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13章
夏休み番外編『Let's go to the beach』18
しおりを挟む淡い色の夢を見ていた。
ふわふわと躰が浮いているような心地で、僕は誰かと廊下を歩いていた。
はたして僕が手を引いて歩いているのか、それとも引かれているのか。
こういうシーンは、遠い昔にもあったような。
そうだ……まだ幼い流の手を引いて、僕は月影寺の古びた渡り廊下をひたひたと歩いていた。
(兄ちゃん、おしっこ、もれちゃう)
(りゅう、もう少しだけ、がまんだよ)
渡り廊下は屋外にあり、その向こうには墓地が見えて怖かった。僕は本当は暗闇が苦手な子供だったが、長男だったし、ふたりの弟の手前、いつだって先頭を歩まねばならなかった。
(おにいちゃん、おにいちゃん、手、ぎゅっとつないで)
しかし……そんな時、流の声と温もりを感じると不思議と頑張ることが出来た。つまり僕は昔から流に支えられていたということなのか。
どうしたことだろう。今僕が手を引いているのは、あの頃の小さな流なのか。
僕はきっと夢を見ている。懐かしい幼き日々の淡い夢を。
そう思うと気も楽になり、ふわふわと懐かしむような心地で歩いていたのに……急に異変を感じた。
ここは……どこだ?
潮風が届き、足の裏に砂を感じる。
「ん……流、おしっこは?」
「おいおい、翠まだ寝ぼけているのか」
「えっ……なんで……」
慌てて目を擦ると、僕のことを流が笑いながら見下ろしていた。
おかしいな……僕の中では五歳くらいの流の手を引いている気分だったのに……
それにここは一体、何処だろう?
だんだん覚醒していく。
えっ、何でこんな所に?
気がつけば小屋の中にいた。しかも僕は大きなビニールボートのよう物体の上に仰向けに寝かされていた。
「流! なんで」
「やっとお目覚めですか。お姫様」
「僕……もしかして寝ぼけていた? 」
「かなり可愛かったぜ、翠。まんまと引っかかって、こんな所まで来ちゃって可哀想に」
流は余裕の笑みで僕に跨がり、僕の胸に浴衣の上から触れてきた。
「え……ちょっと待って、ここ、どこだ? 」
「大丈夫だよ。ここは丈のお墨付きの場所だ」
「は? 」
「つまり翠を抱く場所だ」
「おっおい、今回は家族旅行だから、しないんじゃ……無理だ」
「だから翠を部屋から連れ出した。翠……頼む。俺もう限界だ。お盆の間中ずっと大人しく我慢していたろう」
「それはそうだが……あっ」
流が指先で僕の襟足の髪をよけ、そこに口づけした。つーっと辿るように舌を動かされてしまうと、ビクビクと僕の顎が震えた。
「駄目だ。今触れられたら……僕だって」
我慢していたのは流だけではない。僕もだ。それに日中散々シェードの中で胸を中途半端に弄られて、疼いていたのも僕だ。
「昼間に仕掛けておいたから、翠も俺が欲しいだろう」
「うっ……そのつもりだったのか」
「だから、このまま続けても? 」
もう観念した。ここはどこか屋外のようだが、用心深い弟の丈が大丈夫と言うのなら安心な場所な気もして……
「わかった……いいよ」
「翠、翠、翠、俺の翠!」
許可を出した途端、じゃれつく犬のように流が舌で僕をなめ回す。風呂に入った後とはいえ、隈なく舐められると恥ずかしくなる。
「流、ちょっと激しい! おっ落ちつけ」
「落ち着いてなんかいられるか、二週間ぶりの翠の躰だ」
「あっう――うっ……」
ガバっと胸元の袷を開かれ、両肩がむき出しになってしまう。浴衣は腰帯で止まり完全に脱げない状態で、ピチャピチャと音が立つほど乳首を責められた。
「んっ、そこばかり……やだ」
「ここが美味しいんだ」
突起の先端を捏ねくり回され、尖ってきた乳首を唇で挟まれて引っ張られたり、舌先で押しつぶされたり、ちゅうちゅうと吸われたり……
「やめろ、駄目だ。そんなに弄るな。そこばかり……もう人前で裸になれなくなるだろう」
毎回抱かれるたびに流に開拓されていく。本当に以前よりぷっくりしたような気がして、人前で服を脱ぐのを躊躇ってしまう。
「脱げなくなればいいさ。あぁ、だいぶいいな。ここに触れるだけで勃つようになってきたな。翠……」
「もう、変なことばかり言うな」
男なのに乳首だけで勃つなんてあり得ないのに、流に乳を吸われる感触がゾクゾクするほど気持ちいいのだから困ったものだ。
流に言われた通り、僕の股間は明らかに硬く張り詰めていた。
「浴衣の上からでも分かるぞ」
わざと浴衣の生地越しにやわやわと揉まれると、浴衣にシミが広がった。自分がこんな屋外で弟に抱かれ先端を濡らしていると思うと、猛烈に恥ずかしくなってきた。
「恥ずかしい、もう……」
「それでいい。俺が翠に恥ずかしいことをさせているんだ。まだまだだ、今日は、もっとさせる」
「そんな……」
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