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13章
安志&涼編 『僕の決意』4
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最初に前書きを失礼します。
今日の場面は少し遡って年末、ビリーの住むN.Y.のアパルトマンからです。
久しぶりに第三者目線(Billy視点)で、涼を見ていきます。
少しお話が展開していきます。
****
Ryo……やっと見つけた!
「Billy! もうっ、そんなに気になるのなら、日本でもどこでも行けばいいでしょう! あなたの親のコネを使えば、Ryoを呼び出すなんて簡単じゃない!」
日曜日の朝……裸体にシーツを巻き付けて横になっているLisaの隣で、日本のファッション雑誌を食い入るように見ていたら、彼女の逆鱗に触れてしまった。
「そうか! その手があったか。新年はやっぱり康太の帰国に付いて行ってみるか!」
「まぁ~呆れた! もうっ勝手にすればっ! いくらRyoがオリエンタルビューティーだからって、あなたの言動はまるでゲイよ!」
ゲイだって? おいおい、俺はゲイじゃないぞ!
何故ならRyo以外の男に靡いたことは一度もない。ハイスクールの時からステディな恋人Lisaとこうやって週末にはセックスできる躰だし……うーむ、だがどうやらRyoのことだけは別のようで、笑顔が引き攣ってしまう。
「おい! Lisaっそれはないだろ。こうやってキミを抱いてるのに」
唇を尖らすLisaを抱き寄せ、ふくよかな胸元に吸い付くと気持ち良さそうな声をあげた。
「あんっ! あなたってば……もしかして朝勃ちさせてるの? 本当に節操なしよね」
「おいおい、Lisaこそ物足りない顔してるぜ」
どっ、動揺してしまった。俺が朝勃ちしていた本当の理由は……日本の雑誌の中にいたRyoの顔を見つめていたからだ。
Ryoの奴、いつの間にモデルなんかになって。相変わらず美人な顔だ。象牙色の肌はしっとりと真珠のように輝いて、栗毛色の髪も、憂いを含んだ目元も変わってない。更に垢ぬけたような気がして、こんな雑誌に載ったらいろんな人がRyoの美しさに気が付いてしまうだろう。Ryoには悪いが、男好きな奴に狙われる容姿なんだよ。心配になるほど。
現にあのサマーキャンプで……涼は変な奴らに襲われ性的な被害に遭いそうだったじゃないか。Ryoは鹿に驚いて転んだなんて誤魔化していたが、本当は違うことを俺は知っていた。
(※ 安志編※ 太陽の欠片 6参照)
男が男に襲われたなんて絶対に言いたくないだろうし、知られたくないだろう。特にRyoは女みたいに綺麗だったが、なよなよしたところなんて微塵もない颯爽とした男だから。
あの晩、何故か突然バンガローから抜け出したRyoを探して、俺はキャンプ場を彷徨っていた。突然、殴らる音と悲鳴でRyoの行方が分かり、駆けつけた時は、心臓が止まりそうになった。
Ryoはあやしい男どもに無理矢理押さえつけられ、レイプされそうになっていたんだ。
下半身の着衣を脱がされ薬をもられそうになっていた。ところが助けようと思った足が動かなかった。俺はあの時……躊躇した。本当に最低だ。乱されたRyoの姿があまりに扇情的で一瞬見惚れたなんて……死んでも言えない。
