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12章
聖夜を迎えよう5
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「行く! 行ける! 行くに決まってる!」
洋兄さんからの提案に思わず大声を出してしまい、通りすがりの人にクスクス笑われてしまった。
「クスッ、涼、そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。誘った甲斐があったよ」
「嬉しいに決まってるよ! あの、安志さんも来られる?」
「今から電話するけど、たぶんアイツは大丈夫だよ。それでいつまで休めるんだ?」
「実は今年は、クリスマスイブからお正月明けまでなんだ」
「へぇじゃあずっと月影寺にいればいいのに、あっ、でもそれは野暮か」
電話の向こうの明るい声……洋兄さんにもいい事があったのかな。ずいぶん機嫌が良さそうだ。冬の木枯らしが吹いて寒いのに、さっきまで凹んだ気持ちなんて、どこかに行ってしまった。
「洋兄さんには勉強も見て欲しくて、実は、休み明けのテスト対策がまずくてさ」
「いいよ。英語は俺で理系は丈に頼もうな。翠さんや流さんも、専門分野なら助けてくれるよ」
「わー心強いよ。助かるよ!」
頼もしい一言だ。
僕には日本に頼れる従兄弟がいる!
モデルとして社会に揉まれていると、急に実家が恋しくなったりる。
こんな時に……甘えられる従兄弟の洋兄さんが、近くにいてくれるのが嬉しい。
****
「涼くん休み取れるのか。良かったな」
電話を切ると、ソファで寛いでいた丈に話しかけられた。
「うん、珍しく長期の休みだって。涼にはここに泊ってもらってもいいか」
「あぁ、寺の離れにならな」
「分かってる。っと安志にも連絡しないと、ちょっと待ってくれよ」
「洋……まだか。最近はなかなか二人きりになれなかったから……」
「んっ」
パジャマ姿の丈が、もう待ちきれないといった様子で俺の腕を摑まえる。そのままバックハグされて、ソファに座る丈の脚の間にストンっと座らされてしまった。なんだか俺のヒップが丈に密着する感じに、そわそわしてしまう。
「おい、待って……電話するから。あっ……やめろよ!」
丈はそんなのお構いなしといった様子で、いたずら気に俺の胸を触ってくる。その手を阻止しながらなんとか安志に電話すると、ワンコールで出てくれた。
「おう! 洋! この前は……大変だったな」
「安志、本当にありがとうな。お前のあのキーホルダーが本当に役立ったよ」
「お前も大変だった……俺、役に立って良かったよ」
すると、ギュッと胸の粒を探り当てた丈が、そこを潰すように押してくるので、うっ……と呻き声をあげそうになってしまった。
丈の奴……ちょっかい出しすぎた。俺も負けずにキッと睨みながら、頑張って会話を続ける。
「うっ……ん」
「洋どうかした? なんだか……声が変だな。また風邪でもひいたのか」
「いや……違くて。あっ、あのさ、クリスマスイブに、こっちにこないか? 涼も来れるって言うから」
「えっ……本当か、それ!」
素直に嬉しそうな声をあげる幼馴染の様子に、俺も笑みが零れる。
「だから安志も来いよ。翠さんがクリスマスパーティーを開いてくれるそうだから」
「お寺のクリスマスか~面白そうだな。それにしても嬉しいよ。涼と駆けつけるよ。そっちだとさ、人目を気にしなくていいのが助かるよ。おい? 洋……聞いてんのか」
丈の手が両方の胸を執拗に揉んでくるので、感じないように耐えるので精一杯になってきて……俯いていた。
「……んっ、あっ……うん、聞いてるよ」
「洋? ほんと大丈夫か。熱っぽい声だぞ」
「……んっ……いや、大丈夫。とりあえず詳しいことは……また」
「おうっ了解! 俺はまだ仕事先なんだ。ありがとうな!」
受話器を切るなりソファにくるっと反転させられ押し倒されてしまった。
「おいっ、丈! 安志が不審に思っていたじゃないか」
「洋の耐えている表情にそそられた。ほら……」
丈が俺の手を掴んで、自分の下半身にあてがってくる。すっかり固くなったそれの熱に、びくっとしてしまう。
「あっ……、もう、こんなに……」
「最近はずっと薙がいたから……溜まっているのだ」
「お前……そんなストレートに」
確かにあの騒動から翠さんの生活が落ち着くまで、薙は何かにつけて俺たちの離れにやってきてはベッドを占領していった。だから丈の気持ちは分かる。だが……そんなストレートに。そんなキャラだったかって考えてしまう程、丈は俺に貪欲になっている。
「……また安志や涼くんが来たら、洋の気もそぞろになってしまうだろう。薙にも夢中だったし」
「あ……」
唇を塞がれ、丈に躰を明け渡すように求められる。
少しの我慢が俺たちの気持ちを高揚させてしまったようだ。
もしかして……丈、少し妬いていた?
