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14章
心通わせて 5
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「丈……今日も不思議な縁を感じたな」
母屋から離れに戻り、ようやく丈と二人きりになった。
「この世は見えない縁によって導かれているようなものだ。それを私たちは一番よく知っているだろう」
「そうだな、特に強い過去からの縁を持つ俺たちだもんな」
もうだいぶ朧気になってきているが、確かにあった過去との邂逅。
洋月やヨウ将軍のことは、忘れない。
だが、もう彼らの気配を感じることはなかった。
きっとそれぞれが、それぞれの場所に根差して生きているからだろう。
俺もこうやって、どんどん自分の居場所を作っている。
しかし……まさかお祖母様から譲られることになった由比ヶ浜の家が、翠さんと流さんにも縁があったなんて驚いた。
海里先生という方は、どんな人だったのだろう。生涯を共にした柊一さんという方にも興味がある。
俺と丈も、彼らのように穏やかに歳を取りたい。
もう一生分の苦労は背負った。だから願わずにはいられない。
平穏無事な日々が、一日でも長く続きますように。
「洋、ちょっと来い」
「何?」
丈の前に立つと突然シャツの襟ぐりをグイと引っ張られて、中を覗かれた。
「‼」
「ふっ、やはり丸見えだな」
「な! また、さっきの話をぶり返すつもり?」
「ぶり返す? 私は今になって、ようやく見られたのに?」
も、もうお前はいつもそんなことばかり。
俺は今、真剣にしんみりとお前との未来を考えていたのに……!
先ほどまでお祖母様の家ではスーツを決めて、ビシッとしていたのが台無しだ。でも憎めない。それに丈の視線を浴びた乳首は、触られてもいないのにツンと立ち上がっていた。
「見たからには……せ、責任取れよ」
「あぁ、もちろん」
「でもシャワーを浴びさせてくれよ」
「どうせ汗だくになるのだろう」
「もう――」
****
「翠……翠、その涙の理由を教えてくれよ」
「この涙か、これは嬉しいからだよ。今、流とこうやって唇を重ねられることが」
「あぁ……俺もだ。触れたいと思うと翠が触れてくれる。それが嬉しくてな」
僕の膝枕で眠る流の髪を、手櫛で梳いてやった。
髪が随分伸びたな。いつも濃紺の組紐で結わいているが、解くと結構な長さだろう。
「なぁ……流はどうして髪を伸ばしている? 大学生になってからかな、ずっとだね」
「……最初は願掛けだった」
髪には神様が宿ると言われている。髪を伸ばす、つまり髪を切るのを断つことにより、願いの効果を強くするという方法があるのだ。
「ふぅん、何を願ったんだ?」
「おい、翠は意地悪だな。今更聞く?」
突然視界が反転した。
「えっ?」
膝枕してあげていたはずの流が、僕を真上から見下ろしている。
「翠……もう少し触れさせてくれ」
首筋を舌でべろりと舐め挙げられ、ぞくぞくと身体が期待に震える。
そこはとても弱い場所だから、過敏に反応してしまう。
そのまま浴衣の襟をバッと開かれた。袈裟と違って容易に乱れていく姿に唖然とした。
気付くと平らな胸が、月光に晒されていた。
覆い被さっていた流が、勢いよく乳首をぺろりと舐めて、腰が跳ねた。
「ん……っ」
抗えない快楽の波に、また飲み込まれてしまう。
「昼は途中までだったろう。直に触れてさせてくれ、見せてくれ……吸わせてくれ」
「こ、言葉が卑猥だ!」
流が僕の胸を愛おしげにちろちろ舐めて、しゃぶってくる。
「りゅ、流……」
「何故咎める? さっき翠だって怒っていたじゃないか。僕のを見ればいいと」
「も、もう――だからってこんな場所で……」
「ここだからだ。ここは俺たちだけの場所だから、俺たちの家が完成したら部屋に連れ込んで翠を裸に剥くのに……これでもかなり我慢しているんだ!」
苦しげに呻く弟の姿が、何だか可愛くなってきた。
「分かったよ。お前は、そんなにここを吸いたかったのか。いいよ……流の好きにしたらいい」
僕は流に相当甘い……それは分かっている。
僕も気持ちが良くなってしまうので、もう抗えない。
洋くんの問題がいい方向に収まり安堵したのか……いつもよりも寛大に流に流されていく僕がいた。
