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発展編
北の大地で 13
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俺と瑞樹の二人で旅行なんて初めてだから、柄にもなく緊張していた。
それ程までに、今回の旅行は俺にとって責任重大だった。
瑞樹が軽井沢での事件以降、初めて一人で外に出たいと……大沼に行きたいと言い出した時は、母さんも潤も俺も、皆、大慌てだった。
あの男の本拠地は函館だから、まだどんな飛び火があるかわからない。また何かあったらどうするんだ。アイツは今は捕らわれているが、万が一部下に変な指示でも出していたらと思うと怖くなる。逆恨み程怖いものはない。
そんな理由で、俺たち家族は函館に戻ってきた瑞樹を一人で外に出せなかった。
瑞樹は子供じゃない。もう立派な青年だ。だから過保護過ぎると自覚はしていたが、家族の誰もがそれを望み、瑞樹も俺たちの気持ちを素直に受け入れてくれていた。
「兄さんと旅行出来るなんて嬉しいよ」
「そうだな」
ニコっと微笑む彼につられて、俺もニカっと笑ってしまう。お前の笑顔は陽だまりのようにあたたかく優しいよ。
瑞樹は……今でこそ健康そうな頬を取り戻したが、函館に戻ってきた当初はまだ外傷も痛々しく、辛く硬い表情だった。そのせいもあり最初の1~2週間はぼんやりと窓の外を眺めて過ごしていた。やがて徐々に生気を取り戻し、店の奥でアレンジメント作りをしてくれるようになった。
やっぱり瑞樹は花に触れている時が一番いい表情だ。
お前……本当に花が好きなんだな。花の方も瑞樹に触れてもらうのが嬉しそうに見える。
花にも人にも愛されている……それが瑞樹だ。
潤の方も瑞樹に手取り足取り教えてもらえるのが嬉しいようで、二人の弟が共同作業するのは和やかで微笑ましかった。
にしても、潤……こんな素直な奴だったっけ?
もう可愛い弟以外の何者でもないよな。急に人が変わったようで、こっちが驚く程だ。
母もそんな光景を眩しそうに眺め、俺も店先で上機嫌だった。特にクリスマスには瑞樹と潤の合作のアレンジメントが飛ぶように売れて、嬉しい悲鳴だったぞ。
函館に一時的とはいえ瑞樹が戻ってきてくれたお陰で、瑞樹という存在自体が俺たち家族をどんなに幸せにしてくれているかということに気づけた。
そんな俺たちの大事な瑞樹は、クリスマスに宗吾さんが訪ねて来てくれた時、まるで花開くような蕩ける笑顔を浮かべた。
そして……新しい年を迎えた瑞樹の願いは「大沼行き」だった。
函館でかなり窮屈な思いをさせているのは重々承知だった。だからもしかしたら、遠く離れた大沼なら、もう少し自由にゆったりとした気持ちで静養できるのでは。とりあえず今回は一泊だが、実は母とその先のことも相談していた。瑞樹が希望したら大沼での長期静養も視野に入れている。
俺として少し寂しいが。瑞樹のためを思えば悪くないのかもな。
こうやって大沼の長閑な雰囲気と澄んだ空気を直に感じると、漠然としていた決意が固まって来る。
今日泊まるペンションは瑞樹が生まれ育った家だ。母が瑞樹の過去を調べているうちに、生まれ育った家が売りに出され、そのままペンションになっているのを見つけてくれたのだ。
今日……思い出が募る場所で、果たして何を思い出すか。
嬉しさ? 哀しみ……切ない気持ち?
どんな反応でも、俺が全力で守る覚悟だ。もちろん俺はあくまでも兄の立場で、東京にいる宗吾の代わりだがな。海外出張中のあいつからも今回の大沼行きの件は、くれぐれも頼まれている。
しかしペンションの前に着いても瑞樹の記憶は戻ってこないようで、真っ白な雪の間から覗く若草色の屋根がいい色だと談話するに留まった。チェックインしている間も瑞樹はぼんやりと内部を見回すだけで、特に変化はなかった。
なぁ……まだ思い出せないのか。もう我慢せずに思い出してもいいんだぞ。ずっと封印して沈めていた気持ちだろう。
鍵を持って歩く廊下の壁には、大沼の四季を映した写真パネルが一定間隔で飾られていた。
「へぇ、どれもいい写真だな」
「本当に。なんだか魅入ってしまうよ」
白い額縁の中の景色には、『愛情』というフィルターがかかっているように思えた。瑞樹もその写真に過敏に反応していた。
「兄さん、もう少し見ていてもいい?」
「あぁ」
もう部屋に目の前だったので、一旦部屋に荷物を置きに行くことにした。それからもう一度瑞樹の元に戻って、あっと驚いた。
瑞樹が見知らぬ男と話しているじゃないか。(正確にはチェックインを担当していたペンションのスタッフだが)
しかも瑞樹が泣いているじゃないか。
思わずツカツカと間に入り瑞樹を背中に隠し、相手の胸倉をつかんでしまった。
何者だ? 何で瑞樹を泣かす?
