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発展編
Let's go to the beach 1
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季節は巡り梅雨を通り越し、あっという間に夏になっていた。
俺と瑞樹の間に生まれた恋は、あの原っぱピクニック以降も順調に続行中だ。
『大切に育む』という言葉が一番似合う『優しい恋』をしている。
今までの俺には一番縁遠かった世界を、瑞樹と共に歩み続けている。
****
「瑞樹おはよう!」
「そ……宗吾さん、おはようございます。あの、今日も暑くなりそうですね」
瑞樹は最近になってやっと俺のことを『ソウゴさん』と呼んでくれるようになった。いつまでも『滝沢さん』のままでは余所余所しいだろう。
「よし!今日もちゃんと呼べたな。本当に暑いよな。台風が直撃しないのは助かるが、その影響で関東はすごい猛暑になっているし」
「もう駅までで汗びっしょりですね。あぁ暑い。僕はいつまで経ってもこっちの夏は苦手です」
額の汗を拭いながら眩しそうに空を見上げる瑞樹を、今朝も優しく穏やかな気持で見守る。
この俺が未だに瑞樹とはキス止まりだなんて信じられないよ。野獣になって一気に事を進めたい気持ちはもちろんあるが、瑞樹はそういう強引な行為は望んでいない気がして、踏み出せないでいた。
だからじっと大人しく待っている。なんだか自分が随分可愛い男になったようだ。だがこのままではあっという間に、この状態で年を越すことになりそうだ。ここは大人の男としてこの夏に一気に関係を深めたい所だが……果たして上手くいくのか。
「ところで瑞樹は夏休みをいつ取る?お盆にかけてか」
「いえ、僕はお盆はずらして、お盆休み明けの土日を挟んで取得予定です。うちの会社はお盆期間の休暇は遠方に帰省する人が優先なので」
「ふぅん……ってことは、瑞樹は帰省しないのか」
「え?」
「だって函館に実家があるんだし、向こうはこっちより涼しいだろう。あー北海道なんて羨ましいよ」
「……」
あれ?俺、何か余計なこと言ったか。瑞樹が黙りこくってしまった。
「瑞樹?」
「あっすいません。今年は帰る予定はなくて……その、五月に兄に会ったばかりだし」
「あぁそれもそうか。君のお兄さんは実に面白かった」
「兄はいつもあんな感じで……あっそれより宗吾さんの夏休みはいつなんですか」
おっ!いいこと聞いてくれたな。
「俺もその週だ。つまり君と夏休みがダブっている」
「そうなんですね!それは嬉しいです」
ニコっと瑞樹が笑ってくれるので、すかさず勢いでデートにも誘う。
「あのさ、芽生がずっと海に行きたいって言っているのだが、よかったら一緒に行かないか」
「海ですか」
「何か不都合でも?」
「その……実は海にちゃんと遊びに行ったことがなくて。だから大丈夫かな。芽生くんの遊び相手になれるかな。足手まといになりませんか」
「とんでもない。ますます連れて行きたくなるよ。瑞樹にも海を見せてやりたい。それでだな……もしよかったら近場に一泊しないか。あぁもちろん芽生も一緒の部屋だから安心してくれ」
おいおい何を安心しろと言っているのか。もう、しどろもどろで大の男が情けない。「もっとビシッと誘えよ」と自分を叱咤激励したくなる。
「えっ一泊ですか。あぁそうですよね。確かに小さな芽生くんに海への日帰りはキツイですよね。了解です」
瑞樹の方は芽生のことで頭が一杯のようだ。
うーむ、もっと俺を意識してくれよと朝から叫びたくなるぞ。
でも瑞樹がその気になってくれたのだから、ヨシとしよう。
「じゃあ、OKだな。行先は俺に一任してもらっていいか」
「もちろんです!僕は海のことは分からないので」
よしよし、今年の夏休みは楽しくなりそうだ。
****
瑞樹と行くのなら、洒落たホテルを予約しなくては。
綺麗な海といえば、この辺りだと神奈川の葉山マリーンあたりはどうだろう。ヨットハーバーに灯台もあり海外リゾートのような雰囲気で以前から気に入っている。それに『葉山』という地名が最高にいいだろう。瑞樹の姓と一緒だし縁がありそうだ。
早速いそいそとネットで調べてみたが、八月のホテルは稼働率がすさまじく空いている部屋が見つからなかった。
くそっ、せっかく瑞樹も乗り気なのに。
がっかりした足取りで実家に芽生を迎えに行くと、俺のしょげかえった気配を母がすぐに察してくれた。