俺も丈にこんな風に熱く求められると、お前が欲しくなるよ。
「丈、ベッドに行こう。今日は俺たちだけだから……ちゃんとベッドでしよう」
「……今宵は酷くしそうだ」
「ふっ……いつもだろ?」
俺の恋人はいつも貪欲に俺を求めてくれる。きっと今宵も強く激しく深く……俺の中にやってくるだろう。
俺を愛おしく見つめる熱い視線が心地よく、ベッドに沈みながら俺の方からもキスをした。
「丈、しよう」
洋兄さんからの提案に思わず大声を出してしまい、通りすがりの人にクスクス笑われてしまった。
「クスッ、涼、そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。誘った甲斐があったよ」
「嬉しいに決まってるよ! あの、安志さんも来られる?」
「今から電話するけど、たぶんアイツは大丈夫だよ。それでいつまで休めるんだ?」
「実は今年は、クリスマスイブからお正月明けまでなんだ」
「へぇじゃあずっと月影寺にいればいいのに、あっ、でもそれは野暮か」
電話の向こうの明るい声……洋兄さんにもいい事があったのかな。ずいぶん機嫌が良さそうだ。冬の木枯らしが吹いて寒いのに、さっきまで凹んだ気持ちなんて、どこかに行ってしまった。
「洋兄さんには勉強も見て欲しくて、実は、休み明けのテスト対策がまずくてさ」
「いいよ。英語は俺で理系は丈に頼もうな。翠さんや流さんも、専門分野なら助けてくれるよ」
「わー心強いよ。助かるよ!」
頼もしい一言だ。
僕には日本に頼れる従兄弟がいる!
モデルとして社会に揉まれていると、急に実家が恋しくなったりる。
こんな時に……甘えられる従兄弟の洋兄さんが、近くにいてくれるのが嬉しい。
****
「涼くん休み取れるのか。良かったな」
電話を切ると、ソファで寛いでいた丈に話しかけられた。
「うん、珍しく長期の休みだって。涼にはここに泊ってもらってもいいか」
「あぁ、寺の離れにならな」
「分かってる。っと安志にも連絡しないと、ちょっと待ってくれよ」
「洋……まだか。最近はなかなか二人きりになれなかったから……」
「んっ」
パジャマ姿の丈が、もう待ちきれないといった様子で俺の腕を摑まえる。そのままバックハグされて、ソファに座る丈の脚の間にストンっと座らされてしまった。なんだか俺のヒップが丈に密着する感じに、そわそわしてしまう。
「おい、待って……電話するから。あっ……やめろよ!」
丈はそんなのお構いなしといった様子で、いたずら気に俺の胸を触ってくる。その手を阻止しながらなんとか安志に電話すると、ワンコールで出てくれた。
「おう! 洋! この前は……大変だったな」
「安志、本当にありがとうな。お前のあのキーホルダーが本当に役立ったよ」
「お前も大変だった……俺、役に立って良かったよ」
すると、ギュッと胸の粒を探り当てた丈が、そこを潰すように押してくるので、うっ……と呻き声をあげそうになってしまった。
丈の奴……ちょっかい出しすぎた。俺も負けずにキッと睨みながら、頑張って会話を続ける。
「うっ……ん」
「洋どうかした? なんだか……声が変だな。また風邪でもひいたのか」
「いや……違くて。あっ、あのさ、クリスマスイブに、こっちにこないか? 涼も来れるって言うから」
「えっ……本当か、それ!」
素直に嬉しそうな声をあげる幼馴染の様子に、俺も笑みが零れる。
「だから安志も来いよ。翠さんがクリスマスパーティーを開いてくれるそうだから」
「お寺のクリスマスか~面白そうだな。それにしても嬉しいよ。涼と駆けつけるよ。そっちだとさ、人目を気にしなくていいのが助かるよ。おい? 洋……聞いてんのか」
丈の手が両方の胸を執拗に揉んでくるので、感じないように耐えるので精一杯になってきて……俯いていた。
「……んっ、あっ……うん、聞いてるよ」
「洋? ほんと大丈夫か。熱っぽい声だぞ」
「……んっ……いや、大丈夫。とりあえず詳しいことは……また」
「おうっ了解! 俺はまだ仕事先なんだ。ありがとうな!」
受話器を切るなりソファにくるっと反転させられ押し倒されてしまった。
「おいっ、丈! 安志が不審に思っていたじゃないか」
「洋の耐えている表情にそそられた。ほら……」
丈が俺の手を掴んで、自分の下半身にあてがってくる。すっかり固くなったそれの熱に、びくっとしてしまう。
「あっ……、もう、こんなに……」
「最近はずっと薙がいたから……溜まっているのだ」
「お前……そんなストレートに」
確かにあの騒動から翠さんの生活が落ち着くまで、薙は何かにつけて俺たちの離れにやってきてはベッドを占領していった。だから丈の気持ちは分かる。だが……そんなストレートに。そんなキャラだったかって考えてしまう程、丈は俺に貪欲になっている。
「……また安志や涼くんが来たら、洋の気もそぞろになってしまうだろう。薙にも夢中だったし」
「あ……」
唇を塞がれ、丈に躰を明け渡すように求められる。
少しの我慢が俺たちの気持ちを高揚させてしまったようだ。
もしかして……丈、少し妬いていた?
俺も丈にこんな風に熱く求められると、お前が欲しくなるよ。
「丈、ベッドに行こう。今日は俺たちだけだから……ちゃんとベッドでしよう」
「……今宵は酷くしそうだ」
「ふっ……いつもだろ?」
俺の恋人はいつも貪欲に俺を求めてくれる。きっと今宵も強く激しく深く……俺の中にやってくるだろう。
俺を愛おしく見つめる熱い視線が心地よく、ベッドに沈みながら俺の方からもキスをした。
「丈、しよう」
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