「おい! あんた、なんで瑞樹を泣かせたんだよ! 」
「あっ兄さん、違うんだ。彼は僕の小学校の同級生で……」
「何だって?」
****
「ごめんな、早とちりして」
「大丈夫だよ。それより驚いたよ。あの写真が……その……亡くなった……が……撮影した物だったなんて」
遠慮がちに言葉を選ぶ様子が瑞樹らしい。そんなこといちいち気にしなくてもいいのに。
「瑞樹、何を遠慮する。お前には二人の母がいるんだろう」
「兄さん……うん、そうだね」
「ここには何のために来たと? 10歳までの瑞樹の欠片を拾いに来たんだぞ」
「ありがとう。そうだ……あとでセイが唯一当時のまま残っている部屋を案内してくれるって」
「良かったな」
ペンション内部は流石に老朽化し少しずつ手を入れているそうだ。瑞樹が生活していた頃の面影はあまり残っていないようで、瑞樹の記憶も朧気なままだった。
「さぁ疲れただろう。少し休むか」
「そうだね、ごめん。少し横になろうかな」
ほんの少しだが……瑞樹の顔色が悪いことに気が付いた。あの事件以来、外傷は指先の麻痺を残すだけで、すっかり癒えたが、まだ本調子でないことを静かに物語っていた。
電車に乗ったり見知らぬ人と接するのが、知らず知らずのうちに心の負担になっているに違いない。見えない傷って結構根深いんだよな。すぐに荒治療をしたので大部分の棘は抜けたと宗吾さんから聞いていたが、まだ完璧とはいえない。
やっぱり瑞樹は冬眠して休まないと駄目だな。
環境がいい、こんな場所で……
「兄さん……」
「なんだ?」
「兄さんと一緒に旅行してみたかったから、今日は本当に嬉しいよ」
「俺もだよ。次は宗吾と来いよ」
「……ありがとう。そうだね。春になったらきっと……」
うとうと微睡む弟の寝顔を、いつまでも眺めていたい気分だった。
それ程までに、今回の旅行は俺にとって責任重大だった。
瑞樹が軽井沢での事件以降、初めて一人で外に出たいと……大沼に行きたいと言い出した時は、母さんも潤も俺も、皆、大慌てだった。
あの男の本拠地は函館だから、まだどんな飛び火があるかわからない。また何かあったらどうするんだ。アイツは今は捕らわれているが、万が一部下に変な指示でも出していたらと思うと怖くなる。逆恨み程怖いものはない。
そんな理由で、俺たち家族は函館に戻ってきた瑞樹を一人で外に出せなかった。
瑞樹は子供じゃない。もう立派な青年だ。だから過保護過ぎると自覚はしていたが、家族の誰もがそれを望み、瑞樹も俺たちの気持ちを素直に受け入れてくれていた。
「兄さんと旅行出来るなんて嬉しいよ」
「そうだな」
ニコっと微笑む彼につられて、俺もニカっと笑ってしまう。お前の笑顔は陽だまりのようにあたたかく優しいよ。
瑞樹は……今でこそ健康そうな頬を取り戻したが、函館に戻ってきた当初はまだ外傷も痛々しく、辛く硬い表情だった。そのせいもあり最初の1~2週間はぼんやりと窓の外を眺めて過ごしていた。やがて徐々に生気を取り戻し、店の奥でアレンジメント作りをしてくれるようになった。
やっぱり瑞樹は花に触れている時が一番いい表情だ。
お前……本当に花が好きなんだな。花の方も瑞樹に触れてもらうのが嬉しそうに見える。
花にも人にも愛されている……それが瑞樹だ。
潤の方も瑞樹に手取り足取り教えてもらえるのが嬉しいようで、二人の弟が共同作業するのは和やかで微笑ましかった。
にしても、潤……こんな素直な奴だったっけ?