「あら宗吾さんってば、何をそんなに落ち込んでいるの?」
「そうだ。母さん、どこか葉山の宿を知りませんか。確か昔よく父さんと行っていましたよね」
「葉山?あぁ芽生と旅行に行くのね」
「えぇ、幼稚園が夏休みで、ずっとここに預かってもらってばかりですいません」
「いいのよ。ただ私も映画や水族館には連れて行ってあげられるけれども、流石にもう海は厳しいと思っていたのよ。ちょうど芽生も海に行きたいと言っていたし、これは父親であるあなたの役目ね」
確かにそうだ。父親として芽生にはいろんな体験をさせたい。
「で、今から取れそうな宿に心当たりはありませんか」
「そうねぇ……もしかしたらあそこなら直前でも取れるかも」
「どこです?」
「葉山の保養所よ。お父さんの会社も会員になっていて遺族でも使えるのよ。穴場だから空いているかもしれないわ」
****
夜になって母にもらったパンフレットと睨めっこしていると、芽生が不思議そうに覗き込んで来た。
「パパ?こわいお顔してどうしたの?さっきからなにを見ているの?」
「あぁ実は夏休みにここに泊まりにいこうと思ってな。なぁ……ここでもいいか。もっとお洒落なオン・ザ・ビーチの洋風なホテルにパパはしたかったが」
パンフレットの写真を芽生に見せると、パッと目を輝かせた。
「うわぁー『たたみ』のおへやだ。ここにとまるの?すごーい」
おぉそうか、そこに食いつくのか。じゃあよしとするか。
母に紹介されたホテルは葉山は葉山でも少し古びた保養所だった。まぁ和室の十畳、定員は五人だから、広さも人数もクリアしているし、浴衣姿の瑞樹や水着姿の瑞樹を想像すると鼻血が出そうだ。
「楽しみーパパ。おにいちゃんもいく?」
「もちろんだ!」
「やったぁ!」
よしっ、行くからには楽しもう!
何しろ瑞樹と初めての旅行になるわけだしな。
まるで遠足前の子供のように、ワクワクした気持ちで一杯だ。
本当に瑞樹はすごい。三十過ぎた男をこんな気持ちにさせるのだから。
新緑~梅雨~初夏と季節を跨いで、君のことがますます好きになる。
恋から愛へと深まっていく。
****
今日から新しい段に突入しました。今回は季節が大幅にずれてしまいましたが夏休みの番外編的な楽しいお話にしたいと思っています。よろしくお願いします。
俺と瑞樹の間に生まれた恋は、あの原っぱピクニック以降も順調に続行中だ。
『大切に育む』という言葉が一番似合う『優しい恋』をしている。
今までの俺には一番縁遠かった世界を、瑞樹と共に歩み続けている。
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「瑞樹おはよう!」
「そ……宗吾さん、おはようございます。あの、今日も暑くなりそうですね」
瑞樹は最近になってやっと俺のことを『ソウゴさん』と呼んでくれるようになった。いつまでも『滝沢さん』のままでは余所余所しいだろう。
「よし!今日もちゃんと呼べたな。本当に暑いよな。台風が直撃しないのは助かるが、その影響で関東はすごい猛暑になっているし」
「もう駅までで汗びっしょりですね。あぁ暑い。僕はいつまで経ってもこっちの夏は苦手です」
額の汗を拭いながら眩しそうに空を見上げる瑞樹を、今朝も優しく穏やかな気持で見守る。
この俺が未だに瑞樹とはキス止まりだなんて信じられないよ。野獣になって一気に事を進めたい気持ちはもちろんあるが、瑞樹はそういう強引な行為は望んでいない気がして、踏み出せないでいた。
だからじっと大人しく待っている。なんだか自分が随分可愛い男になったようだ。だがこのままではあっという間に、この状態で年を越すことになりそうだ。ここは大人の男としてこの夏に一気に関係を深めたい所だが……果たして上手くいくのか。
「ところで瑞樹は夏休みをいつ取る?お盆にかけてか」
「いえ、僕はお盆はずらして、お盆休み明けの土日を挟んで取得予定です。うちの会社はお盆期間の休暇は遠方に帰省する人が優先なので」
「ふぅん……ってことは、瑞樹は帰省しないのか」
「え?」
「だって函館に実家があるんだし、向こうはこっちより涼しいだろう。あー北海道なんて羨ましいよ」
「……」
あれ?俺、何か余計なこと言ったか。瑞樹が黙りこくってしまった。
「瑞樹?」
「あっすいません。今年は帰る予定はなくて……その、五月に兄に会ったばかりだし」
「あぁそれもそうか。君のお兄さんは実に面白かった」
「兄はいつもあんな感じで……あっそれより宗吾さんの夏休みはいつなんですか」
おっ!いいこと聞いてくれたな。