寸でのところで、助けが入った。Ryoを助けたやつはキャンプ場に隣接して建っている金持ちの別荘の客だったらしく……そこで治療してもらったRyoとは、朝になってようやく会うことが出来た。
あの時のRyoのきまり悪そうな顔。
殴られた痕も痛々しく、胸が塞がる思いだった。
俺にあの時出来たことは、知らないふりをすることだけだった。だから他の奴らに悟られないように、他の奴がまたRyoにちょっかいを出さないように見張ることに徹した。
その後のRyoのコンディションは、最悪だった。
バンガローでもどこか警戒しているようで、躰に触れられるのを極端に嫌がった。また蹴られた躰が痛むように、顔色もずっと悪かった。
プールも乗馬も急にしなくなりライブラリーに通うRyoのことを、皆、一同に不思議がっていた。流石に辛そうなので、思い切って声をかけた。
「なぁ……もしかして怪我が辛いんじゃないか。先に家に帰るか。送ってやるぞ」
「いや……こんな怪我をして帰宅したら、両親を驚かせるだけだから……大丈夫だ。予定通りここにいるよ」
「そうか、薬ちゃんと飲んだ方がいいぞ」
「ありがとう。Billyは優しいよな」
「……バンガローは居心地悪いか。なんならもっといいコテージを借りてくるぞ」
「いや大丈夫。普段通りがいい」
Ryoは優しい笑みを浮かべていた。だが、その笑顔はどこか無理やりつくられたものだと思った。
この狭いバンガローでむさくるしい男四人と寝るのは辛いだろう。あの日襲われた恐怖がRyoを苦しめているのが、俺には分かった。
怖い夢を見てるのか。夜中にうなされているRyoのことを見守った。
コイツは……簡単に触れてはいけない奴なんだ。
Ryo本人は目立つことを嫌っていたが、その真っすぐで明るい太陽のような性格は、隠し通せるものではなく、クラスのアイドル的存在だった。そのRyoがまさかあんな目に遭ったなんて言えないよな。知られたくないだろうし。
切ない思いで、見つめるしかなかったサマーキャンプを思い出すと、心臓がドキドキして、Lisaに感じる感情とはまた別の何かが湧いてくる。
とにかく、もう一度会いたい。
会って、俺のこの感情が一体何だかを知りたいんだ。
Ryoは、サマーキャンプを最後に連絡を絶ってしまった。それはあの事件のせいなのか……何もかも忘れたいのか。その気持ちは分かる。
だが……俺のこのモヤモヤした気持ちはどうすればいい?
俺はRyoに会いたい。会って確かめたいのに、その術がなく……焦っていた。
今日の場面は少し遡って年末、ビリーの住むN.Y.のアパルトマンからです。
久しぶりに第三者目線(Billy視点)で、涼を見ていきます。
少しお話が展開していきます。
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Ryo……やっと見つけた!
「Billy! もうっ、そんなに気になるのなら、日本でもどこでも行けばいいでしょう! あなたの親のコネを使えば、Ryoを呼び出すなんて簡単じゃない!」
日曜日の朝……裸体にシーツを巻き付けて横になっているLisaの隣で、日本のファッション雑誌を食い入るように見ていたら、彼女の逆鱗に触れてしまった。
「そうか! その手があったか。新年はやっぱり康太の帰国に付いて行ってみるか!」
「まぁ~呆れた! もうっ勝手にすればっ! いくらRyoがオリエンタルビューティーだからって、あなたの言動はまるでゲイよ!」
ゲイだって? おいおい、俺はゲイじゃないぞ!
