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14章
よく晴れた日に 17
しおりを挟む「ベースはジンとベルモット。更にレモンジュースだ。レモンピールで三日月を表現してもらったよ」
「とても綺麗だ」
「今日の洋によく似合う」
「ありがとう。丈……乾杯しようか。えっと、何にしたら?」
丈も同じカクテルを持ち上げ、囁いた。
「新しい私達に乾杯を」
「新しい?」
「あぁ……私達は二人で変わる」
「うん、丈、お前と一緒なら、俺は何も怖くない」
二つの月が重なれば、幸せな時間が生まれることを知ったよ。
「丈、今までありがとう。そして、これからもよろしくな」
「洋、私の方こそ、ありがとう。頼りにしている」
頼りにしているか……それは、とてもとても素敵な言葉だ。
****
「流……そんなに見るな」
総檜風呂に浸かると、流の視線が待っていましたとばかりに痛い程突き刺さってきた。
「翠に触れてはいけないんだろ? ならば……見るしかないじゃないか」
「そうじゃなくて……お前の視線は鋭いから、刺さるんだ」
流の視線が湯船に静めた身体の隅々をゆっくりと辿っていくのに、居たたまれなくなってきた。
「も、もう見るな」
結局……根負けして、流と唇を重ねて視界を遮った。
「んっ……」
すぐに流が逞しい腕で、僕を抱きしめてくれる。
「あっ……」
火照った身体を重ね、唇を深く重ねて、情を交わす。
流はそっと僕の胸に触れ……火傷痕のケロイドにも優しく触れてくれるので、泣きそうになった。
「そこは……」
「どんな翠でも、綺麗なままだ……そう思っていつも接してきた」
「そうだったな。お前は一度も目を逸らさなかったな」
「翠だから、憧れ続けた翠の身体だから」
左目下にキス、首筋にキス、脇の下にもキス……
「何をして?」
「俺の星を辿っている」
「な……もしかして……ホクロを?」
「そうだ。全部知っている……翠には見えない所まで」
流が僕の身体を反転させ、肩甲骨にもキスを落とした。
そんな場所にもあるのか。
僕以上に、僕を知るのが流だ。
「あぁ……」
震えてしまう、過敏に反応してしまう。
欲しくなって、お前が欲しくなって溜まらなくなる。
「俺を求めろ、翠」
その言葉が合図だ。
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