こんな夜もいい。
二人は心を寛がせ……互いに求め合っていく。
母屋から離れに戻り、ようやく丈と二人きりになった。
「この世は見えない縁によって導かれているようなものだ。それを私たちは一番よく知っているだろう」
「そうだな、特に強い過去からの縁を持つ俺たちだもんな」
もうだいぶ朧気になってきているが、確かにあった過去との邂逅。
洋月やヨウ将軍のことは、忘れない。
だが、もう彼らの気配を感じることはなかった。
きっとそれぞれが、それぞれの場所に根差して生きているからだろう。
俺もこうやって、どんどん自分の居場所を作っている。
しかし……まさかお祖母様から譲られることになった由比ヶ浜の家が、翠さんと流さんにも縁があったなんて驚いた。
海里先生という方は、どんな人だったのだろう。生涯を共にした柊一さんという方にも興味がある。
俺と丈も、彼らのように穏やかに歳を取りたい。
もう一生分の苦労は背負った。だから願わずにはいられない。
平穏無事な日々が、一日でも長く続きますように。
「洋、ちょっと来い」
「何?」
丈の前に立つと突然シャツの襟ぐりをグイと引っ張られて、中を覗かれた。
「‼」
「ふっ、やはり丸見えだな」
「な! また、さっきの話をぶり返すつもり?」
「ぶり返す? 私は今になって、ようやく見られたのに?」
も、もうお前はいつもそんなことばかり。
俺は今、真剣にしんみりとお前との未来を考えていたのに……!
先ほどまでお祖母様の家ではスーツを決めて、ビシッとしていたのが台無しだ。でも憎めない。それに丈の視線を浴びた乳首は、触られてもいないのにツンと立ち上がっていた。
「見たからには……せ、責任取れよ」
「あぁ、もちろん」
「でもシャワーを浴びさせてくれよ」
「どうせ汗だくになるのだろう」
「もう――」
****
「翠……翠、その涙の理由を教えてくれよ」
「この涙か、これは嬉しいからだよ。今、流とこうやって唇を重ねられることが」
「あぁ……俺もだ。触れたいと思うと翠が触れてくれる。それが嬉しくてな」
僕の膝枕で眠る流の髪を、手櫛で梳いてやった。
髪が随分伸びたな。いつも濃紺の組紐で結わいているが、解くと結構な長さだろう。
「なぁ……流はどうして髪を伸ばしている? 大学生になってからかな、ずっとだね」
「……最初は願掛けだった」
髪には神様が宿ると言われている。髪を伸ばす、つまり髪を切るのを断つことにより、願いの効果を強くするという方法があるのだ。
「ふぅん、何を願ったんだ?」
「おい、翠は意地悪だな。今更聞く?」
突然視界が反転した。
「えっ?」
膝枕してあげていたはずの流が、僕を真上から見下ろしている。
「翠……もう少し触れさせてくれ」
首筋を舌でべろりと舐め挙げられ、ぞくぞくと身体が期待に震える。
そこはとても弱い場所だから、過敏に反応してしまう。
そのまま浴衣の襟をバッと開かれた。袈裟と違って容易に乱れていく姿に唖然とした。
気付くと平らな胸が、月光に晒されていた。
覆い被さっていた流が、勢いよく乳首をぺろりと舐めて、腰が跳ねた。
「ん……っ」
抗えない快楽の波に、また飲み込まれてしまう。
「昼は途中までだったろう。直に触れてさせてくれ、見せてくれ……吸わせてくれ」
「こ、言葉が卑猥だ!」
流が僕の胸を愛おしげにちろちろ舐めて、しゃぶってくる。
「りゅ、流……」
「何故咎める? さっき翠だって怒っていたじゃないか。僕のを見ればいいと」
「も、もう――だからってこんな場所で……」
「ここだからだ。ここは俺たちだけの場所だから、俺たちの家が完成したら部屋に連れ込んで翠を裸に剥くのに……これでもかなり我慢しているんだ!」
苦しげに呻く弟の姿が、何だか可愛くなってきた。
「分かったよ。お前は、そんなにここを吸いたかったのか。いいよ……流の好きにしたらいい」
僕は流に相当甘い……それは分かっている。
僕も気持ちが良くなってしまうので、もう抗えない。
洋くんの問題がいい方向に収まり安堵したのか……いつもよりも寛大に流に流されていく僕がいた。
こんな夜もいい。
二人は心を寛がせ……互いに求め合っていく。
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