何故ならRyo以外の男に靡いたことは一度もない。ハイスクールの時からステディな恋人Lisaとこうやって週末にはセックスできる躰だし……うーむ、だがどうやらRyoのことだけは別のようで、笑顔が引き攣ってしまう。
「おい! Lisaっそれはないだろ。こうやってキミを抱いてるのに」
唇を尖らすLisaを抱き寄せ、ふくよかな胸元に吸い付くと気持ち良さそうな声をあげた。
「あんっ! あなたってば……もしかして朝勃ちさせてるの? 本当に節操なしよね」
「おいおい、Lisaこそ物足りない顔してるぜ」
どっ、動揺してしまった。俺が朝勃ちしていた本当の理由は……日本の雑誌の中にいたRyoの顔を見つめていたからだ。
Ryoの奴、いつの間にモデルなんかになって。相変わらず美人な顔だ。象牙色の肌はしっとりと真珠のように輝いて、栗毛色の髪も、憂いを含んだ目元も変わってない。更に垢ぬけたような気がして、こんな雑誌に載ったらいろんな人がRyoの美しさに気が付いてしまうだろう。Ryoには悪いが、男好きな奴に狙われる容姿なんだよ。心配になるほど。
現にあのサマーキャンプで……涼は変な奴らに襲われ性的な被害に遭いそうだったじゃないか。Ryoは鹿に驚いて転んだなんて誤魔化していたが、本当は違うことを俺は知っていた。
(※ 安志編※ 太陽の欠片 6参照)
男が男に襲われたなんて絶対に言いたくないだろうし、知られたくないだろう。特にRyoは女みたいに綺麗だったが、なよなよしたところなんて微塵もない颯爽とした男だから。
あの晩、何故か突然バンガローから抜け出したRyoを探して、俺はキャンプ場を彷徨っていた。突然、殴らる音と悲鳴でRyoの行方が分かり、駆けつけた時は、心臓が止まりそうになった。
Ryoはあやしい男どもに無理矢理押さえつけられ、レイプされそうになっていたんだ。
下半身の着衣を脱がされ薬をもられそうになっていた。ところが助けようと思った足が動かなかった。俺はあの時……躊躇した。本当に最低だ。乱されたRyoの姿があまりに扇情的で一瞬見惚れたなんて……死んでも言えない。
寸でのところで、助けが入った。Ryoを助けたやつはキャンプ場に隣接して建っている金持ちの別荘の客だったらしく……そこで治療してもらったRyoとは、朝になってようやく会うことが出来た。
あの時のRyoのきまり悪そうな顔。
殴られた痕も痛々しく、胸が塞がる思いだった。
俺にあの時出来たことは、知らないふりをすることだけだった。だから他の奴らに悟られないように、他の奴がまたRyoにちょっかいを出さないように見張ることに徹した。
その後のRyoのコンディションは、最悪だった。
バンガローでもどこか警戒しているようで、躰に触れられるのを極端に嫌がった。また蹴られた躰が痛むように、顔色もずっと悪かった。
プールも乗馬も急にしなくなりライブラリーに通うRyoのことを、皆、一同に不思議がっていた。流石に辛そうなので、思い切って声をかけた。
「なぁ……もしかして怪我が辛いんじゃないか。先に家に帰るか。送ってやるぞ」
「いや……こんな怪我をして帰宅したら、両親を驚かせるだけだから……大丈夫だ。予定通りここにいるよ」
「そうか、薬ちゃんと飲んだ方がいいぞ」
「ありがとう。Billyは優しいよな」
「……バンガローは居心地悪いか。なんならもっといいコテージを借りてくるぞ」
「いや大丈夫。普段通りがいい」
Ryoは優しい笑みを浮かべていた。だが、その笑顔はどこか無理やりつくられたものだと思った。
この狭いバンガローでむさくるしい男四人と寝るのは辛いだろう。あの日襲われた恐怖がRyoを苦しめているのが、俺には分かった。
怖い夢を見てるのか。夜中にうなされているRyoのことを見守った。
コイツは……簡単に触れてはいけない奴なんだ。
Ryo本人は目立つことを嫌っていたが、その真っすぐで明るい太陽のような性格は、隠し通せるものではなく、クラスのアイドル的存在だった。そのRyoがまさかあんな目に遭ったなんて言えないよな。知られたくないだろうし。
切ない思いで、見つめるしかなかったサマーキャンプを思い出すと、心臓がドキドキして、Lisaに感じる感情とはまた別の何かが湧いてくる。
とにかく、もう一度会いたい。
会って、俺のこの感情が一体何だかを知りたいんだ。
Ryoは、サマーキャンプを最後に連絡を絶ってしまった。それはあの事件のせいなのか……何もかも忘れたいのか。その気持ちは分かる。
だが……俺のこのモヤモヤした気持ちはどうすればいい?
俺はRyoに会いたい。会って確かめたいのに、その術がなく……焦っていた。
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