もう可愛い弟以外の何者でもないよな。急に人が変わったようで、こっちが驚く程だ。
母もそんな光景を眩しそうに眺め、俺も店先で上機嫌だった。特にクリスマスには瑞樹と潤の合作のアレンジメントが飛ぶように売れて、嬉しい悲鳴だったぞ。
函館に一時的とはいえ瑞樹が戻ってきてくれたお陰で、瑞樹という存在自体が俺たち家族をどんなに幸せにしてくれているかということに気づけた。
そんな俺たちの大事な瑞樹は、クリスマスに宗吾さんが訪ねて来てくれた時、まるで花開くような蕩ける笑顔を浮かべた。
そして……新しい年を迎えた瑞樹の願いは「大沼行き」だった。
函館でかなり窮屈な思いをさせているのは重々承知だった。だからもしかしたら、遠く離れた大沼なら、もう少し自由にゆったりとした気持ちで静養できるのでは。とりあえず今回は一泊だが、実は母とその先のことも相談していた。瑞樹が希望したら大沼での長期静養も視野に入れている。
俺として少し寂しいが。瑞樹のためを思えば悪くないのかもな。
こうやって大沼の長閑な雰囲気と澄んだ空気を直に感じると、漠然としていた決意が固まって来る。
今日泊まるペンションは瑞樹が生まれ育った家だ。母が瑞樹の過去を調べているうちに、生まれ育った家が売りに出され、そのままペンションになっているのを見つけてくれたのだ。
今日……思い出が募る場所で、果たして何を思い出すか。
嬉しさ? 哀しみ……切ない気持ち?
どんな反応でも、俺が全力で守る覚悟だ。もちろん俺はあくまでも兄の立場で、東京にいる宗吾の代わりだがな。海外出張中のあいつからも今回の大沼行きの件は、くれぐれも頼まれている。
しかしペンションの前に着いても瑞樹の記憶は戻ってこないようで、真っ白な雪の間から覗く若草色の屋根がいい色だと談話するに留まった。チェックインしている間も瑞樹はぼんやりと内部を見回すだけで、特に変化はなかった。
なぁ……まだ思い出せないのか。もう我慢せずに思い出してもいいんだぞ。ずっと封印して沈めていた気持ちだろう。
鍵を持って歩く廊下の壁には、大沼の四季を映した写真パネルが一定間隔で飾られていた。
「へぇ、どれもいい写真だな」
「本当に。なんだか魅入ってしまうよ」
白い額縁の中の景色には、『愛情』というフィルターがかかっているように思えた。瑞樹もその写真に過敏に反応していた。
「兄さん、もう少し見ていてもいい?」
「あぁ」
もう部屋に目の前だったので、一旦部屋に荷物を置きに行くことにした。それからもう一度瑞樹の元に戻って、あっと驚いた。
瑞樹が見知らぬ男と話しているじゃないか。(正確にはチェックインを担当していたペンションのスタッフだが)
しかも瑞樹が泣いているじゃないか。
思わずツカツカと間に入り瑞樹を背中に隠し、相手の胸倉をつかんでしまった。
何者だ? 何で瑞樹を泣かす?
「おい! あんた、なんで瑞樹を泣かせたんだよ! 」
「あっ兄さん、違うんだ。彼は僕の小学校の同級生で……」
「何だって?」
****
「ごめんな、早とちりして」
「大丈夫だよ。それより驚いたよ。あの写真が……その……亡くなった……が……撮影した物だったなんて」
遠慮がちに言葉を選ぶ様子が瑞樹らしい。そんなこといちいち気にしなくてもいいのに。
「瑞樹、何を遠慮する。お前には二人の母がいるんだろう」
「兄さん……うん、そうだね」
「ここには何のために来たと? 10歳までの瑞樹の欠片を拾いに来たんだぞ」
「ありがとう。そうだ……あとでセイが唯一当時のまま残っている部屋を案内してくれるって」
「良かったな」
ペンション内部は流石に老朽化し少しずつ手を入れているそうだ。瑞樹が生活していた頃の面影はあまり残っていないようで、瑞樹の記憶も朧気なままだった。
「さぁ疲れただろう。少し休むか」
「そうだね、ごめん。少し横になろうかな」
ほんの少しだが……瑞樹の顔色が悪いことに気が付いた。あの事件以来、外傷は指先の麻痺を残すだけで、すっかり癒えたが、まだ本調子でないことを静かに物語っていた。
電車に乗ったり見知らぬ人と接するのが、知らず知らずのうちに心の負担になっているに違いない。見えない傷って結構根深いんだよな。すぐに荒治療をしたので大部分の棘は抜けたと宗吾さんから聞いていたが、まだ完璧とはいえない。
やっぱり瑞樹は冬眠して休まないと駄目だな。
環境がいい、こんな場所で……
「兄さん……」
「なんだ?」
「兄さんと一緒に旅行してみたかったから、今日は本当に嬉しいよ」
「俺もだよ。次は宗吾と来いよ」
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