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11章
夏休み番外編『SUMMER VACATION 2nd』4
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「翠、そろそろいいか」
そう問われて断る理由はない。
「あぁ」
飲んでいた冷酒の杯を机に置くや否や流に腕を掴まれ、そのまま共に隣の和室へ入ると、既に布団が一組敷かれていた。
「……ずいぶん用意周到だな、いつの間に」
「兄さんが風呂に入っている間に準備しておいた」
「はぁ……お前って奴は」
だが流に求められるのが、僕も好きだ。
昨年の暮れに京都から流水さんの遺骨と夕凪の遺骨をこの寺に持ち帰った。
意味は違うが、僕の中では新盆を迎える気分だ。大切な時期に弟とこんな風に過ごしてと思うが、この欲求はもう誰にも止められない。
僕は流に押し倒されるような形で、仰向けになった。すぐに流も僕の肩口に頬を押し付けるように横になった。
「兄さんの裸……綺麗だった」
「ん? いつも見ているじゃないか」
「今日のプールでの姿だよ」
「あぁ……あれか。全員、裸なんておかしかったね」
「翠の裸が一番美しかった」
「流……お前は本当に僕に甘いよ。僕が一番年寄りなのに」
「年寄りだなんて言うな、翠は透明感があって凛として、いつまでも美しい人だ」
「おいおい。僕のことを褒め殺す気か。それより早くしないと遅くなってしまうよ」
「そうだな」
流の唇が近づいて、ぴたりと重なる。
はじめは静かに優しく……やがて獰猛な口づけとなり、僕の口腔内を蹂躙していく。
「んっ……はっ……」
酸素が欲しくなるほどの激しい口づけ。
流がこんなにも僕を求めてくれているというのが、全身全霊をかけて伝えられるような気がして、うっとりと目を閉じた。
指を絡められ浴衣の裾を割って、流の手が忍び込む。
僕の太股を大きく撫で上げて、そのまま脚の中心へと辿り、更に奥の割れ目へと手は器用に滑る。
秘めたる入り口を探るようにまさぐられ、羞恥に震えてしまう。
「さっきの続きを……言ってくれ」
「んっ……流の……」
恥ずかしくて言葉が繋げられない。
「兄さん、俺の何が欲しい」
反則だ。こんな時にそんな風に呼ぶなんて。
ぷるぷると震えていると、流は目を細めて僕の髪を梳いてくれる。
「可愛い翠……俺の翠だ」
「流……」
こんなにも慈しみをもって接してもらえて、兄として恋人として幸せだ。
お前以上の弟なんていない。
僕の方から流にしがみついて、耳元で囁いた。
献身的な弟……流に、愛の言葉をしっかりと。
「お前の……大きいのが……欲しい」
「長さも太さも申し分ないことが分かったろう?」
「うん……流のが一番いいと思ったよ」
「お、おいっ、翠、あんな澄ました……厳粛な顔で測定しながら、頭の中ではそんなことを?」
「ちっ、違うから……あうっ!」
指が突然入ってきて、思わず腰が浮いた。
流の指が好きだ。
僕のために様々なものを生み出す芸術家の指先。
もう片方の指を、僕は咥えた。
「翠……」
「……流の指が好きだ」
愛情をこめて指先を口腔内に丹念に含んでいく。
「可愛いことを。今日は沢山可愛がってやるからな」
一気に裾を捲られ、脚を左右に大きく広げられた。
「早く欲しい……流の……太いの」
僕も流が挿れやすいように腰を浮かした。
「行くぞ」
「んっ……」
その時、場の雰囲気を崩すように……突然、玄関のチャイムが鳴った。
「えっ?」
流と思わず顔を見合わせた。
「だ、誰だろう?」
「このタイミングで誰だよっ!」
流が悔しそうに畳をドンっと叩いて、呻いた。
そう問われて断る理由はない。
「あぁ」
飲んでいた冷酒の杯を机に置くや否や流に腕を掴まれ、そのまま共に隣の和室へ入ると、既に布団が一組敷かれていた。
「……ずいぶん用意周到だな、いつの間に」
「兄さんが風呂に入っている間に準備しておいた」
「はぁ……お前って奴は」
だが流に求められるのが、僕も好きだ。
昨年の暮れに京都から流水さんの遺骨と夕凪の遺骨をこの寺に持ち帰った。
意味は違うが、僕の中では新盆を迎える気分だ。大切な時期に弟とこんな風に過ごしてと思うが、この欲求はもう誰にも止められない。
僕は流に押し倒されるような形で、仰向けになった。すぐに流も僕の肩口に頬を押し付けるように横になった。
「兄さんの裸……綺麗だった」
「ん? いつも見ているじゃないか」
「今日のプールでの姿だよ」
「あぁ……あれか。全員、裸なんておかしかったね」
「翠の裸が一番美しかった」
「流……お前は本当に僕に甘いよ。僕が一番年寄りなのに」
「年寄りだなんて言うな、翠は透明感があって凛として、いつまでも美しい人だ」
「おいおい。僕のことを褒め殺す気か。それより早くしないと遅くなってしまうよ」
「そうだな」
流の唇が近づいて、ぴたりと重なる。
はじめは静かに優しく……やがて獰猛な口づけとなり、僕の口腔内を蹂躙していく。
「んっ……はっ……」
酸素が欲しくなるほどの激しい口づけ。
流がこんなにも僕を求めてくれているというのが、全身全霊をかけて伝えられるような気がして、うっとりと目を閉じた。
指を絡められ浴衣の裾を割って、流の手が忍び込む。
僕の太股を大きく撫で上げて、そのまま脚の中心へと辿り、更に奥の割れ目へと手は器用に滑る。
秘めたる入り口を探るようにまさぐられ、羞恥に震えてしまう。
「さっきの続きを……言ってくれ」
「んっ……流の……」
恥ずかしくて言葉が繋げられない。
「兄さん、俺の何が欲しい」
反則だ。こんな時にそんな風に呼ぶなんて。
ぷるぷると震えていると、流は目を細めて僕の髪を梳いてくれる。
「可愛い翠……俺の翠だ」
「流……」
こんなにも慈しみをもって接してもらえて、兄として恋人として幸せだ。
お前以上の弟なんていない。
僕の方から流にしがみついて、耳元で囁いた。
献身的な弟……流に、愛の言葉をしっかりと。
「お前の……大きいのが……欲しい」
「長さも太さも申し分ないことが分かったろう?」
「うん……流のが一番いいと思ったよ」
「お、おいっ、翠、あんな澄ました……厳粛な顔で測定しながら、頭の中ではそんなことを?」
「ちっ、違うから……あうっ!」
指が突然入ってきて、思わず腰が浮いた。
流の指が好きだ。
僕のために様々なものを生み出す芸術家の指先。
もう片方の指を、僕は咥えた。
「翠……」
「……流の指が好きだ」
愛情をこめて指先を口腔内に丹念に含んでいく。
「可愛いことを。今日は沢山可愛がってやるからな」
一気に裾を捲られ、脚を左右に大きく広げられた。
「早く欲しい……流の……太いの」
僕も流が挿れやすいように腰を浮かした。
「行くぞ」
「んっ……」
その時、場の雰囲気を崩すように……突然、玄関のチャイムが鳴った。
「えっ?」
流と思わず顔を見合わせた。
「だ、誰だろう?」
「このタイミングで誰だよっ!」
流が悔しそうに畳をドンっと叩いて、呻いた。
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