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13章
安志&涼編 『僕の決意』21
しおりを挟む『無事かどうか試させて』だなんて、安志さんらしかぬエロい言葉だ、それ!
「えっ……わっ……ちょっと。あっ……うわっ、待って!」
僕の言葉なんてどこふく風と聞き流され、安志さんがガバっと覆いかぶさってきた。うわっ! 大柄な安志さんに包まれると、僕の躰なんてすっぽりと隠れてしまうよ。
安志さんが僕に欲情している証そのものを下腹部に擦り付けられてしまうと、僕の下半身もじわじわと感じてしまう!
安志さんの顔が近づいてきて、せわしなくセーターを脱がされ、シャツのボタンもどんどんはずされてしまう。徐々に露わになってくる素肌を、安志さんにベロベロと舐められる。
なっ……なんか今日は性急だ!
それに、これってまるで大型犬にじゃれつかれている気分だ。
あ……そういえばN.Y.で飼っていたラブラドールレトリバーのアンジュはどうしてるかな。
アイツすごく可愛かったな。優しい性格で知能が高くて、それでいて穏やかで愛らしい顔つきでさ。僕は一人っ子だから友達みたいにいつもじゃれ合って一緒に遊んだよな。最近では散歩も僕の当番になって、いつも番犬みたいに変な奴に吠えてくれて頼もしかったな。
あぁ……会いたい。なんか無性に会いたいな。
「ん? 涼、何を考えている? まさか……よその男のことじゃないよな」
「えっ? ははっ、えっと……男じゃないけど、ごめん。僕の大事な相棒のことを思い出していた」
「えっ! 誰だよ、それ? 」
焦った様子で僕を見下ろす安志さんの顔を見つめていたら、飼い犬のアンジュをまた思い出してしまった。
そうだ! 安志さんとアンジュって似てる! 名前もそうだけど……なんかこう安志さんって、犬っぽいかも。
「ふふっ、誰だと思う? 」
「涼ぉ……これ以上苛めんなんなよ、よしっ! こうなったら黙らせてやる」
顎をクイッと掴まれ上を向かされたと思ったら、そのまま一気に口づけされた。さっきの続きより、ずっと深い……舌を絡め取られ、舌で口腔内をまさぐられて擽ったく、気持ちいい。
「あっ……! うっ……んんッ」
そのまま僕の両手は安志さんに掴まれ、頭上で一纏めにされてしまった。
えっ! こ、こんなポーズはしたことがないから恥ずかしい。
安志さんは僕の手を枕の上に押さえつけたまま満足そうに、僕を見下ろている。
手は振り解けない。怖くはないが、なんかこうむずむずと煽られるような……変な気分になってくる。
「安志さんっ、これ……ちょっと」
「慣れない?」
そう聞かれたので、思いっきりコクコク頷いてしまった。
「駄目だ。今日は離さない。今日は涼の恥ずかしい顔みたいんだ。さっき……蠱惑的な顔で誘われたからな」
「そんな……そんな顔はしていない」
「したよ。昨日いなかったから、その分も貰うぞ」
ふかふかの布団に埋もれながら見上げる安志さんの瞳は、いつもよりもっともっと……欲情していた。
僕に対しての熱い想いが、ダイレクトに伝わってくる。
僕の方もそんな表情に、どんどん煽られていく。
心の中で、もっともっと強引に……僕をもらってと、期待していた。
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