゃん、ほら、あれ見て」
「あ……兜だ」
「うん、僕のカブトだよーあれ、かぶれるかな」
「くすっ」
その日は芽生くんは明日には一つお兄さんになるから、ひとりで眠ると宣言して、自分の部屋で眠りについた。
「おやすみぃ、おにいちゃん」
「うん、いい夢をみてね」
「卵ボーロの?」
「違うっ!くすっ」
「またつくりたいな。こんどはおにいちゃんもいっしょね」
「うん、いいよ。コツはバッチリ掴めたからね」
芽生くんが眠るまで……僕は見届けた。「宗吾さん、芽生くん眠ったみたいですので、僕もこれで」
リビングで寛いでいた宗吾さんに声をかけると、グイッと腕を掴まれた。
僕が芽生くんを寝かしつけている間に、いつの間にか……ワインを開けたらしい。
テーブルには大きなグラスが二つ。
赤ワインのルージュが間接照明に照らされて、艶めいていた。
誘われているのか──
「瑞樹も明日は休みだろう」
「はい」
「じゃあ、ワインを飲むか」
「……すぐに酔ってしまいますよ」
「酔った君が見たいから、それでいい」
甘く熱い視線を受けると、照れ臭くなってしまう。
こういう時の宗吾さんって目力があって、捕らわれてしまう。
昨日は結局、途中から爆笑大会になってしまったので、今日は大人っぽく?
素直にソファに座ると、宗吾さんもとても嬉しそうな表情を浮かべてくれた。
「大人の時間だな。今日はゆっくりと……君を最後まで抱く」
肩を組まれ耳元で甘く低い声で囁かれると、途端に心拍数が上がる。
宗吾さんはずるい。大人の余裕みたいなのも感じさせて、僕を魅了する。
宗吾さんがグラスワインに口をつける。
「しかも」
「なっ何ですか」
「今日はかなり酔った君を抱きたい」
「あっ……」
口移しにいきなりワインを注がれたので、零さないように必死に嚥下した。
「んッ……急すぎます」
「さっき、君が平然と前妻の話をするから妬いた」
「ん? それ何か違いますよね」
「いや、瑞樹にはもっともっと我儘を言って欲しいんだよ」
「もうっ── じゃあ……今日……僕をしっかり抱いて下さい」
まだほんの少ししか飲んでいないのに、もう酔ってしまったのか。それとも──
「もっと飲むか」
「はい……飲ませて下さい」
口移しの赤ワインの味は、恋をはらんで……ふくよかに口腔内に広がっていく。
何度も何度も飲まされ、酩酊していく。
「零さなかったな。偉いぞ」
宗吾さんに甘い視線で見下ろされて、唇に残ったワインを指の腹で拭われる。
ゾクっとする瞬間だ。
その指を舌でペロッと舐めると、宗吾さんが指を僕の口腔内にそっと差し込んだので、それを優しく吸った。
「誘っているな……」
「かなり……酔っているので」
「いつになく大胆だ」
今度はちゃんとしたキスを交わす。
そこから一気に求め合う。
キス、キス、キスの嵐だ。
そのままキスをしあいながら、僕たちは寝室へと移動して……
そして扉をパタンと閉めた。
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