重なる月

志生帆 海

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16章

翠雨の後 27

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 安志さんの大きな手で身体を辿られると、僕の身体は過敏に反応し出した。

 平らな胸を揉まれ、腰から下腹部に向かって、いつもより時間をかけて弄られると、ゾクゾクしてきた。

「あっ、待って! そこはっ……」
「気持ちいいか」
「……うん」
「じゃあ、こっちは?」
「あぁっ」

 身体が跳ねる度に、背中と胸元にうっすら汗をかいた。

 身体が温まるにつれて、不安はどんどん消えていった。

 気持ちよくしてもらうと、もう何も考えられなくなる。

 ようやくここ数日のモヤモヤから抜け出ることが出来て、ホッとした。

「涼、今は感じることだけに集中して」
「んっ……んっ」

 次に足を大きく広げられ、安志さんの下半身をぐぐっと押しつけられた。手はまだ頭上でひと纏めにされているので、とても卑猥なポーズを取っている。そのことに気づくと頬が火照った。でも隠せない。

「涼、顔……よく見せて」

 実は……僕は強引な安志さんも好きだ。

 男らしさ全開で僕を貪る様子に、クラクラする。

 安志さんがこんな風に僕を抱くのは久しぶりだ。

 あの日ビリーにキスされた日以来かも……

 あれからモデルの仕事がますます多忙になり、身体に痕をつけることがタブーになってしまったので、いつもソフトにしか抱いてもらえなかった。

 だから、嬉しい。

 今回のゴシップネタを怨んだりもしたが、今は違う境地だ。

 安志さんとの愛を深める時間が出来た。

 そう思えば、心が軽くなるよ。

 一際大きくなった安志さんのものを感じ、思わず感嘆の溜め息を漏らしてしまった。

「安志さんの……大きい」
「サンキュ! 涼のも可愛く勃ちあがっているよ」
「あれ……したいな」

 あの日みたいに一緒に気持ち良くなりたい。

 そう目で訴えると、安志さんが頭上での拘束を解き、二人の性器を大きな手で一纏めに握って、上下に扱いてくれた。

「あっ、あっ……うっ……」
 
 僕も男だから、この刺激はかなり来る!

 僕も手を添えて、一緒に動かした。

「涼、上手だ……そのまま……もっと動かして」
「ハッ……ううっ」

 腰に甘い痺れがじわじわと駆け上がってくる。

 すぐに限界に達してしまうよ。

 久しぶりの刺激に身体は素直に反応し、あっという間に二人共弾けてしまった。

「あっ、あぁ――」

 生暖かい飛沫が僕の腹に広がったのを確認すると、二人で肩で息をして微笑みあった。

「俺たち、だいぶ溜っていたな」
「うん……なんかスッキリした」
「涼、まだこれからだぞ?」
「え? まさかっ」

 安志さんの股間を慌てて確認すると、瞬時に復活していた。

「あはっ、やっぱりタフだね! 安志さんはすごい!」
「やっと笑ったな、涼」
「うん! 僕の彼氏はToughでBigなアレを持っている!」
「おぉ、最高の褒め言葉だ」

 じゃれ合うように抱き合って、僕は自ら足を広げた。

「安志さん……入れて欲しい」
「どこに?」
「……ずるい」
「涼の口から聞きたい」
「……ここに……いれて……」
「了解! 久しぶりだから、まずは指からな」
「うん」

****

 雲隠れしていた月光が、俺たちの客間を静かに照らした。

 浮き上がるのは涼の白い肢体。

 涼、涼……好きだ。

 その想いをぶつけるように、俺は月明かりの下で、涼の身体を攻め続けた。

 いつになく性急に強引に抱いている自覚はある。

 涼は嫌がらない。
 
 むしろいつもより感じてくれている。

 モデルをしていることもありセーブしてしまうが、今宵は別だ。

 ここは月影寺。

 どんなに声を出しても、月しか見ていない。

 悲しみも寂しさも苦しさも、すべて月が浄化してくれる。

 俺は洋を通して、それを知っている。

 今宵、この寺で傷心の涼を抱く意味。

 それを感じながら、まだ幼さが残る若い身体を揺らした。

 全部吐き出せ。

 涼が抱えているもの、俺の熱と引き換えに出してしまうといい。



 

 

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