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12章
番外編SSのおまけ 安志×涼 「そして二人は…」3
しおりを挟む「涼とペア? 」
「うん、実は撮影でスポンサーからプレゼントしてもらって……安志さんにも同じものを購入したんだ」
「これ、高かったろう」
「あの……気に入らない? 」
おそるおそる聞くと、安志さんの胸にガバッとハグされた。
「涼ありがとうな!滅茶苦茶嬉しいよ。俺たち、ペアとかそういうの初めてだな」
「良かった。洋兄さんと丈さんのペアの月輪や指輪を見ていたら羨ましくなって……僕も何か同じもの持ちたくなったんだ」
早速安志さんが腕にはめると、サイズもぴったりのようで安心した。
僕も腕にはめた。
黒い文字盤に黒いバンド、文字盤の繊細なデザインとリューズガードとの大胆な組み合わせが素敵だったんだ。機能は最小限だけど、3時の位置にあるリューズガードがアクセントとなっていてオシャレだ。裏蓋にはブランドのマークが描かれ、僕のようなカジュアルスタイルにも、安志さんのスーツにもよく似合うと、僕自身も惚れ込んだものだった。
今、僕たちの腕には同じものが二つ並んでいる。
ずっと憧れていた嬉しい光景だ。
「涼、メリークリスマス。これからも一緒に時を刻もうな」
安志さんから嬉しい言葉をもらった。
あったかくて優しい言葉が降って来た。
「ペアの時計っていいもんだな」
安志さんに肩をぎゅっと抱かれた。
その手に僕の手を重ねたら……時計と時計が、コツンっとキスをした。
「約束のキスみたいだな。これって」
「僕もそう思った!」
心暖まるひと時だ。
これでまた朝まで撮影を頑張れるよ。
心も躰も満ちた。満タンにチャージされた気分だ。
会えなくて不安だった心のざわつきも吹き飛んで、今は躰のなかにエネルギーが満ちている。
僕たちは、この先もまだいろいろあるだろう。その度に素直な気持ち出し合って二人で進んでいけたらいい。
僕はもう……この人以外には考えられないのだから。
夢はいつか洋兄さん達のように、二人で過ごせるようになりたい。その夢に近づくためにも、今はモデルとしての仕事を頑張る。
「安志さん、待っていて!なるべく早く安志さんのいるところに行くから」
そんな想いで安志さんから降り注ぐ熱いキスを受け止めていると、安志さんが頭を撫でてくれた。
「涼……急がなくていい。俺は今の涼が好きなんだから、無理して早く大人になろうなんて思わなくていい。俺も涼の方まで歩み寄るから。そうだな、中間地点で会おう」
その言葉に、ほろりとした。
背伸びしたり走ったりばかりは、本当は本当は……少し大変だったんだ。
「うん……うっ…」
「涼、もう泣くなよ。目が腫れたらまずいだろう」
「でも嬉しくて」
そして二人は、いつも歩み寄る。
共に進むために、歩み寄る。
了
****
安志と涼のクリスマスの番外編を、読んでくださってありがとうございます。
明日からまた通常運転になりますね!
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