「俺もその週だ。つまり君と夏休みがダブっている」
「そうなんですね!それは嬉しいです」
ニコっと瑞樹が笑ってくれるので、すかさず勢いでデートにも誘う。
「あのさ、芽生がずっと海に行きたいって言っているのだが、よかったら一緒に行かないか」
「海ですか」
「何か不都合でも?」
「その……実は海にちゃんと遊びに行ったことがなくて。だから大丈夫かな。芽生くんの遊び相手になれるかな。足手まといになりませんか」
「とんでもない。ますます連れて行きたくなるよ。瑞樹にも海を見せてやりたい。それでだな……もしよかったら近場に一泊しないか。あぁもちろん芽生も一緒の部屋だから安心してくれ」
おいおい何を安心しろと言っているのか。もう、しどろもどろで大の男が情けない。「もっとビシッと誘えよ」と自分を叱咤激励したくなる。
「えっ一泊ですか。あぁそうですよね。確かに小さな芽生くんに海への日帰りはキツイですよね。了解です」
瑞樹の方は芽生のことで頭が一杯のようだ。
うーむ、もっと俺を意識してくれよと朝から叫びたくなるぞ。
でも瑞樹がその気になってくれたのだから、ヨシとしよう。
「じゃあ、OKだな。行先は俺に一任してもらっていいか」
「もちろんです!僕は海のことは分からないので」
よしよし、今年の夏休みは楽しくなりそうだ。
****
瑞樹と行くのなら、洒落たホテルを予約しなくては。
綺麗な海といえば、この辺りだと神奈川の葉山マリーンあたりはどうだろう。ヨットハーバーに灯台もあり海外リゾートのような雰囲気で以前から気に入っている。それに『葉山』という地名が最高にいいだろう。瑞樹の姓と一緒だし縁がありそうだ。
早速いそいそとネットで調べてみたが、八月のホテルは稼働率がすさまじく空いている部屋が見つからなかった。
くそっ、せっかく瑞樹も乗り気なのに。
がっかりした足取りで実家に芽生を迎えに行くと、俺のしょげかえった気配を母がすぐに察してくれた。
「あら宗吾さんってば、何をそんなに落ち込んでいるの?」
「そうだ。母さん、どこか葉山の宿を知りませんか。確か昔よく父さんと行っていましたよね」
「葉山?あぁ芽生と旅行に行くのね」
「えぇ、幼稚園が夏休みで、ずっとここに預かってもらってばかりですいません」
「いいのよ。ただ私も映画や水族館には連れて行ってあげられるけれども、流石にもう海は厳しいと思っていたのよ。ちょうど芽生も海に行きたいと言っていたし、これは父親であるあなたの役目ね」
確かにそうだ。父親として芽生にはいろんな体験をさせたい。
「で、今から取れそうな宿に心当たりはありませんか」
「そうねぇ……もしかしたらあそこなら直前でも取れるかも」
「どこです?」
「葉山の保養所よ。お父さんの会社も会員になっていて遺族でも使えるのよ。穴場だから空いているかもしれないわ」
****
夜になって母にもらったパンフレットと睨めっこしていると、芽生が不思議そうに覗き込んで来た。
「パパ?こわいお顔してどうしたの?さっきからなにを見ているの?」
「あぁ実は夏休みにここに泊まりにいこうと思ってな。なぁ……ここでもいいか。もっとお洒落なオン・ザ・ビーチの洋風なホテルにパパはしたかったが」
パンフレットの写真を芽生に見せると、パッと目を輝かせた。
「うわぁー『たたみ』のおへやだ。ここにとまるの?すごーい」
おぉそうか、そこに食いつくのか。じゃあよしとするか。
母に紹介されたホテルは葉山は葉山でも少し古びた保養所だった。まぁ和室の十畳、定員は五人だから、広さも人数もクリアしているし、浴衣姿の瑞樹や水着姿の瑞樹を想像すると鼻血が出そうだ。
「楽しみーパパ。おにいちゃんもいく?」
「もちろんだ!」
「やったぁ!」
よしっ、行くからには楽しもう!
何しろ瑞樹と初めての旅行になるわけだしな。
まるで遠足前の子供のように、ワクワクした気持ちで一杯だ。
本当に瑞樹はすごい。三十過ぎた男をこんな気持ちにさせるのだから。
新緑~梅雨~初夏と季節を跨いで、君のことがますます好きになる。
恋から愛へと深まっていく。
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今日から新しい段に突入しました。今回は季節が大幅にずれてしまいましたが夏休みの番外編的な楽しいお話にしたいと思っています。よろしくお願いします。
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